(終わりの方に参考として8月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2025年10月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の9月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、松屋銀座店の3店がプラス、銀座三越と大丸東京がマイナスだった。
9月は休日数が前年9月比1日減のマイナス影響があったものの、「中旬以降の気温低下にともない秋物衣料などに動きがみられ」(高島屋)、「外商売り上げが好調を持続したこと」(J.フロントリテーリング)や、さらに訪日外国人観光客売上高についても「ここ数カ月のその動向と比べ、さらに回復傾向を示している」(松屋)こともあり、店舗により増減が出るなど違いがみられた。
三越伊勢丹ホールディングスの9月のグループ全体(15店舗)の売上高は前年同月比3.5%増だった。三越伊勢丹(5店舗)計は前年同月比7.2%増だった。
日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は同2.4%増(8月速報値9.2%増、確定値8.5%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、8月の商品別では、子ども服・洋品のみがマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは、3カ月続けてのプラスだった。
一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同1.6%減(同速報8.2%増、確定値8.2%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、8月の商品別では紳士服・洋品、婦人服・洋品、呉服寝具ほか、その他雑貨、食堂・喫茶、サービス、その他がマイナス、ほかはプラス)と、2カ月ぶりにマイナスとなった。
9月は三越伊勢丹計(5店)が同7.2%増、国内百貨店計(グループ店10店を加えた15店)が同3.5%増だった。国内顧客は伊勢丹新宿本店でのお得意招待会「丹青会」や日本橋三越でのお得意招待会「逸品会」が好調だったことや識別化が順調に進んでいる効果もあり首都圏を中心に堅調に推移した。
また、国内顧客は識別顧客を中心に引き続き高付加価値商品への関心が見られ、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に今から着ることのできるアイテムが好調だった。また、丹青会や逸品会に加え、伊勢丹新宿本店の「イタリア展」や日本橋三越での「フランス展」など顧客関心度の高いイベントを開催することにより新規顧客の来店も促進したとしている。
海外顧客については、化粧品や旅ナカを充実させるアイテムへの関心が高く購買の幅が広がっている。
高島屋の国内百貨店売上高(国内12店舗とEC)は同4.4%増だった。訪日外国人観光客売上高は同2.7%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同4.6%増となった。
日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同3.8%増(同速報値9.4%増、確定値8.0%増、8月の高島屋=国内12店舗とEC店ベース=の商品別売り上げは、その他衣料品、家具、家電がマイナス、ほかはプラス。訪日外国人観光客売上高は同9.8%減、訪日外国人売上高を除いた店頭売上高は同7.8%増)と店頭ベースでは2カ月続けてのプラスとなった。
国内顧客は、中旬以降の気温低下にともない秋物衣料などに動きがみられ、物産展などの催事も堅調に推移したことで、前年実績を上回った。訪日外国人観光客は化粧品、婦人服、スポーツ、子供情報ホビーなどが前年実績を上回り、全体を押し上げた。商品別売上高(同社分類)は、紳士服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、スポーツ、リビング、美術、食料品が前年実績を上回った。
J.フロントリテーリングの百貨店事業(15店舗+法人・本社等)合計は同5.8%増(法人・本社等を除いた売上高は3.6%増)だった。
大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同0.6%減(同速報値6.1%増、確定値6.3%増、8月の全店の商品別売り上げは子ども服・洋品、その他の衣料品、美術・宝飾・貴金属、家具、その他食料品、サービスがマイナス、ほかはプラス、訪日外国人観光客売上高は同6.5%増、訪日外国人観光客売上高を除いた国内売上高は同6.6%増)と2カ月ぶりにマイナスとなった。
9月は休日数が対前年9月比1日減のマイナス影響があったものの、外商売り上げが好調を持続したことに加え、訪日外国人観光客の売り上げが前年実績を上回ったことなどから、関係百貨店を含めた百貨店事業合計では同5.8%増となった。
丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光売上高(速報値)は、キャラクターグッズなどのIPコンテンツが好調を持続したほか、化粧品を含む消耗品が大きく売り上げを伸ばしたことなどから、同11.8%増(客数15.3%増、客単価同3.0%減)となった。
