【銀座新聞ニュース=2025年3月14日】タグボート(中央区日本橋富沢町7-1、ザ・パークレックス人形町、03-5645-3242)は3月14日から4月5日まで現代アートのギャラリー「tagboat」で岡村一輝さん、ももえさん、リッチマン・フィニアさんによる3人展「PLAY GROUND」を開く。
今回は、3人の画家がそれぞれの視点と手法を通じて「自分らしさ」や「自己探求」や「創造の自由」をテーマにした作品を発表する。
タグボートによると、岡村一輝さんは、日常や旅先で描いたドローイングを手がかりに、浮遊感のある絵画を制作している。実際の風景をもとにしながらも、どこか夢のような世界を作り出し、現実と空想が混じり合うような感覚を与えるとしている。
岡村一輝さんは自らの作品について、「生物の幼生や幼体、植物の新芽や花などを描いている。成体になる前の柔らく曖昧なその段階は『これから』どのような形になるのかを想像させる存在」とし、「絵を描く過程で発生する油絵具の滲みや掠れが、何かに見えそうと想像することも画面の『これから』を意識する行為である。何になるかわからない存在、あやふやな輪郭、絵具の変化、それらが絵画の中で浮遊し漂いながら、少しずつ形が浮かび上がってくる。そしてそれらが組み合わさり、ここではないどこか遠くの向こう側の景色になったとき、『これから』を想像させる」作品になるとみている。
ももえさんは、平面的なキャラクターと身近なものを組み合わせ、キャンバスの枠を超えた独自の世界を展開している。日常の何気ない発見をもとに、ユーモアと鋭い視点が交わる作品を生み出している。作品については「私が面白いと感じたことを、見てくれた方にも面白いと感じてもらえるものを作りたい」としている。
リッチマン・フィニアン(Finian Richman)さんは、自分自身の心の中にある後悔や葛藤を表現している。日英のハーフとしての自身の背景や、大人になっても成長しない精神「インナーチャイルド」との対話を作品に落とし込み、自身の内面を引き出している。
リッチマン・フィニアンさんの制作スタイルについては「粘土で制作した『子供の頃の自己像』の彫刻を絵に起こすことです。子供の頃の自己像というのは、期待と不安で包まれ多様なカタチをしています。ハーフとして生まれ、二つの故郷で二分化したアイデンティティの複雑な構造や、大人になった自分と誰しもが抱える成長しない精神「インナーチャイルド」との内面的な乖離などがこの作品を形成」しており、「作品を通して、現代社会に影を落とす内なる孤独、不安定な自身の在り方について考察し、表現・展示を通じ人々が自分自身を投影するきっかけになれば」と考えている。
岡村一輝さんは1983年東京都生まれ、2007年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業、2009年に同大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻を修了、女子美術大学付属中学校高等学校教員を経て、2022年に「Independent Tokyo 2022」でタグボート特別賞、小山登美夫審査員特別賞を受賞している。
ももえさんは2002年埼玉県生まれ、多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業、2023年に「GEISAI#22」でMr.賞を受賞している。
リッチマン・フィニアンさんは1992年英国生まれ、2015年にCity and Guilds of London Art Schoolを卒業、2013年にロンドンの「Royal Academy of Art London Original Print Fair」で入選、2016年にロンドンの「Leverhulme Art Scholarship Award」で受賞、2022年に「新ACTコンペティション novae 2022」で入選、同年に「第8回Shibuya Art Award 平泉千枝賞」で受賞している。
3月14日18時から20時までオープニングレセプションを開く。岡村一輝さん、ももえさん、リッチマン・フィニアさんが来場する。予約は不要で参加は自由。
開場時間は11時(14日は17時オープン)から19時。入場は無料。日・月曜日、祝日は休み。