中央の百貨店11月も5店共+、訪日外国人需要堅調、国内客回復へ

(終わりの方に参考として10月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年12月3日】中央区とその周辺の主要百貨店の11月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは33カ月連続となっている。

中央の百貨店5店の中で、10月の売上高(店頭ベース)で前年同月比18.9%増ともっとも伸ばした松屋銀座店。

11月は、10月と比較して気温が低下し、「婦人と紳士共にコートやセーターなどの需要の高まりがみられた」(三越伊勢丹ホールディングス)、「秋冬物衣料品が活発に動いた」(J.フロントリテーリング)。また、訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税)は「中国の国慶節押上効果があった10月の実績、前年実績ともに超え」(三越伊勢丹ホールディングス)、高島屋では前年同月比29.9%増、J.フロントリテーリングも同31.9%増、松屋銀座店が同約44%増と高い伸びを示している。

さらに、10月に訪日外国人観光客売上高を除いた国内顧客の売上高がマイナスとなった高島屋、J.フロントリテーリングとも11月にプラスに転じるなど、国内顧客も回復傾向にある。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比4.2%増(10月速報値0.2%増、確定値0.2%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、10月の商品別では、紳士服・洋品、婦人服・洋品、子ども服・洋品、化粧品、美術・宝飾・貴金属、その他雑貨、食料品、サービス、その他がマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは33カ月続けて前年を上回った。

同じく12.1%増と伸ばした銀座三越。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同12.1%増(同速報値10.1%増、確定値10.1%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、10月の商品別では紳士服・洋品、美術・宝飾・貴金属、食堂・喫茶、サービス、その他がマイナス、ほかはプラス)と39カ月続けてプラスとなった。

11月は伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引し、三越伊勢丹計(5店)で同10.4%増、国内グループ百貨店計(5店を除いた10店)で同0.3%増、国内百貨店計(全15店)で同6.8%増だった。

11月はラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドのハンドバッグ・財布、宝飾、化粧品などは堅調に推移した。冬物・防寒アイテムでは、11月に入り、気温が低下し、寒さが増すと、婦人と紳士共にコートやセーターなどの需要の高まりがみられた。

訪日外国人観光客売上高は中国の国慶節押上効果があった10月の実績、前年実績ともに超えた。国内百貨店の全体購買傾向と同様に、ラグジュアリーブランドのハンドバッグ・財布、宝飾・時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いとしている。

同じく12.1%増と伸ばした日本橋高島屋。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同12.1%増(同速報値5.7%増、確定値5.8%増、10月の高島屋=国内12店舗とEC店ベース=の商品別売り上げは紳士服・洋品、子ども服・洋品、その他衣料品、家具、生鮮食品、菓子、惣菜、美術・宝飾品・貴金属、その他、サービスがマイナス、ほかはプラス、訪日外国人観光客売上高は同35.1%増、訪日外国人売上高を除いた国内売上高は同1.4%減)と38カ月続けてプラスとなった。

11月の店頭売上高は、国内百貨店計(12店舗+EC)で同8.0%増、訪日外国人観光客売上高は同29.9%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同5.6%増だった。国内顧客は、気温の低下に伴い、コートやマフラー、ストールなどの防寒アイテムに動きが見られ、訪日外国人観光客売上高はラグジュアリーブランドをはじめとする高額品や化粧品が堅調に推移した。

商品別売上高では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、スポーツ、リビング、美術、食堂が前年実績を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同9.3%増(同速報値3.6%増、確定値3.5%増)と38カ月続けてプラスとなった(10月の全店の商品別売り上げは紳士服・洋品、婦人服・洋品、子ども服・洋品、その他衣料品、その他雑貨、家具、その他食料品、サービスがマイナスで、他はプラス、訪日外国人観光客売上高は同27.8%増、訪日外国人売上高を除いた国内売上高は同0.8%減)。

11月は、ラグジュアリー、化粧品、宝飾品が引き続き好調に推移し、10月と比較して気温が低下したことにより秋冬物衣料品が活発に動いたことなどから、大丸松坂屋百貨店合計(13店舗と法人・本社)では同7.6%増、関係百貨店(2店舗)を含めた百貨店事業合計でも同7.6%増となった。

