タグボートで「Independent」受賞展、タムロアヤノ、竹内みから

【銀座新聞ニュース=2025年4月10日】タグボート(中央区日本橋富沢町7-1、ザ・パークレックス人形町、03-5645-3242)は4月10日から30日まで現代アートのギャラリー「tagboat」で「Independent Tokyo 2024 Selection」を開く。

タグボートで4月10日から30日まで開かれる「Independent Tokyo(インディペンダント)2024Selection(セレクション」に出品されるグランプリ受賞のタムロアヤノさんの作品。

2024年夏に開かれた「Independent Tokyo 2024」(東京都立産業貿易センター浜松町館)で、185人の参加者の中から賞を獲得したアーティスト7人による展覧会が「Independent Tokyo 2024 Selection」で、グランプリ(賞金20万円)に輝いたタムロアヤノさん、準グランプリ(同10万円)の竹内みかさん、タグボート特別賞の宮口拓也さん、土屋靖之さん、TAIKI(タイキ)さん、ふるやみかさん、わんぱく中年とのまるさんの7人の作品を展示販売する。

「Independent Tokyo」は主催者のタグボートの代表取締役の徳光健治さんが2008年に「Young Artists Japan」という作家主体のアートフェアを立ち上げ、その後、現在の「Independent Tokyo」に名称を変えて、毎年夏に若手の新進アーティストが作品を展示販売する場としてのアートイベントとなっている。

タムロアヤノさんは1984年大阪府生まれ、2006年に大阪芸術大学デザイン学科を卒業、広告代理店でグラフィックデザイナーとして活動し、2017年からイラストレーターとして始動し、2020年から作家として作品の制作、展示、販売を始めている。2017年に誠文堂新光社の「イラストノート」で大塚いちおさんに選出されて秋のノート展で入賞。

2019年に「UNKNOWN ASIA2019」でSTYLEM賞、フルタニタカハル賞(2022年に紀陽銀行賞、HOMES賞、FESTIVAL CITY賞、コバヤシタカ賞、2023年に近藤浩章賞)、2022年に個展を開き、2024.年に「Independent Tokyo 2024」でグランプリを受賞している。

タムロアヤノさんは穏やかな空間をテーマに、家族との時間を通じて物質的価値を超えた大切なものを問い直し、その思索を絵画として具現化している。大切な人との空間や訪れた場所の記憶と空想を織り交ぜ、一枚の絵に温かさと静けさを込める。油絵具やオイルパステルを使用し、鮮やかでありながら柔らかな質感を追求し、作品は視覚的だけでなく感覚的にも安らぎを与えるものとなっている。

竹内みかさんは兵庫県神戸市生まれ、大阪芸術大学短期大学部デザイン美術学科を卒業、広告代理店でグラフィックデザイナーとして勤務、2010年から本格的に制作活動を開始した。2013年に第187回ザ・チョイスで皆川明さんの選で最終選考に残り(2017年に第205回で松昭教さんの選で入選)、2015年に「Here is ZINE tokyo 11」で入選、2016年に第14回「1_WALL」グラフィック部門で入選、「HBギャラリーファイルコンペvol.27」で日下潤一賞、大賞。

2018年に「UNKNOWN ASIA 2018」でサハラクミコ賞(2019年に六甲ミーツアート芸術散歩賞、永井秀二賞、濱章浩賞)、2019年に第5回宮本三郎記念デッサン大賞展で入選、2020年に「六甲ミーツ・アート芸術散歩2020オーディエンス大賞」でグランプリ、2024年に「Independent Tokyo 2024」で準グランプリなどを受賞している。

竹内みかさんは「メロディペット」と呼ばれる動物型遊具をモチーフに、絵画やインスタレーションを制作している。これまで国内外約80カ所の遊園地でフィールドワークを行ない、近年は、娯楽の多様化や少子化によって古い遊園地が軒並み閉鎖され、メロディペットも希少な存在となっている。昭和の時代に作られ、今も遊園地の片隅でゆっくりと歩く彼らが「消費社会」や「豊かさ」について問いかける。

宮口拓也さんは1979年北海道生まれ、2001年に道都大学美術学部デザイン学科を卒業、2005年に東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻を修了している。2000年に道展(北海道美術協会)で入選(2001年から2003年まで入選)、2002年に国展(国画会)で入選(2003年も入選)、2003年に第9回浜松市美術館版画大賞展で入選(2011年第11回で入選)、2004年に第72回版画展(日本版画協会)で入選。

