丸善日本橋で西岡夫妻「アーユルヴェーダ染め衣料」と手刺繍展

【銀座新聞ニュース=2026年6月2日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は6月3日から9日まで3階ギャラリー特設会場で「アナンダ工房2026 インドのアーユルヴェーダ染めと手刺繍」を開く。

丸善・日本橋店で6月3日から9日まで開かれる「アナンダ工房2026 インドのアーユルヴェーダ染めと手刺繍」に出品されるアーユルヴェーダ染めの婦人服。

染織家の西岡由利子さんと夫で織を手がける西岡直樹さんの主宰する「アナンダ工房」(千代田区神田須田町1-17-11、03-3828-2725)が、インド西ベンガルの工房で制作した手織り布を、インドの原野に育つ沙羅双樹やハス、ミロバラン、インド茜、インド藍で染め、柔らかな手織り綿を使った作品を出品する。これらの染料はみなインドの古典医療の薬用植物でもあり、さまざまな治癒力を内在している。今回は、手の込んだカンタ手刺繍の作品も出品する。また、インドの工房から若い染師のクリシュナさんが来日する。

「田中直染料店」によると、「ミロバラン」はシクンシ科の落葉樹の果実を乾燥させたもので、インドでは古くから僧衣(そうい)を染めてきた染料で、日本へも伝えられ、正倉院の「種々薬帳(しゅじゅやくちょう)」にある「訶梨勒(かりろく)」はミロバランのことだとされている。タンニンを多く含み、(果実には30%から40%含まれている)媒染によって黄茶から茶黒が染めることができるし、無媒染のまま上から藍で染めると青磁に似た薄い緑色に染まる。

AIによると、「ミロバラン(学名:Terminalia chebula)」は、インドや東南アジア原産のシクンシ科の植物で、その乾燥果実は「訶梨勒」という生薬や、タンニンを豊富に含む天然染料として利用される。アーユルヴェーダでは「薬の王様」と称される薬用植物であり、日本では古くから染料や、渋味成分を利用した革の鞣(なめ)しにも使われている。

「いのちのころも」(代表は別名幸子=べつめい・さちこ=さん)によると、「アーユルヴェーダ染め」の前提となる「アーユルヴェーダ」では「ドーシャ」と呼ばれる3つの属性Vata(ヴァータ)、Pitta(ピッタ)、Kapha(カパ)に分けられ、心身を支配していると考えられている。その特性を理解し、総体的なバランスを整えることを目的とし、結果として、予防医学、対処療法、治療、美容の手段として生活の中で役立てられている。アーユルヴェーダの考え方としては単に医療分野に限定するではなく、食事、生活習慣、睡眠、性の分野など多岐にわたって用いられている。

ドーシャとは3つの生命エネルギーのことを言い、人間を含むこの宇宙は、5元素(空・風・火・水・地)から成り立つと考え、ドーシャも5元素で構成されている。アーユルヴェーダ染めは、薬草ハーブの花、葉、根や果実そのままを釜に入れて色素、植物の生命をいただく。ひとつの植物をとっても、多数の成分から成り立っている。それを約20種類の植物を調合することで、多様な成分が衣に付着し乱反射をおこし多面的に見える。そこには化学染料では、生まれない複雑さがあり、昔ながらの手法を自然な環境の中で行うことで、微生物、光など目には見えないサポートを受け取り、それが、ゆらぎを生んでいるとしている。

アナンダ工房は1970年代からインドのウエストベンガル州で、インドの職人である友人たちと一緒に手染と手織りの工房を運営し、その布でオリジナルの服を作っている。素材と色はできる限り自然のものを使っている。インドの樹染めは、沙羅双樹、パラミツ(常緑の高木の果樹)、菩提樹(ぼだいじゅ、インドボダイジュ、高さ20メートル以上に生長する常緑高木で、イチジク属)、アンマロク(別名はゆかんで、果実でハーブのひとつ)などの植物を使用している。

また、2012年に西岡直樹さんが文章を、西岡由利子さんがさし絵をてがけた「花みちくさ-身近な植物をめぐる210話」(平凡社)を刊行している。

西岡直樹さんは1946年宮崎県生まれ、宇都宮大学農学部を卒業、1973年から1978年まで、インド・西ベンガル州のシャンティニケトン大学、コルカタのジャドブプル大学でベンガル語を学び、インドの村々をめぐり、昔話や植物の話を採話している。

西岡由利子さんは1950年東京都生まれ、武蔵野美術短期大学油絵科を卒業、インド・タゴール大学で古典絵画、ジャドブプル大学でベンガル語、バナスタリ大学で細密画とインド木版更紗を研究調査している。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)まで。