丸善日本橋で富山ガラス工芸展、小暮紀一、林裕子、吉田薫ら

【銀座新聞ニュース=2025年6月2日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は6月4日から10日まで3階ギャラリー特設会場で「Toyama Glass a la carte-とやまのガラス展」を開く。

丸善・日本橋店で6月4日から10日まで開かれる「Toyama Glass a la carte(富山ガラスアラカルト)-とやまのガラス展」のフライヤー。

「富山ガラス作家協会」(富山県中新川郡舟橋村東芦原145-3)が後援するイベントで、薬瓶に由来する富山のガラスの歴史、この地で生まれた質の高いガラスの作品は「明日のとやまブランド」として富山県が2012年度に認定している。

今回は小暮紀一(のりかず)さんら富山に工房を構える作家が吹きガラス、バーナーワーク、キルンワークなどの技法を駆使して制作した器やインテリア、アクセサリー、オブジェなどのガラス作品を展示販売する。

技法としては「吹きガラス」は熔けたガラスを吹き竿に巻き取り、息を吹き込んで成形する技法で、主に手吹きと型吹きがあり、自由な形や模様を作り出すことができる。

「バーナーワーク」はガスバーナーでガラス棒を加熱し、形を整えていく技法で、細かい作業や装飾に優れていおり、小さなガラスパーツやアクセサリーを製作するのに適している。

「キルンワーク」は窯(キルン)を使ってガラスを溶かし、成形する技法で、フュージングやキャストガラスなど、複雑な形や模様を作り出せる。

今回、出品するガラス工芸作家は工房「蜻蛉(とんぼ)玉 丙午(へいご)」(富山市古沢237-3-4A、076-427-0550)を主宰する小暮紀一さん、小暮紀一さんの妻で、富山ガラス作家協会の副会長の林裕子(ひろこ)さんの2人とスタッフなどで2018年に設立した「KOGURE Glass Works(コグレガラスワークス)」(富山県富山市古沢237-3)、富山ガラス作家協会の共同代表で、「GLASS FACTORY K’s studio(ガラス・ファクトリー・ケーズ・スタジオ)」(富山県中新川郡舟橋村東芦原145)を主宰する吉田薫さん、「富山ガラス工房」(富山県富山市古沢152、076-436-2600)に所属する杉江真奈美さん。

富山ガラス作家協会によると、富山市でガラス造形文化が誕生したのは1985年で、新しい文化の創出と地場産業育成の観点から、富山市がガラス芸術の振興に力を入れようと「富山市民大学ガラス工芸コース」を開講したのが始まりとしている。

富山市によると、300年以上の伝統を受け継ぐ富山の売薬に由来しており、明治、大正期にはガラスの薬瓶の製造が盛んで、富山駅を中心に溶解炉をもつガラス工場が10社以上あったといわれている。こうした多くのガラス職人が存在したことに着目して1985年に「市民大学ガラス工芸コース」を開講したのを皮切りに、「ガラスの街とやま」への取り組みがスタートした。

1989年3月に社会福祉法人富山市社会福祉協議会の「ガラス工芸共同作業所」が開設され、1991年に将来のガラス文化を担う人材育成のための学びの場として「富山ガラス造形研究所」を開校し、1994年4月に地場産業としての定着をめざして制作の場「富山ガラス工房」を開設した。

1997年4月にはガラス作家の独立を支援するための「個人工房」を開設し、富山市は「ガラスの街とやま」の実現に努め、2002年に「第1回現代ガラス大賞展・富山2002」を開き(以降、3年ごとに開催)、2012年9月に「富山ガラス作家協会」を設立、2015年8月に鑑賞の場として「富山市ガラス美術館」を開設している。

富山ガラス作家協会は、作家がガラスアートを通じて富山の文化・産業の発展に寄与すると共に、作家同士の交流を図りながら創作環境の向上をめざしており、富山ガラス造形研究所」や「富山ガラス工房」と連携しながら、「富山のガラス文化」を日本全国及び世界へ発信している。

小暮紀一さんは1966年千葉県生まれ、1990年に武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン科を卒業、1994年に富山ガラス造形研究所造形科を卒業、トンボ玉の制作をはじめ、1995年に富山市内に工房「蜻蛉玉 丙午」を設立、2002年に林祐子さんと結婚し、2002年から2010年まで武蔵野美術大学工芸工業デザイン科の特別講師を務め、2013年にアートフェア富山2013・アートアワードで準グランプリを受賞している。

林裕子さんは1963年生まれ、1995年に独学でランプワーク(とんぼ玉)をはじめ、1999年にグループ展などの作家活動をはじめ、2002年からコアガラスの制作をはじめ、2006年に全国小品盆栽協会主催の第1回現代小鉢作家展で協力スポンサー賞を受賞、2010年9月から「林裕子とんぼ玉教室」を開いている。また、小暮紀一さんと夫婦で「KOGURE Glass Works」を主宰している。

吉田薫さんは1957年生まれ、1981年に富山大学を卒業、1993年に富山ガラス造形研究所造形科を卒業、1994年に富山ガラス造形研究所研究科を修了、同造形研究所助手(1996年まで)、1996年にアメリカの「Penland School of Craft(ペンランド・スクール・オブ・クラフト)」のガラス作家、キャピィ・トンプソン(Capy Thoposon)さんのアシスタント、1997年に「GLASS FACTORY K’s studio」を開設している。

1992年に「国際ガラス展金沢’1992」で入選(1995年も入選)、「サントリー美術館大賞展’1992」で入選、2000年に「KOGANEZAKI(コガネザキ)・器のかたち・国際ガラス展」で入選、2002年に「現代ガラス大賞展・富山2002」で入選(2005年も入選)、2004年に「第2回現代ガラス展inおのだ」で大賞、2008年に大一美術館「第1回現代ガラス大賞展2008」で奨励賞を受賞している。

杉江真奈美さんは1981年富山県富山市生まれ、1998年にキシグラススタジオにて吹きガラスと出会い、習い始め、2001年に日本デザイン専門学校を卒業、2001年に彩グラススタジオにて吹きガラスを学びながら催事販売を中心に作家活動を開始、2006年にギャラリー元町にて「器と珠」展を開催(以後、毎年開催)、2012年に富山ガラス工房にてアシスタント勤務、2014年から2017年まで富山ガラス工房第2工房に所属、2017年から富山ガラス工房に所属している。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)。