【銀座新聞ニュース=2025年6月9日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は6月11日から17日まで4階ギャラリーで笹倉鉄平さんによる「新作展-心やすらぐ光の情景画」を開く。
人の優しさや温もりを感じさせる詩情豊かな作品を描き、「光の情景画家」といわれる笹倉鉄平さんが最新作「トリールの窓辺」を含む、近年、制作された版画約70点を展示販売する。
笹倉鉄平さんは「トリールの窓辺」についてはウェブサイトで6月初旬に限定285枚を販売する予定。この作品について、ウェブサイトで「ドイツで最も古い都市といわれ、モーゼル川沿いに位置するトリール。宿をとったのは、旧市街のほぼ真ん中に在る古い建物の一つ、屋根裏に位置する部屋だった。窓脇のテーブルの上には、モーゼル・ワインの産地らしく、ワイングラスや果物などが置かれている。窓から外を眺めてみると、古い街並みの屋根が長閑に広がっていて、ヨーロッパを舞台にしたアニメのワンシーンのようにも見え、とても和やかな気分になる」。
「翌朝、夜が明け始めた頃にカーテンを開ければ、生まれたての青白い光が部屋に注ぎ込んできて、点けていた卓上ランプの黄色い温かな光と白いテーブルの上で、美しく融け合おうとしていた。青色の光と黄色の光が、静物たちに表情を与えながら偶然に奏でたハーモニーの妙。その幸福感さえ覚える色彩に魅せられて、描いておかねば・・・と、強く思った」と説明している。
また、笹倉鉄平さんはウェブサイトで自身の作品について「作品の多くは、旅先などで得た『印象』、浮かんだ『想い』、自分なりの『物語』等が、絵筆にのせて表現されています。実際の風景に比較的忠実に描いている作品もあれば、“こうあって欲しい”という理想の姿に変えられていたり、ほとんど空想の情景になっているものもあります。そして、全ての作品に共通してそこにあるのが、様々な表情の『光』の存在」としている。
笹倉鉄平さんは1954年兵庫県生まれ、1977年に武蔵野美術大学商業デザイン科を卒業、グラフィックデザイナーを経て、広告制作会社のイラストレーターとなり、1980年に退職し、フリーとして活動をはじめる。主に森永製菓のパッケージイラストをおよそ10年間担当し、1987年から毎日新聞カラー別刷版に月1回連載した。
1990年に東京・青山で初の個展を開き、1991年にシルクスクリーンによる作品を発表(この作品の発表から「画業」をスタート)、1992年にオランダで開かれた花の万博「フロリアード 1992」の記念版画を制作、1998年にフジテレビ・ニッポン放送本社ビル、新社屋完成記念のイメージアートを制作、2000年に「株式会社アートテラス」を設立した。
2001年にイタリア・フィレンツェに架かる1345年に完成された古い橋「ポンテ・ヴェッキオ(Ponte Vecchio)」を描いた作品「祝福」がイタリア・フィレンツェにある「日本文化経済交流協会」の公認作品となり、2004年と2005年にイタリアで個展、2007年に油彩、水彩、スケッチなどを展示する個人美術館「ちいさな絵画館」(兵庫県西宮市能登町11-17、0798-75-240)を設立した。
2008年にパリと京都で「京都市パリ市姉妹都市締結50周年記念」個展、2015年に京都とフィレンツェで「京都・フィレンツェ姉妹都市提携50周年記念事業」の個展、2021年に「上野の森美術館」で画業30周年記念展などを開いている。
開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。