上位機関が目立つもマジック?と思える「イリュージョン3」(446)

【ケイシーの映画冗報=2026年5月21日】今回は「グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション」(原題はNow You See Me:Now You Don’t、2025年)です。古代エジプトから数千年、存在しているという、マジシャンたちの秘密結社「アイ」。そのメンバーであり、マジックとイリュージョンによって、“富の再分配”を信条とする「フォー・ホースメン」(4人の騎士)。かれらが表舞台から姿を消してから10年、復活を宣言して観客を集め、見事なイリュージョンを披露して、悪徳業者が奪った仮想通貨を観客に“還元”してみせるのでした。

5月8日から一般公開されている「グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション」((R),TM& (C)2025 Lions Gate Entertainment Inc.All Rights Reserved.)。興行通信社の映画ランキングによると、5月8日から10日の初週は7位で、15日から17日の2週目はトップ10外だった。

しかし、それはホログラムによって作られた架空の「フォー・ホースメン」であり、チャーリー(演じるのはジャスティス・スミス=Justice Smith)たち若きイリュージョニスト3人によるトリックだったのです。

成功を喜ぶチャーリーたちのまえに、本物のホースメンであるダニエル(演じるのはジェシー・アイゼンバーグ=Jesse Eisenberg)が姿を見せます。ダニエルは「アイ」の指示で「フォー・ホースメン」を再結集し、チャーリーたちと合同で、おおきなターゲットを狙うことを提案してきました。

その相手とは、ダイヤモンド鉱山を持ち、表向きは歴史ある一流企業として活動しているヴァンダーバーグ社。父から事業を継承した娘のヴェロニカ(演じるのはロザムンド・パイク=Rosamund Pike)は、その裏で犯罪組織の資金洗浄や違法な武器取引をおこなう「死の商人」としても暗躍していたのです。

その成功の象徴でもある、世界最高額のダイヤモンドである“ハート”をヴェロニカから奪って気力を喪失させ、さらに、その悪行を白日のもとにすることで制裁しようという、新旧のイリュージョニスト対悪の大企業との戦いがはじまるのでした。

1作目の「グランド・イリュージョン」(Now You See Me、2013年)の舞台はマジック・ショーでベテラン・マジシャンと対峙し、前作「グランド・イリュージョン見破られたトリック」(Now You See Me2、2016年)では巨大IT企業のセキリュティ・システムを打ち破った「フォー・ホースメン」。

今回の相手は、国際的な大企業ということで、これまでのメンバーに優秀な新人をくわえ、7人のメンバーで戦いを挑むことになります。

本シリーズで興味深いのは、CGを駆使さえすれば、「物理法則上で不可能」であっても、一定のレベルの映像を提供できる現在でも、極力、キャスト陣の“実演表現”を追求している点です。

本職のマジシャンの知人によりますと、ショー・ビジネスの本場であるアメリカのラスベガスでは、定期的にイベントがあり、マジック用のカードから、舞台装置のような大がかりなマジックやイリュージョンの“仕組み”が販売されているとのことです。

とはいえ、「買って仕込んでおけば、だれでもマジシャンになれる」ということはなく、プロ仕様のシステムは高価で、アマチュアが少々、トレーニングしたところで人前で披露できないということも教えていただきました。

「そんなに世の中は甘くない」のですが、本作を監督であるルーベン・フライシャー(Ruben Fleischer)は、
「そして僕は、実は相当な“マジック・オタク”なんです。恥ずかしげもなく認めますよ(笑)。(中略)だから、クールなトリックやイリュージョンを大スクリーンで届けられることが、本当に嬉しかったです」と語り、「僕たちがマジックへの愛と敬意をもって作ったことを感じてもらえるように務めました」と作品に込めたメッセージも披露しています。

フライシャー監督の意識は、キャストやスタッフ陣にも伝わったようで、“フォー・ホースメン”のトップ的な立場にあるダニエル役のジェシー・アイゼンバーグも、「役者たちはマジックを学び、セットデザイナーは部屋の中に仕掛けを作り、衣装デザイナーはフランスへ足を運び、世界一の早着替えアーティストに会いに行きました」(いずれもパンフレットより)。

こうした“リアル”な部分を比較すると、ホースメンの上位機関である「アイ」について「ディテールが弱いのでは?」と感じるのも事実です。“数千年続く秘密結社”なのに、ちょっと目立ちすぎに感じますし、ワキの甘さも見受けられますが、それもワザとかもしれません。視点と注意をそらすのもマジックの基本ですから。

さらに、4作目も構想段階という情報もあるので、次の“フォー・ホースメン”(もう4人ではないですが)の物語では、あらたなトリックも明かされるのでは?と勝手に期待してしまっています。次回は「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」の予定です(敬称略。【ケイシーの映画冗報】は映画通のケイシーさんが映画をテーマにして自由に書きます。時には最新作の紹介になることや、過去の作品に言及することもあります。隔週木曜日に掲載します。また、画像の説明、編集注は著者と関係ありません)。

編集注:ウイキペディアによると、2013年の第1作目「グランド・イリュージョン」(原題はNow You See Me)は、製作費が7500万ドル(2013年の平均レート1ドル=98円換算で約73億5000万円)、興行収入が3億5172万ドル(約344億6856万円)、日本では4億8000万円だった。

2016年の2作目の「グランド・イリュージョン 見破られたトリック』」(原題はNow You See Me 2)は製作費が9000万ドル(2016年の平均レート1ドル=109円換算で約98億1000万円)、興行収入が世界で3億3486万ドル(約364億9974万円)、日本では5億5000万円だった。3作目は2025年11月から公開され、製作費が9000万ドル(2025年の平均レート1ドル=158円換算で約142億2000万円)、世界での興行収入はこれまでのところ、2億4243万ドル(約383億0394万円)となっている。