丸善丸の内で徳永陶子「水」展、水から生命の記憶を辿る

【銀座新聞ニュース=2025年5月17日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は5月21日から27日まで4階ギャラリーで徳永陶子さんによる作品展「記憶シリーズvol.18-『水』」を開く。

丸善・丸の内本店で5月21日から27日まで開かれる徳永陶子さんの作品展「記憶シリーズvol.18-『水』」に展示される「みなもと」。

2007年から丸善・丸の内本店で「点在する記憶」をテーマに個展を開いている、綿キャンバスにビニル絵具(フラッシュ=Flashe)で描く画家の徳永陶子さんの18回目の個展を開く。

今回は命の源でもあり、記憶の伝達にも関わる「水」がテーマで、徳永陶子さんは水を制作プロセスにおいて重要な素材と位置付けており、「塗る、流す、拭う」という身体的なプロセスを繰り返し、色彩や水と対話しながら、作品に命を吹き込んでいる。水から生命の記憶を辿るような作品の数々を展示する。

「点在する記憶」シリーズは記憶の断片から甦る光と色彩が溢れる世界を描き続けており、徳永陶子さんにとっては「素材とテーマの関係性は大変重要な意味を持ち、特に素材との触覚的な相性は、ひじょうに深く制作のプロセス」とかかわっている。

徳永陶子さんはフランスでビニル絵具と出会い、20年以上使用しており、「この素材と出会ったことで、現在のテーマを掘り下げてこられた」としている。

徳永陶子さんによると、ビニル絵具はポリマー樹脂ベースの水溶性で、乾くと耐水性をもち、顔料の粒子が細かく、絵具を水にといて塗るグラッシという技法では、よい効果を得られ、仕上がりはマットな質感で透明感があるとしている。

ヨーロッパではフレスコ画の修復時に使われたり、古典技法におけるテンペラ絵具と同様に使用できる絵具としても知られている。また、油絵具との併用、混合技法でも使われている。

徳永陶子さんは1967年東京都生まれ、1991年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業、同年にフランスにわたり、1995年にパリ国立美術学校(エコール・デ・ボザール)を卒業、この間、1992年にフランス芸術院(アカデミー・フランセーズ)主催のデッサンコンクールで入選、1998年にサロン・ド・ジュンヌ・パンチュールで入選、同年に第43回サロン・ド・モンルージュで入選、1999年にフランスのニース・ヴィエンナーレ「抽象絵画の視点」に出品、同年にサロン・ド・スー・パピエ(紙の作品展)で入選、2000年にフランス文化省主催外国人若手作家34人展に出品した。

2001年にポーラ美術振興財団在外研修員として南フランスにて研修、2001年11月に「サロン・ド・ヴィットリー」で入選、1997年より2008年までフランス芸術家協会(メゾン・ド・アーティスト)会員、2003年より日本美術家連盟会員、2007年から毎年、丸善・丸の内本店で個展を開いている。

2008年にアメリカ・ニューヨークのコーギャラリー(Coo Gallery)の「イベリカ賞公募展」で最優秀イベリカ大賞、2010年にフランス・バルビゾン市主催の「ミレー『晩鐘』創作150周年記念展」に出品、2012年にポーラ・ミュージアム・アネックスで個展、2014年にアメリカ・ロサンゼルスで個展、2015年にフランス・リヨンで個展を開いている。2007年にパリから帰国し、2019年から2021年まで武蔵野美術大学造形学部油絵学科非常勤講師、2022年から創形美術学校非常勤講師、2023年から武蔵野美術大学造形学部油絵学科非常勤講師。

5月22日以外は徳永陶子さんが来場する。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。