中央の百貨店5月、日本橋2店+、銀座三越45カ月ぶり減、外国客低迷

(終わりの方に参考として4月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2025年6月3日】中央区とその周辺の主要百貨店が6月2日に発表した5月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋がプラス、大丸東京、銀座三越、松屋銀座店がマイナスと分かれた。

中央の百貨店5店の中で、5月の売上高(店頭ベース)が3.5%減と45カ月ぶりにマイナスとなった銀座三越。

5月は「昨年の実績が大きい訪日外国人観光客売上高が前年を下回っている」(三越伊勢丹ホールディングス)影響が大きく、高島屋でも訪日外国人観光客売上高は前年同月比42%減、J.フロントリテーリングが同40%減、松屋銀座店では「ラグジュアリーブランド全体では前年に対して約半分程度」となり、5店舗中、3店舗がマイナスだった。中でも、44カ月連続で前年実績を上回っていた銀座三越が45カ月ぶりに下回った。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比2.6%増(4月速報値2.3%増、確定値1.6%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、4月の商品別では、紳士服・洋品、婦人服・洋品、子ども服・洋品、呉服寝具他、その他雑貨、その他がマイナス、ほかはプラス)と店頭ベースでは、2カ月続けてのプラスだった。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同3.5%減(同速報値3.4%増、確定値3.4%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、4月の商品別では婦人服・洋品、美術・宝飾・貴金属、その他雑貨、食堂・喫茶、サービス、その他がマイナス、ほかはプラス)と、45カ月ぶりのマイナスとなった。

5月は昨年の実績が大きい訪日外国人観光客売上高が前年を下回っているが、「エムアイカード ベーシック」の導入効果も含め、国内顧客の売上高が堅調に推移した。前年比は三越伊勢丹計(5店)で2.3%減、国内百貨店計(15店)で3.4%減となった。新宿、日本橋の両本店の宝飾品が伸長するなど、高付加価値な商品の提案が引き続き支持されているとしている。また、海外顧客については、引き続き化粧品や食品への関心が高く、新たに展開をはじめた海外顧客向けアプリの会員数が増加している。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同2.0%増(同速報値1.9%増、確定値2.1%増、4月の高島屋=国内12店舗とEC店ベース=の商品別売り上げは、紳士服・洋品、婦人服・洋品、その他衣料品、身の回り品、家具、その他家庭用品、生鮮食品、美術・宝飾品・貴金属、その他がマイナス、ほかはプラス。訪日外国人観光客売上高は同32.5%減、訪日外国人売上高を除いた店頭売上高は同1.4%増)と44カ月続けてプラスとなった。

5月に2.0%増で44カ月プラスを続ける日本橋高島屋。

5月の店頭売上高(12店舗とEC店)は同6.2%減、訪日外国人観光客売上高は同41.7%減、訪日外国人売上高を除いた店頭売上高は同2.2%増となった。国内顧客は、食料品の新規催事などが堅調に推移したこともあり、前年実績を上回った。訪日外国人観光客については、スポーツ用品や子ども服はプラスとなったが、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品がマイナスとなった影響が大きく、前年実績を下回り、店頭売上高全体を押し下げた。商品別売上高(当社分類)は、子ども情報ホビー、スポーツ、食料品、食堂、サービスが前年実績を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同4.1%減(同速報値8.4%減、確定値8.5%減、4月の全店の商品別売り上げは紳士服・洋品、婦人服・洋品、子ども服・洋品、その他の衣料品、美術・宝飾・貴金属、その他雑貨、その他家庭用品がマイナス、ほかはプラス、訪日外国人観光客売上高は同20.5%減、訪日外国人観光客売上高を除いた国内売上高は同2.2%増)と3カ月続けてマイナスとなった。

5月は化粧品、アクセサリー、食品などが売り上げを伸ばし、外商売り上げも堅調に推移したものの、ラグジュアリーブランド、時計、宝飾品などが前年実績を下回ったことなどから、大丸松坂屋百貨店合計(13店舗と法人・本社等)では前年同月比2.1%減、関係百貨店(博多大丸と高知大丸)を含めた百貨店事業合計(15店舗と法人・本社等)では3.5%減となった。

大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高(速報値)は、化粧品を中心とした消耗品が好調を持続したもののラグジュアリーブランドなどを含む一般品が前年を下回ったことが客単価の低下に繋がり、同40.1%減(客数同2.9%増、客単価同41.7%減)となった。

