タグボートで秋山あいれ、岩岡純子、久木田大地3人展

【銀座新聞ニュース=2024年11月28日】タグボート(中央区日本橋富沢町7-1、ザ・パークレックス人形町、03-5645-3242)は11月29日から12月21日まで現代アートのギャラリー「tagboat」で秋山あいれさん、岩岡純子さん、久木田大地さんの3人展「New Eden」を開く。

タグボートで11月29日から12月21日まで開かれる秋山あいれさん、岩岡純子さん、久木田大地さんの3人展「New Eden」のフライヤー。

画家の秋山あいれさん、岩岡純子(すみこ)さん、久木田(くきた)大地さんの3人がヨーロッパ絵画の伝統的な技法や具象的な表現を現代アートのコンテクストに落とし込みながら、新しい表現を追求している作品を展示する。

タグボートによると、秋山あいれさんは古典的なモチーフを用いながら、グラフィカルな要素と重厚な油絵の手法を組み合わせ、表層と深層が交錯する独特の表現をめざしており、エッジの効いた線描と18世紀以前の描写を融合させ、人間の潜在意識に関わるテーマを通して、温度差や微かな違和感を浮き彫りにしている。

岩岡純子さんはヨーロッパ美術の名画と現代の日本の風景を重ね合わせ、タイムスリップのような構図で作品を展開している。名画の中の人物が現代の日本に存在しているようなシーンを描き、歴史と現代の文化的なギャップを探求しながら、現代社会を示唆する作品へと昇華させている。

久木田大地さんはヨーロッパの古典絵画を引用しながら、鑑賞者に視覚的な驚きを提供する作品を手がけており、画面構成には繰り返しや変容の手法を用い、鑑賞体験に“ずれ”を生じさせることで、古典と現代の間に新たな価値観を創出している。

秋山あいれさんはタグボートのインタビューの中で、今回の展示会について「自分自身の理想とする“都合のいい楽園”をテーマ」とし、「この楽園は、現実の複雑さや矛盾を排除した、理想的でありながらも自己中心的な空間」であり、「伝統的な古典絵画のモチーフを再解釈し、そこに現代的な視点を加えることで、鑑賞者にとっても共感しつつ、どこか違和感を感じるような世界観を表現」した。「この“都合のいい楽園”を通じて、理想と現実の間で揺れ動く人間の欲望や葛藤について考えるきっかけを提供できれば」としている。

岩岡純子さんはタグボートのインタビューの中で、今回の展示会について「名画の中の人物や静物から考えを巡らせた作品構成」とし、「リンゴに焦点を当てるところからプランを作り始め」た。「美術の世界にまつわる歴史・宗教的アイコンであるリンゴと、自分の生活に身近なリンゴを比較や並列するような作品から、消費社会を示唆するような構成」を考え、「直線的なコンセプトではこの複雑な世界を捉えきれないと思い、寓意画から現代を考えるような試みの作品」も展示している。

久木田大地さんはタグボートのインタビューの中で、「イメージを繰り返す」という自らの技法に触れた上で、今回の展示会について「さまざまな反復のさせ方があります。まっさらな背景に並べた場合、引用元の絵画空間に並べた場合、並べたうえで立体にした場合、などなど」とし、「制作の過程で誕生するコラージュ作品のシリーズのほか、古典絵画以外を引用した初の試みとなる作品を併せ、展示タイトルの通り、新たな園に向かうための実験報告のような意識で構成」している。「作品によってどのような印象の違いがあるかについて注目しながら」鑑賞してほしいとしている。

秋山あいれさんは1999年神奈川県生まれ、2023年に多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業した。2019年からグループ展に出品している。

岩岡純子さんは1982年千葉県生まれ、2009年に東京藝術大学大学院美術研究科を修了、2020年に「15th TAGBOAT AWARD(第15回タグボートアワード」で入選、同年にシェル美術賞2020で入選、2021年に「WATOWA ART AWARD(ワトワアートアワード)2021」に入選している。

久木田大地さんは2000年生まれ、2021年に武蔵野美術大学油絵学科に入学し、2022年にSOMPO美術館「FACE2023」で入選し、同年にGALLERY b.で個展を開いている。また、交流や制作のための共同アトリエの運営、ウイスキーのブランディングデザインを行っている。

11月29日18時から20時までオープニングレセプションを開く。予約は不要で参加は自由。

開場時間は11時(29日は17時オープン)から19時。入場は無料。日・月曜日、祝日は休み。作品はオンラインでも購入できる。