志門で安藤榮作彫刻展、福島巡礼の旅の中で制作

【銀座新聞ニュース=2024年11月25日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル、03-3541-2511)は11月25日から12月7日まで安藤榮作さんによる彫刻展「Travelerー田保をしながら刻まれた彫刻たち」を開いている。

ギャルリー志門で11月25日から12月7日まで開かれる安藤榮作さんの彫刻展に出品される「光のさなぎ」。

ギャルリー志門の企画展として、彫刻家の安藤榮作さんによる新作を中心に個展を開く。安藤榮作さんは今回出品する「光のさなぎ」については、「福島いわきの海に感謝を捧げるために、海岸線50kmを歩きながら流木を刻んで海岸に埋める巡礼の旅より」としている。

安藤榮作さんは妻で彫刻家の長谷川浩子さんとともに、1990年から福島県いわき市の山間部に移り住んでいたが、2011年の東日本大震災により、自宅兼アトリエ、愛犬のユイが津波で流され、その後、奈良県明日香村に移り、さらに奈良県天理市に移り住んで制作している。

2021年に開いた「安藤榮作彫刻展・Left behind heart」に寄せたメッセージには最後に「震災から10年の今年は私の中の内なる宝、福島の海や山や風や人を彫刻にしてみようと思う。福島を置き去りにした切なさと今も福島を思い慕う暖かさ」と書いており、福島への切なさを持ち続けながら、今も作品を制作していることがうかがえる。

安藤榮作さんは岡山県井原市が主催する日本の木彫作家を対象とした2017年に「第28回平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)賞」、2020年に「第10回円空(1632-1695)大賞」で「円空賞」を受賞している。

「平櫛田中賞」は岡山県井原市生まれの彫刻家で、東京美術学校(現東京藝芸術大学)教授をも務めた平櫛田中(1872-1979)の業績を表するために1974年に創設されたもので、井原市が受賞者を選び、井原市の「市立田中美術館」が展示会を開いている。

「円空大賞」は岐阜県が芸術文化の創出・振興とふるさとへの誇りの醸成を目的に、1999年度に制定し、立体造形、絵画、映像などの分野において、郷土の偉人である「円空」を彷彿させるような顕著な業績をおさめている人を顕彰している。2020年1月30日に授賞式を開くとともに、岐阜県美術館で1月30日から3月8日まで受賞者の作品を展示した。

安藤榮作さんは1961年東京都墨田区生まれ、1986年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業、1988年に個展を開き、1989年に福島県いわき市の山間部に移り住み、1991年に彫刻の制作と並んで、パフォーマンスをはじめ、2006年にいわき市の海辺部に自宅兼アトリエを移し、2011年に東日本大震災で自宅兼アトリエが津波で流され、奈良県明日香村に移り、その後、奈良県天理市に移り、同年に絵本「あくしゅだ」を刊行、2017年に第28回平櫛田中賞、2020年に第10回円空賞を受賞している。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、入場は無料。日曜日は休み。