大丸松坂屋百貨店の店計の売り上げ(法人・本社等の本年・前年実績を除く13店舗)は同5.4%減、うち国内売上高(訪日外国人観光客売上高の本年・前年実績を除く)は同4.0%増となった。大丸松坂屋百貨店合計(博多大丸と高知大丸を除く)の訪日外国人観光客売上高は2019年5月比で30・8%増、2018年5月比で60.7%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同22.6%減(同速報値18.4%減、確定値18.4%減、松屋銀座店の4月の商品別では紳士服・洋品、婦人服・洋品、呉服寝具他、身の回り品、家具、家庭用品、サービス、その他がマイナス、ほかはプラス)と3カ月続けてマイナスとなった。

5月の銀座店は、開店100周年を記念した各種施策などが奏功したことに加え、婦人衣料品において夏を思わせる気候も加勢し、盛夏物商材が好調に推移、プレステージラインの婦人衣料品は前年比11.4%増、婦人衣料全体でも同1.3%増となった。。また、訪日外国人観光客売上高を除く国内顧客の全体の売上高は同8%増となった。

一方で、訪日外国人観光客売上高については、前年の記録的な円安との比較、「ルイ・ヴィトン」の改装など多くの要因が重なり、ラグジュアリーブランド全体では前年に対して約半分程度に留まった。「ルイ・ヴィトン」は6月21日にリニューアルオープンする予定で、銀座店の強みとなるカテゴリーの強化による集客と売上高の拡大が想定されるとしている。

一方で、訪日外国人観光客売上高については靴・バッグなどを軸としたラグジュアリーブランドなどの一般品が低迷(同37.4%減)し、化粧品を中心とした消耗品も同1.8%減と前年を下回り、全体として同約34.3%減となった。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内70社178店舗の4月の売上高(店舗調整後)は前年同月比4.5%減の4232億3365万円と、3カ月続けてマイナスとなった。

4月は前年4月に高伸した訪日外国人観光客売上高の反動の影響に加え、円高傾向の加速により、訪日外国人観光客売上高がふた桁減と苦戦した。入店客数は1.0%減とわずかに前年に届かなかったものの、食品物産展やゴールンウィーク(GW)前半のファミリー向け催事などは好調に推移した。

訪日外国人観光客売上高については、購買客数が52.1万人(同3.1%増)と4月として過去最高を記録したが、売上高439億円(同26.7%減、シェアが10.4%)と2カ月連続のマイナスだった。高額品などの一般物品の低調により購買単価が減少したが、化粧品などの消耗品は引き続き好調に推移した。4月13日からの関西万博の開幕後はメインのアジア圏の他、欧米や中東などからの来店も増加した。

国内市場は同1.0%減と前月よりも減少率は1.0ポイント改善した。5地区(札幌、名古屋、大阪、神戸、四国)はプラスだった。都市(10都市)は名古屋、神戸を除く8地区でマイナスだった。前年の訪日外国人観光客売上高の大幅増の反動減が影響した。地方(10都市以外の7地区)は四国を除く6地区でマイナスとなり、7カ月連続減となった。入店客数は前年同水準だが、買上率の低下により購買客数が減少した。

商品別では主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のうち、食料品を除く4品目が前年割れとなった。衣料品(同5.8%減)は不安定な天候から前半は苦戦したが、月後半の気温上昇に伴い、カットソーやカーディガンなど夏まで使える初夏物が稼働した。身のまわり品(同14.1%減)はラグジュアリーブランドのバッグや靴が訪日外国人観光客や富裕層の慎重な購入姿勢から苦戦したが、アクセサリーは好調だった。

雑貨(同0.7%減)は化粧品(同3.8%増)が一部価格改定前の駆込み需要などもあり、国内外共に好調に推移した。食料品(同1.0%増)は価格高騰の影響が続いているものの、菓子が手土産需要増などで1.6%増、その他食料品が物産展などの好調もあり、3.6%増とプラスに転換した。食料品全体でも10カ月ぶりに前年実績を上回った。

全国の百貨店の4月の営業日数は前年と同じく29.9日、107店舗の回答によると、入店客は39店が増え、39店が減ったとしている。

東京地区(12社22店)の4月の売上高は前年同月比6.3%減の1267億5024万円と、3カ月続けてマイナスとなった。

国内87店舗の訪日外国人観光客の4月の売上高は同26.7%減の約439億4000万円と2カ月続けてマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが10.4%としている。

このうち、一般物品売上高は同32.4%減の約356億円7000万円と2カ月続けてマイナス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同15.6%増の約82億7000万円と33カ月続けてプラス、購買客数が同3.1%増の約52万1000人と36カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同28.9%減の約8万4000円で、3カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服が上位に入った。

免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、台湾、香港、韓国、タイ、シンガポール、マレーシアとなっている。