2007年にあおもり国際版画トリエンナーレ2007(国際芸術センター青森)で入選、東京で個展を開き、2008年に第16回プリンツ21グランプリ展(東和ギャラリー)で入選、2024年に「Independent Tokyo 2024」でタグボート特別賞を受賞している。

宮口拓也さんは日常的なテーマを独特の視点で表現し、色彩豊かな作品を制作している。特に「フェンス(境界)」をモチーフにしたペインティング作品が特徴的で、これを通して儚さと再生というテーマを表現している。今回は新作3点を出品する。

土屋靖之さんは広島県生まれ、東京大学教育学部を卒業、2021年に「UNKNOWN ASIA 2021」でレビュワー賞(飯野マサリ賞・カルドネル佐枝賞)、2024年に「Emerging Artists Osaka 202」でターナー色彩賞、同年に「Independent Tokyo 2024」でタグボート特別賞などを受賞している。

土屋靖之さんは文房具が主役となる作品を制作している。デジタル化によってビジネスの現場で存在感を失いつつある文房具たちに、アートという新たな活躍の舞台を提供している。ミニマリズム、レディメイド、ポップアートの要素を取り入れ、文房具やその素材を巧みに配置して、視覚的に洗練された幾何学的な美を表現している。特に、デジタル化が進む現代社会において、ビジネスの現場で使われる機会が減少した文房具に、新たな活躍の場を提供するというコンセプトに基づいている。

TAIKIさんは1994年生まれ、2017年にバンタンデザイン研究所東京校ファッションデザイン科を卒業、企業のグラフィックデザイナーとして活動し、2021年からアーティストとして活動、2024年に「IndependentTokyo2024」でタグボート特別賞を受賞している。

TAIKIさんは日本と韓国のハーフで、異なるアイデンティティが共存する現代社会を表現する作品を制作している。日本と韓国のハーフとしてアイデンティティについて深く考え、自己表現の手段としてパッチワーク技法を取り入れている。この手法を通じて、多様なアイデンティティの存在を表現し、社会における個々の独自性を強調している。また、「継ぎ接ぎ」というコンセプトのもとに制作しており、多種多様なものが共存している現代社会が自身のルーツである服飾学生時代に用いていたパッチワークという手法とリンクしたことにより「継ぎ接ぎ」が生み出す造形美を追求している。

ふるやみかさんは1988年大阪府生まれ、2019年に武蔵野美術大学造形学部通信教育課程絵画コースを卒業、2016年に現展で入選、2019年に「UNKNOWN ASIA 2019」でレビュアー賞、池田容賞、前田敏幸賞、2021年に「The 5th Annual’Parade Of Fools’」でホルベインギャラリー Grand Fool賞、2024年に「Independent Tokyo 2024」でタグボート特別賞などを受賞している。

ふるやみかさんは自身の性自認の悩みによる経験から「SOTAI」というヒトガタの記号を生み出し、社会のさまざまな枠組みの中で記号化されてしまう人を表現すると同時に、すべての人の概念を象徴するものとして作品に昇華している。人とコミュニティ・社会の多様性の先にあるすべての共生をテーマとしている。

アクリル絵の具でビビッドな色と中間色を用いて多様な心情の様子を表現し、書の呼吸を取り入れた流動的な筆致で変わり続ける世を平面や立体作品に描いている。最近では、「いろんな人のふつうを考えられるようになると、新しいふつうが生まれる気がする」という概念を「SUPER NORMAL」と名づけ、作品をより日常生活に溶け込められるよう意識し、制作をしている。

わんぱく中年とのまるさんは1975年大阪府生まれ、2018年から制作活動をはじめ、2018年にアートストリーム2018(大丸 心斎橋店)でMBS賞、2019年から個展を開き、2024年に第1回松本国際アート展un do展(松本市立博物館)で最優秀賞、第13回躍動する現代作家展(福岡アジア美術館)で410Gallery賞、「Independent Tokyo 2024」(東京都立産業貿易センター浜松町館)でタグボート特別賞、第14回躍動する現代作家展(国立新美術館)で躍動する現代作家賞などを受賞している。

わんぱく中年とのまるさんは自称“こうさくし”として、図画工作の発想を軸に、身近な素材を活かした作品を展開している。工作とアートの境界を超え、技術や技法に縛られない自由な創作を追求し、八百万の神の思想に影響を受け、素材の持つ力を引き出すことを重視している。

4月10日18時から20時までオープニングレセプションを開く。予約は不要で参加は自由。

開場時間は11時(14日は17時オープン)から19時。入場は無料。日・月曜日、祝日は休み。18日と19日は休み。