【ケイシーの映画冗報=2026年5月7日】今回は「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」(The Super Mario Galaxy Movie、2026年)です。3年前の前作「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」(The Super Mario Bros.Movie、2023年)で、異世界であるキノコ王国に攻め込んだクッパ大王(声の出演はジャック・ブラック=Jack Black)を、ニューヨークのブルックリンで倒した兄弟のマリオ(声はクリス・プラット=Chris Pratt)とルイージ(声はチャーリー・デイ=Charlie Day)は、いまでは世界中を駆けめぐる配管工として活躍していました。

4月24日から一般公開されている「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」((C)2025 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.)。
「ほうき星の天文台」がある集団に襲われ、王女ロゼッタ(声はブリー・ラーソン=Brie Larson)が囚われてしまいます。クッパ・ジュニア(声はベニー・サフディ=Benny Safdie)は、強大な力を失ってマリオたちに監視されている父クッパを復活させる力を、ロゼッタから引き出すという野心をもっていました。
そのことを知ったキノコ王国のピーチ(声はアニャ・テイラー=ジョイ=Anya Taylor-Joy)は、マリオやルイージとともに、ロゼッタの救出とクッパ・ジュニアの野望を阻止することを決意します。銀河を駆ける壮大な冒険がはじまるのでした。
日本のゲームメーカーである任天堂は、ゲームの製作会社であると同時に、世界的に評価の高いキャラクターを数多く有する企業でもあります。世界で活躍する日本のキャラクターの嚆矢は、やはり「ゴジラ」でしょう。1954年の第1作から海外へのセールスが好調で、制作した東宝はかなりの外貨収入を得たといわれています。
2023年に公開された「ゴジラ-1.0」も世界的にヒットし、アメリカのアカデミー賞において、アジア映画としてはじめての視覚効果賞に選ばれていますし、11月には続編「ゴジラ-0.0」の公開が控えています。
1980年代から、日本のマンガ、アニメ、ゲームが世界的に知られるようになりました。このタイミングで、日本でも世界市場向けに海外との合作による作品(おもにアニメ映画)が構想され、製作されていますが、実際に共同で動き始めると、作品化へのシステムや、製作行程などのおおきな差異があったことにより、製作費用や作業期間が増したことで利益が落ち、技術的、作品的には評価できても、興行的に成功することはありませんでした。
そして、1990年代には「マリオ」や他の日本製ゲームの実写映画がハリウッドで作られましたが、前述の合作アニメとおなじく、興行的な成功には至りませんでした。ゲームと映像作品という異なるフォーマットのすり合わせが難事であったことで、映画としての本筋がぼやけてしまったことが主因とされています。
ジャンルの垣根を超えた作品の場合、こうした齟齬はつねに内包しているといえるでしょう。こうしたハードルの高いキャラクター(「マリオ」のゲームシリーズの総売上は、2020年時点で5億6000万本以上)を映像化し、成功させたのは、任天堂の取締役で“マリオの生みの親”とされる宮本茂(1952年生まれ)と、代表作「怪盗グルーシリーズ(Despicable Me)」が全世界で38億ドル(1ドル=150円換算で約5700億円)の興収を生み出したイルミネーションの創業者であるクリス・メレダンドリ(Chris Meledandri、1959年生まれ)という、ヒット・メーカーが入念にディスカッションを行ってきた結果だといえるはずです。
さらにメレダンドリは、2021年から社外取締役として、任天堂の経営にも加わっています。
知人の投資家に教えていただいたのですが、昨年の株主総会には、来日していたメレダンドリが参加して、株主からの質問にも応じたのだそうです。その場で、前作の「スーパーマリオ」の映画化は、2018年にはじまり、5年の歳月をかけて完成させたことが、ご本人から語られたということです。
やはり「スーパーマリオ」の劇場版1作目の成功は、丁寧な行程を経ての結果で、その部分は続編である本作にも、しっかりと踏襲されているのでしょう。日本での公開前の時点で世界的なヒット(4月27日に8億ドル=約1200億円=を超える興収を記録)となっています。
日本側のプロデューサーである宮本茂は、本作について、こんなポイントを挙げていました。
「ゲームとしての面白さと、映像として観る面白さは明確に異なります」「映画に不必要に現実的要素を持ち込まず、ゲーム特有のロジックを活かした世界観が構築されています」(いずれもパンフレットより)
こうした「理解とすり合わせ」が作品の魅力を増し、「映画としての成立」を導いたのだと感じます。ゲームを知悉していない自分にも、映画として楽しめましたから。次回は「グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション」を予定しています(敬称略。【ケイシーの映画冗報】は映画通のケイシーさんが映画をテーマにして自由に書きます。時には最新作の紹介になることや、過去の作品に言及することもあります。隔週木曜日に掲載します。また、画像の説明、編集注は著者と関係ありません)。