丸善日本橋で永治屋清左衛門出版記念展、唐織と二重織展示

【銀座新聞ニュース=2025年10月10日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は10月15日から21日まで3階ギャラリーで「『芸術を着る きもの』出版記念 永治屋清左衛門展」を開く。

丸善・日本橋店で10月15日から21日まで開かれる「『芸術を着る きもの』出版記念 永治屋清左衛門展」に出品される作品。

1815年創業の織物業「永井織物」(京都府京都市下京区万寿寺通室町西入徳万町209、075-341-0300)の代表取締役、七代永治屋清左衛門(えいじや・せいざえもん)と名乗る、永井幸三郎さんが3月23日に作品集「芸術を着るきもの 唐織と二重織 七代永治屋清左衛門名作手鑑」(世界文化社、税込4400円)を刊行したのを記念して、唐織と二重織作品を中心に展示会を開く。江戸時代(1603年3月から1868年9月)の小袖の復元品など貴重な織物も展示する。

「芸術を着るきもの 唐織と二重織」は出版社によると、「唐織と二重織という染織文化の最高峰をまとう美、織の可能性を追求し続けてきた清左衛門の飽くなき情熱の物語、清左衛門襲名50年で培った芸術性をまとめた決定版」としている。目次は「七代永治屋清左衛門の四季連作」で、chapter1が「唐織と二重織」、chapter2が「ムガシルクと紬」、chapter3が「紋紗とすもの」、chapter14が「唐織の帯」、chapter5が「小袖コレクションと復元制作」、chapter6が「清左衛門の秘密」となっている。

「永井織物」は初代永井兵治郎が江戸時代後期の文化12年(1815年)に京都府北部の丹後地方にて糸問屋として創業したのがはじまりで、2代目より生糸問屋と丹後ちりめん(一越ちりめん)の製造を併業し「永治屋清左衛門」を名乗り、爾来家督を継ぐ男子は「永治屋清左衛門」を名乗る。

4代目より、ちりめん製造に専念し、明治期には「永清ちりめん」のブランドとし一世を風靡した。6代目は本社屋を京都市に移し、白生地のトップブランドの主力メーカーとして製造を営む。1974年に永井幸三郎さん(1950年生まれ)が「七代永治屋清左衛門」として家督を継承し、1975年に資本金2000万円で「永井織物株式会社」を設立した。

「婦人画報」2019年12月9日の記事によると、七代目当主は、原種の繭だけで紡がれた絹糸のみを用いて、安土桃山時代(1573年から1603年まで)に花開いた唐織の技法によるきものを現代に蘇らせた。安土桃山時代に人気を博した唐織による小袖。その後、たびたび奢侈禁令が出され、煌びやかな唐織は表舞台から姿を消すが、細々ながらも能装束として織り続けられ、現在では帯として用いられることが多いとしている、

「永治屋清左衛門」では唐織の技術の継承と維持を目的として長年、唐織小袖の修復・復元に携わり、唐織の復元事業で培われた技術を生かし、唐織を現代のきものとして甦らせた。その風合は、軽くしなやかで絹そのものが放つやわらかな光沢と唐織ならではの重厚な織技法が合わさり、上質な素材感と最高の着心地を体感することができるとしている。

永井幸三郎さんは1950年京都府京都市生まれ、1974年に24歳で「七代永治屋清左衛門」を襲名、1980年代後半に当時京都国立博物館学芸員であった桐畑健さんとと出会い、美術品としての絵羽の表現に開眼し、1995年から唐織の継承と維持を目的として小袖五領の復元制作を始め、2000年に「永治屋清左衛門」ブランドを立ち上げ、糸の開発や染色技法への取り組み、機の設計など、織の探求に邁進している。

10月18日14時から永井幸三郎さんが東京国立博物館学芸研究部調査研究課長で、東洋染織の研究者、小山弓弦葉(おやま・ゆずるは)さんと「小袖と織のきものの魅力」をテーマにトークショーを開く。定員は30人で、無料。

小山弓弦葉さんは1971年大阪府生まれ、1992年にお茶の水女子大学を卒業、2011年に東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学博士後期課程を修了、文学博士を取得、奈良県立美術館学芸員を経て、2002年より東京国立博物館研究員。

東アジア染織史を専門とし、日本の染織技法とデザインの関係を文化的・歴史的に考察している。1999年に奈良県立美術館で特別展「花の風姿、幽玄の美 能―面・装束―」を企画、2020年に東京国立博物館で「特別展きもの」を企画し、現在は東京国立博物館学芸研究部調査研究課長。2016年に日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞を受賞している。

17日と19日の11時と14時からで「最高級絹糸を用いた生地で作る帯留作り体験」のワークショップを開く。定員は各回4人で、参加費は税込2200円。事前に丸善への電話で予約する。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)まで。