【銀座新聞ニュース=2024年11月27日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は11月27日から12月3日まで本館地下2階GINZAステージで「第12回本和菓衆12-自由な感性と受け継がれる技」を開く。
銀座三越で12回目となる今回は、いま一度、和菓子の原点に戻って、「もっと自由に、素直に」して、伝統的な製法や材料、形にとらわれない新作和菓子を8店が発売する。
ウイキペディアなどによると、「本和菓衆」は1870(明治3)年創業の「五勝手屋本舗」(北海道檜山郡江差町本町38、0139-52-0022)、1821(文政4)年創業の「乃し梅本舗 佐藤屋」(山形県山形市十日町3-10-36、023-622-3108)、1783(天明3)年創業の「亀屋」(埼玉県川越市仲町4-3、049-222-2052)、1838(天保9)年創業の「とこなつ本舗大野屋(富山県高岡市木舟町12、0766-25-0215)、1859(安政6)年創業の「田中屋せんべい総本家」(岐阜県大垣市本町2-16、0584-78-3583)。
1785(天明5)年創業の「きよめ餅総本家」(愛知県名古屋市熱田区神宮3-7-21、052-681-6161)、寛永年間(1624年から1645年)に創業の「深川屋陸奥大掾」(ふかわや・むつだいじょう、三重県亀山市関町中町387、0595-96-0008)、1913(大正2)年創業の「平治煎餅本店」(三重県津市大門20-15、059-225-3212)、1575(天正3)年創業の「柳屋奉善」(三重県松阪市中町1877、0598-21-0138)、1874(明治7)年創業の「御菓子司 彩雲堂」(島根県松江市天神町124、0852-21-2727)の10店舗の若旦那衆が2013年に日本橋の地に集まって結成された。
結成のきっかけとなったのは2013年に日本橋三越で開かれた「第67回 全国銘菓展」で、数年前から展示会に若い跡取りが増えてきた状況を見た田中屋せんべい総本家の6代目・田中裕介さんが、以前から親交のあった彩雲堂6代目・山口周平さんのほか数人を誘って「半人前の会」を結成した。
当初は具体的な目的のない懇親的な集まりだったが、三越のバイヤーから「(2013年の)10月の三越日本橋本店の創業340周年祭で何かやらないか」と提案されたのをきっかけに、10月23日に最初のイベントを行い、名称も「本和菓衆」とした。
地下1階に設けられた特設コーナーは人数に比して狭いものだったが、老舗和菓子店の店主が一堂に会して和装で売り場に立って商品を説明する姿が話題となり、2014年からは毎年秋に三越(当初は日本橋店、2017年から銀座店)でイベントが行われており、店主自らが売り場に立ち、直接お客に説明する形式をとっている。
このうち、「とこなつ本舗大野屋」は2020年と2021年のみの参加で、そのほか、過去に「つちや」(岐阜県大垣市俵町39)が2013年から2019年まで参加、「井筒八ツ橋本舗」(京都府京都市右京区嵯峨野清水町15)が2013年から2018年まで参加した。
今回は1872(明治5)年創業の「菓子舗 間瀬」(静岡県熱海市網代400-1、0557-67-0111)が初参加しており、北海道の「五勝手屋本舗」、三重県の「柳屋奉善」は参加していない。
「菓子舗 間瀬」は「12回目」から「十二単」を連想し2種類のお菓子を仕立てた。「紅衣(くれない)」は生クリームと練乳を使った餡でラズベリーピューレを包み、薄く延ばしたういろう生地で巻きあげた上生菓子と「柚重(ゆうがさね)」は柚子香る浮島生地に、刻んだ柚子とクリームチーズを加えた羊羹を流し合わせ、生クリームや練乳、クリームチーズといった乳製品を使っている。2種類をセットにした「じゆうにひとえ」(2個入、2種各1個、税込1080円、350点限定)として販売する。
「きよめ餅総本家」は名古屋の上菓子屋で「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」に使われている伊勢芋を、“蒸しカステラ”ともいえる浮島生地に入れた菓子「風楽」(1個432円)を出品する。担当バイヤーによると、強い粘りが特徴の伊勢芋を使うと日持ちは短くなるという。今回は風味を優先するために、あえて伊勢芋を使い、丹波大納言小豆の鹿の子を合わせてある。
「乃し梅本舗 佐藤屋」は本わらび餅「ひょうげ」(3個入、1620円、各日20点)。担当バイヤーによると、国産わらび粉の中でも特に高価な黒本蕨から作られたわらび粉を使用し、水分の一部を、山形県天童市のクラフトビール製造「ブリューラボ・108(トウハチ)」のデーツを使ったビールに置き換えている。柔らかさと強いコシを併せ持つ独特な食感と、ビールによるスパイスやドライフルーツ系の香りが複雑に絡み合い、わらび餅の概念が変わる味わいとしている。
「御菓子司 彩雲堂」は創業150年を記念して新商品「よもぎ若草」(3個入、756円、200点)を発売する。「大名茶人」として知られる松江藩7代藩主の松平不昧公(ふまいこう、1751-1818)の茶席で出されたという銘菓「若草」を、担当バイヤーによると、「彩雲堂」は地元産の原料にこだわり、県内の生産者や製茶工場と協力して開発に取り組み、求肥は奥出雲産のもち米、衣の粉末よもぎは島根町産を使って、今回は商品化した。
「亀屋」は「たまのもなか」(1個、361円)を発売する。担当バイヤーによると、同店の代表銘菓「亀の最中」にも使用している十勝産小豆のつぶあんで、濃厚なキャラメルあんを包んだ「Wあんこ」という。異なる2種類のあんこを使うことで味が単調にならないのがポイントとしている。
「深川屋陸奥大掾」はシュトーレン専門店「ららん」(愛知県名古屋市千種区向陽町1-15-1)とコラボ「幸せのシュトーレン関の戸レモン」(2個入、1512円、各日70点)を発売する。江戸時代より作り続けている、こしあんを求肥で包んで和三盆をまぶした餅菓子「関の戸 和三盆」を、今回はレモンの果実、スピリッツ、パウダーを加えた卵不使用の生地の中心に、詰めて焼きあげた。
今回で「本和菓衆」を卒業する「田中屋せんべい総本家」はステップアップする意味合いで商品名に「はずむ」と付けた「はずむまつほ」(100グラム1296円)を発売する。担当バイヤーによると、看板商品の自家製こうじ味噌を使った「みそ入大垣せんべい」を砕き、ピーナッツ、かぼちゃの種、オレンジピールとともにキャラメリゼしてある。
「平治煎餅本店」は「平治煎餅ショコラ ストロベリー」(5枚入、756円)を発売する。担当バイヤーによると、創業時から発売する、文楽や歌舞伎の演目にちなんだ、阿漕(あこぎ)平治が浜に忘れた傘をかたどった「平治煎餅」に、ストロベリー風味のチョコを浸みこませてある。
営業時間は10時から20時。