【銀座新聞ニュース=2025年1月21日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は2月11日まで古屋兎丸さんによる個展「『SCHWEIGEN-沈黙』2025-演劇『ライチ☆光クラブ』2025上演記念」を開いている。
マンガ家の古屋兎丸(うさまる)さんの代表作「ライチ☆光クラブ」の舞台劇が1月10日から26日まで吉本興業が運営するIMM THEATER(シアター、文京区後楽1-3-53、03-6240-0391)で上演されており、それを記念して古屋兎丸さんの原画展を開いている。
今回は2023年の東京展示、2024年の大阪での巡回展を経て、「ライチ☆光クラブ」をオールフルカラーで描き下ろした「SCHWEIGEN(シュヴァイゲン)-沈黙」の新作を披露している。
ヴァニラ画廊によると、作品内の台詞(せりふ)を大胆に省いたことにより、サイレントフィルムのような静寂さをまとい、対になるような絢爛な色彩で美しく陰惨な世界をより鮮やかに描き込んだ意欲作である「SCHWEIGEN-沈黙」シリーズが、いよいよ佳境を迎え、一層の凄みと迫力が原画からにじみ出ているとしている。また、「白昼夢-WACHTRAUM(ヴァハトラウム)」も一部展示している。
さらに、過去に展示された「帝王の玉座」も再びフォトスポットとして登場させており、展覧会オリジナルグッズも新作を取り揃えて販売している。
ウイキペディアによると、「ライチ☆光クラブ」は月刊誌「マンガ・エロティクス・エフ」(太田出版、2001年1月創刊、2014年7月休刊)の2006年33号から39号に掲載されたマンガが原作だ。ただ、その元は劇団「東京グランギニョル」(1983年結成、1986年解散)の演劇「ライチ光クラブ」(1985年、1986年)が本来の原作だが、古屋兎丸さんはストーリーや人物設定の一部が原作とは異なっているとしている。
雑誌に掲載された後、「ライチ DE 光クラブ」のタイトルで2012年10月から11月までTOKYO MXにて8話が放送された。その後、2012年12月に紀伊國屋ホールにて舞台劇が上演され、2013年12月にAiiA Theater Tokyo(アイアシアタートーキョー)で再演され、2015年12月に残酷歌劇「ライチ☆光クラブ」としてミュージカル化された。2016年に「ライチ☆光クラブ」のタイトルで映画化されている。
物語は螢光町の片隅にある少年達の秘密基地「光クラブ」。そこには帝王として君臨するゼラを筆頭とする9人の少年が集い、ある崇高な目的のために「機械」を作っていた。やがて完成した「機械」は「ライチ」と名付けられ、「美しいもの」を連れて来るよう命令されるが、ライチは「美しいもの」が何なのか理解できず、違うものばかりを集めてくる。
ある日、特殊な設定を施されたライチはようやく「美しいもの」が何なのか理解できるようになり、1人の美しい少女「カノン」と数人の少女を光クラブに連れて来た。光クラブの面々はカノンを玉座に据えて女神として崇め、次の目的へ進もうとする。しかしある時、メンバーのタミヤとダフがカノン以外の少女達を密かに逃がそうとしていたことが発覚し、タミヤは粛清として自分の手でダフを処刑することになってしまう。更にゼラ(常川)と親密な仲にあった少年・ジャイボが仕掛けた罠によってゼラは疑心暗鬼に陥り、光クラブの少年達の結束は徐々に崩壊し始める。
古屋兎丸さんは1968年東京都生まれ、多摩美術大学美術学部絵画科(油絵専攻)を卒業、卒業後は油絵だけで身を立てるのが難しく、アルバイトでイラストを描いて収入を得、マンガ家への転身を決意し、1994年に月刊「ガロ」に掲載された「Palepoli(パレポリ)」でデビュー、高校の美術講師をしながらマンガを描き続け、週刊マンガ誌「π(パイ)」への連載により、フリーとなる。
2005年にオムニバス映画「ズー(ZOO)」の中の「陽だまりの詩」の脚本・絵コンテ・キャラクターデザインを手がけ、劇団「東京グランギニョル」の舞台をマンガ化した「ライチ☆光クラブ」で注目され、2012年12月に舞台化された。2016年10月より「ゴーゴーバンチ」(新潮社)で「少年たちのいるところ」を連載し、2017年に単行本として刊行し、2017年1月より2020年まで「モーニング・ツー」(講談社)で「アマネギムナジウム」を連載し、単行本化(全7巻)されている。2025年から新連載「ぼくたちの心中」(太田出版)がスタートする。2009年に結婚し、2010年4月に長男、2013年12月に長女が誕生している。
開場時間は12時から19時(土日曜日、祝日、最終日は17時)。入場料は1000円。会期中は無休。