訪日外国人観光売上高を除いた国内売上高は同2.4%増だった。訪日外国人観光売上高は2019年9月比68.4%増、2018年9月比101.5%増だった。
松屋は銀座店と浅草店を合わせた合計で同2.4%増だった。松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同2.2%増(同速報値8.5%増、確定値8.5%増、松屋銀座店の8月の商品別では身の回り品、家具がマイナス、ほかはプラス)と2カ月続けてプラスとなった。
訪日外国人観光客売上高について、約7.5%減となるなど、ここ数カ月のその動向と比べ、さらに、回復傾向を示している(訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占めるシェアは約37.5%)。訪日外国人観光客売上高を除いた国内のお客の売上高はさまざまな販売・来店促進策が奏功し、9.1%増と大幅に伸長した。
商品別では、ラグジュアリーブランドが約11%増、婦人衣料品全体でも同約2%増の伸びを示した。こんごは10月の国慶節を利用して訪日される中国からのお客を皮切りに、シーズン性・オケージョンも含め、訪日外国人観光客売上高においてもさらなる復調が期待されるとしている。
日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内70社178店舗の8月の売上高(店舗調整後)は前年同月比2.6%増の4139億7170万円と、7カ月ぶりのプラスとなった。
8月は前年8月が台風や大雨などによる一部店舗の臨時休業、時短営業などのマイナス影響の反動に加え、休日1日増により、入店客数も6.1%増(9カ月ぶりプラス)と前年を上回り、国内売り上げが好調に推移した。前年の訪日外国人観光客の売上増の反動影響も縮小し、また、長引く残暑で盛夏商材が引き続き好調に推移した他、夏休みのファミリー向けイベントや物産展などの催事が奏功した。
8月の訪日外国人観光客売上高は441億円(同4.7%減、シェア10.7%)と6カ月連続のマイナスだった。為替相場が前年並みに推移し、前年4月からの円安による高伸反動影響が落ち着き、マイナス幅は先月より31.6 ポイント回復した。化粧品を含む消耗品は4カ月ぶりにプラスに転じ、ふた桁増となった。購買客数は49.4万人(同8.9%増)で8月として過去最高を記録した。なかでも中国、台湾の購買客数はふた桁増だった。
国内市場は8月は同3.5%増(シェア89.3%)と7カ月ぶりにプラスに転じた。10都市が同4.2%増(札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の8地区がプラス)、地方(10都市以外の7地区)も同1.4%増(関東、近畿、中国、四国の4地区がプラス)と共に改善し、中でも名古屋、大阪はふた桁増だった。
主要10都市は時計、宝飾などの高額品や化粧品が好調で、雑貨が同6.3%増だった。大阪は万博効果などもあり、入店客数もふた桁増だった。地方(7地区)は美術、宝飾、貴金属が同7.3%増と伸長した。
商品別では主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)は身のまわり品を除く4品目がプラスに転換した。各地で猛暑日が続き、衣料品はTシャツやカットソーなどが好調に推移した他、洋品、雑貨は日傘や帽子、サングラスなどの盛夏商材が活況だった。化粧品はUV(紫外線対策)関連商品が好調だった。夏休み、お盆期間中は帰省や旅行客で入店客数が増え、手土産などのギフト需要も高まり、菓子は同5.1%増だった。客数増に伴い、レストランやビアガーデンなども好調で、食堂喫茶は同4.4%増と 14カ月ぶりプラスとなった。。
全国の百貨店の8月の営業日数は前年より0.2日と増えて30.6日、102店舗の回答によると、入店客は59店が増え、21店が減ったとしている。
東京地区(12社22店)の8月の売上高は前年同月比2.3%減の1182億8596万円と、7カ月続けてマイナスとなった。
国内87店舗の訪日外国人観光客の8月の売上高は同4.7%減の約441億7000万円と6カ月続けてマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが10.7%だった。
このうち、一般物品売上高は同8.7%減の約360億2000万円と6カ月続けてマイナス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同8.7%減の約81億5000万円と4カ月続けてマイナス、購買客数が同8.9%増の約49万4000人と4カ月ぶりにプラス、1人あたりの購買単価が同12.4%減の約8万9000円で、2月から7カ月続けて前年を下回った。
人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、美術・宝飾が上位に入った。
免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、台湾、韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシアとなっている。