訪日外国人観光客売上高(速報値)は同31.9%増(客数同42.3%増、客単価同7.3%減)となった。訪日外国人観光客売上高は2019年11月比72.1%増、2018年11月比73.1%増だった。

大丸松坂屋百貨店合計(関係百貨店2店、法人、本社等を除く)では同8.1%増、うち訪日外国人観光客売上高を除く国内売上高は同5.0%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同18.9%増(同速報値14.9%増、確定値14.9%増、10月の銀座店の商品別では紳士服・洋品、婦人服・洋品、呉服寝具ほか、家具、家庭用品、サービス、その他がマイナスで、ほかはプラス)と39カ月続けてプラスとなった。

11月の銀座店は、化粧品が前年比約29%増、ラグジュアリーブランドは同約20%増になるなど銀座店の強みとなるカテゴリーが好調に推移した。また、婦人衣料品が前年比45%増と大幅な伸びを示すなど、気温の低下による防寒衣料へのニーズが高まった。一方、訪日外国人観光客売上高についても、為替が変動する中においても前年同月比約44%増となるなど引き続き、全館を牽引している(訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占める割合は、前年比約7ポイント増の42%)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内70社178店舗(9月比0店、前年同月比2社、2店舗減)の10月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比0.7%減の4477億4569万円と、32カ月ぶりにマイナスとなった(2019年10月比19.2%減)。

増勢が続く訪日外国人観光客と、ラグジュアリーブランドなどの身のまわり品や化粧品は伸長したものの、夏日が続く記録的な高温により秋冬物商材が苦戦し、日曜日が対前年で1日減だったこともマイナス要因になったとしている。

10月は売上高とともに、入店客数(同0.6%減)も32カ月ぶりのマイナスで、その一方で、訪日外国人観光客売上高は円安基調の中、中国の国慶節休暇(10月1日から7日)による客数増もあり、売上高が508億円(同32.3%増、31カ月連続増、シェアは11.4%)、購買客数が51万8000人(同41.3%増)と10月として過去最高を記録し、1月から10月の累計売上高累計は5347億円(前年同期比104.3%増)となり、2カ月を残す現段階で、調査開始(2014年10月)以来、初めて5000億円を突破した。前年の年間売上高(2023年1月から12月3484億円)との対比でも53.5%増となっている。

国内市場は身のまわり品や化粧品は好調だったが、天候要因から衣料品を中心に秋冬アイテムの動きが鈍く、食料品も苦戦し、3カ月ぶりのマイナスだった。

地区別では主要都市(10都市)のうち、札幌、京都、大阪、神戸、福岡の5地区でプラスとなり、仙台、東京、横浜、広島がマイナスだった。

地方(10都市以外の7地区)では全地区が前年割れで、2カ月ぶりにマイナスとなり、都市と地方の差は、前月より4.5ポイント拡大した。

商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のうち、身のまわり品(同2.7%増)と雑貨(同1.8%増)の2品目がプラスで、ラグジュアリーブランドのバッグなど革小物は引き続き伸長した。化粧品はスキンケアやメイクアイテムの他、限定品の人気も高く国内外共に好調だった。

主力の衣料品(同4.3%減)、天候要因からコートなど重衣料の動きが鈍く苦戦した。食料品(同2.0%減)は、価格高騰などの影響から前年割れだが、菓子が訪日外国人観光客需要やギフト需要で健闘した他、物産展など人気の食品催事も好調に推移した。家庭用品は同3.2%減だった。毎年、各社が趣向を凝らし展開しているおせちやクリスマスケーキの予約は、堅調な滑り出しだった。

全国の百貨店の10月の営業日数は前年10月と同じく30.9日、102店舗の回答によると、入店客は37店が増え、40店が減ったとしている。

東京地区(12社22店)の10月の売上高は前年同月比1.1%減の1309億1794万円と2カ月続けてマイナスとなった。

国内87店舗の訪日外国人観光客による10月の売上高は同32.3%増の約508億4000万円と31カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが11.4%としている。

このうち、一般物品売上高は同28.1%増の約432億5000万円と43カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同62.3%増の約75億9000万円と27カ月続けてプラス、購買客数が同41.3%増の約51万8000人と30カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同6.4%減の約9万8000円で、2カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服が上位に入った。

免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシアとなっている。