志門で社会派リアリズムの森田隆一展、沈黙する労働者を描く

【銀座新聞ニュース=2025年10月12日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル、03-3541-2511)は10月13日から18日まで森田隆一さんによる個展「沈黙の譜」を開いている。

ギャルリー志門で10月13日から18日まで開かれている森田隆一さんの個展「沈黙の譜」のフライヤー。森田隆一さんは町工場の旋盤工として40年以上働きながら、グローバル化の犠牲となる労働者の姿を描いてきた。

町工場の旋盤工として40年以上も働きながら絵を描いてきた町画家で、「グローバリゼーションの犠牲にさらされている、工場や働く人々を表現したいと思い『沈黙の譜』シリーズ」を10年以上も制作している森田隆一(たかいち)さんが新作を中心に展示している。

ギャルリー志門では、森田隆一さんの目は「グローバル化のあおりで衰退の一途をたどる町工場やそこで働く労働者たちに向けられる。そこには都市化によって失われた風景への郷愁の念が込められている。社会派リアリズムの画家として、それらをテーマに描き続けてきたのも、彼の経歴と無関係ではないだろう」としている。

森田隆一さんが2015年度の民美特別講座に講師として出席し、「下町と工場を描きつづけて」というタイトルで講演する際の紹介文として自ら書いた文章によると、「私は本当に描きたくてしようがない、場末の工場や人物を自転車で回ってスケッチし、それをもとにして構成し作画」し、それが長年の「沈黙の譜」シリーズを構成している。

森田隆一さんの作品は自ら愛するリトアニア出身のアメリカの画家、ベン・シャーン(Ben Shahn、1898-1969)や洋画家の松本竣介(1912-1948)を彷彿(ほうふつ)とさせるという。

森田隆一さんは1944年東京都北区生まれ、1971年に美術サークル「くれよん美術会」の結成時に参加し、1973年に職美展に出品、1978年に日本アンデパンダン展に出品(その後、30回以上出品)、1980年に主体美術展に出品(1990年まで)、1992年に「日本美術会」会員、2003年に地平展に出品している。2013年5月、2015年5月、2017年10月、2019年10月、2021年11月、2023年10月にギャルリー志門で個展を開いている。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、入場は無料。