丸善丸の内で前田青邨、岡鹿之助、田渕俊夫ら文化勲章受章者展

【銀座新聞ニュース=2025年1月21日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は1月22日から28日まで4階ギャラリーで「文化勲章受章作家版画展」を開く。

丸善・丸の内本店で1月22日から28日まで開かれている「文化勲章受章作家版画展」に出品されている「花明かり」(1978年)。京都市・円山公園の枝垂(しだれ)桜を描いた作品。

丸善・丸の内本店で毎年新年恒例の日本文化を担う文化勲章を受章した巨匠たちの版画展を開く。同時に現代の人気作家の版画展も併催する。

今回、出品するのは、日本画家で「朦朧体(もうろうたい)」と呼ばれる、独特の描法を確立し、1937(昭和12)年に制定された文化勲章の第1回受章者となった横山大観(1868-1958)、ヨーロッパで学んだ油彩画に、桃山美術や琳派、南画といった日本の伝統的な美術を取り入れ、装飾的な世界で知られ、1952年に受章した梅原龍三郎(1888-1986)。

歴史画を軸に肖像画や花鳥画など幅広く作域を示し、武者絵では鎧兜の精密な描写で知られ、1955年に受章した前田青邨(せいそん、1885-1977)、刷毛で胡粉などを100回とも200回ともいわれる塗り重ねをし、微妙な色加減の作品が特徴とされ、1962年に受章した奥村土牛(1889-1990)。

日本の風景画家で「国民的画家」として知られ、1969年に受賞した東山魁夷(1908-1999)、日本を代表する板画(版画)家で、「仏」を題材にした作品で知られ、1970年に受賞した棟方志功(1903-1975)、点描画法により、幻想的な風景画で知られ、1972年に受賞した岡鹿之助(1898-1978)、日本画家でエジプトやインドなどの古代遺跡や神像、抽象画や裸婦など従来の日本画にはなかった題材を描いたことで知られ、1974年に受賞した杉山寧(やすし、1909-1993)。

阿蘇山を好んで描き、「阿蘇の田崎」と呼ばれ、晩年は「朱富士」を描き、1975年に受賞した田崎広助(ひろすけ、1898-1984)、バラの絵で知られ、1975年に受賞した中川一政(かずまさ、1893-1991)、女性画や静物を生き生きと描き、1980年に受章した小倉遊亀(ゆき、1895-2000)、フランス・パリを中心とするヨーロッパの歴史が刻まれた街並みを描き続け、「世界のオギス(Oguiss)」として知られ、1986年に受章した荻須高徳(たかのり、1901-1986)。

「帝展」や「院展」にたびたび落選し「落選の神様」とまでいわれながら、強烈な色彩とデフォルメで独自の絵画世界を築き、1989年に受章した片岡球子(1905-2008)、シルクロードの画家で、1998年に受章した平山郁夫(1930-2009)、日本画の伝統的な様式美を現代的な感覚で表現し、2003年に受章した加山又造(1927-2004)。

 

同じく出品される上村淳之の「初日影(四季セット)」(シルクスクリーン、2017年)。

独自に編み出したアフレスコ画(affresco、イタリア語で「フレスコ」)により鮮烈な色彩イメージを展開し、エネルギーのあふれた絵画を描き続けている東京藝術大学名誉教授で、2021年に受章した絹谷(きぬたに)幸二さん(1943年生まれ)、花鳥画の第一人者として知られる元京都市立美術大学副学長で、2022年に受章した上村淳之(1933-2024)、東京藝術大学名誉教授、日本美術院理事長で2024年に受賞した田渕俊夫さん(1941年生まれ)ら。

「人気作家の版画展」としては、孤高の洋画家で自宅の虫や花を描き続けた熊谷守一(1880-1977)、順天堂大学国際教養学部客員教授の平松礼二さん(1941年生まれ)、日本画家で京都造形芸術大学(現京都芸術大学)元学長、同大学付属康耀堂美術館館長の千住博さん(1958年生まれ)、東京藝術大学名誉教授で、「人物画」シリーズや花鳥画を得意とし、桜、牡丹の絵画で知られる日本画家の中島千波さん(1945年生まれ)らが出品する。

ウイキペディアによると、文化勲章は当時の首相の広田弘毅(こうき、1878-1948)の発案により、1937(昭和12)年の文化勲章令をもって制定された。毎年11月3日に親授式が皇居宮殿松の間で行われ、天皇から直接授与(親授)されるが、1997年以前は天皇臨席のもとに内閣総理大臣が勲記と勲章を手交する伝達式の形式で行われていた。

そのため、以前は同じく宮中伝達式により授与される旧勲2等と同位に位置づけられていたが、現在では天皇親授により授与される大綬章(旧勲1等)と同位に位置づけられている。

文化庁文化審議会に置かれる文化功労者選考分科会の意見を聞いて文部科学大臣が文化功労者のうちから選んで、毎年度5人程度を首相に推薦し、内閣府賞勲局で審査したうえ、閣議決定する。慣例として、その年にノーベル賞を受賞した者で文化勲章未受章である人には、文化勲章が授けられる。

文化勲章には金品などの副賞は伴わないが、1951年に文化功労者顕彰制度が創設され、前年度までの文化勲章受章者で存命者を一斉に文化功労者として顕彰するとともに、以後も文化勲章受章者は同時に文化功労者でもあるように運用しているため、文化勲章受章者は文化功労者年金法に基づく終身年金が支給される。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。