【銀座新聞ニュース=2026年5月30日】国内最大手の信用調査会社、帝国データバンク(港区南青山2-5-20、03-5775-3000)は5月29日に飲食料品の値上げ動向と展望・見通しについての「価格改定動向調査」を発表した。
食品主要195社を対象に2026年6月以降における飲食料品の値上げ動向を調査したもので、それによると、6月の飲食料品値上げは計1078品目となった。2026年1月から12月の通年の値上げ品目総数は1月から10月までの判明分で9361品目、6月中には調査を開始した2022年から5年連続となる年間1万品目突破が判明する見通しとしている。中東情勢の悪化を背景に、飲食料品業界では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる。
帝国データでは、品目数および値上げは各社発表に基づき、年内に複数回値上げを行う品目はそれぞれ別品目としてカウントしている。値上げ率は発表時における最大値を採用し、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含んでいる。
主要な食品メーカー195社の家庭用を中心とした6月の飲食料品値上げは1078品目で、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となった。単月の値上げ品目数が1000品目を超えるのは、2026年4月以来2カ月ぶり。2025年6月(1940品目)からは半数程度にとどまったものの、4月(84品目)からは13倍と大幅に増加した。6月以降の値上げでは、中東情勢の影響を受けてトレーやフィルムの原料となるナフサの値上げ分を価格に反映する動きもみられた。
6月の値上げを食品分野別に集計すると、もっとも多いのは香辛料やふりかけ類を中心とした「調味料」(450品目)で、「加工食品」(304品目)は納豆製品や缶詰、即席麺などが中心だった。
2025年同時期(2025年5月末時点で1万6224品目)に比べ、予定を含め前年比4割減ペースで推移し、夏以降の値上げ品目数が大幅に増加しており、7月は2269品目と、4月以来3カ月ぶりに単月で2000品目を超え、2025年12月以来7カ月ぶりに前年を上回る。また、8月(今の予定849品目)、9月(同580品目)ともに単月で1000品目を超える可能性があると見ている。
この3年間を見ると、2024年が年間1万2520品目、2025年が2万0609品目、2026年が10月まで9361品目と1万品目を下回っている。
食品分野別では、冷凍食品やパックごはん、缶詰、即席麺などの「加工食品」(3029品目)がもっとも多く、マヨネーズ類やドレッシング類などの「調味料」(2537品目)、PET飲料のほかビール飲料、焼酎・ワインなどの「酒類・飲料」(1494品目)が続いている。。「パン」(978品目)は2025年に続いて、食パンや菓子パンなどが値上げとなる。
値上げの要因としては、「原材料高」の影響を受けた値上げが97.7%(2025年5月末98.0%、2025年年間96.1%、2024年年間92.2%)を占め、全要因のなかではもっとも高いが、3月以降は低下傾向で推移している。一方で、「包装・資材」が73.7%(2025年5月末59.1%、2025年年間62.7%、2024年年間68.5%)は5月末時点の水準として初めて7割台となった。トレーや容器などナフサ由来の資材価格高騰をはじめ、中東情勢による影響が要因となった値上げ(「中東情勢」)は22.7%(2025年、2024年なし)を占めた。
このほか、「物流費」が74.1%(2025年5月末79.7%、2025年年間78.6%、2024年年間68.1%)は中東情勢の悪化による原油高などの影響を背景に4月末から上昇し、2026年内ではもっとも高い水準となった。「人件費」が54.7%(2025年5月末53.6%、2025年年間50.3%、2024年年間26.5%)と上昇したが、「エネルギー(ユーティリティコスト)」が53.0%(2025年5月末66.7%、2025年年間63.8%、2024年年間60.6%)は低下した。中東情勢の悪化による資材高や輸送コストの上昇分を価格へ転嫁する動きが強まっている半面、賃上げなど労務費由来の値上げが相対的に弱含み傾向としている。
こんごの2026年の値上げは、政府による輸入小麦の売り渡し価格引き上げや、1ドル160円にせまる円安水準の長期化に加え、2025年から続く物流・人件費など「粘着的」な値上げ圧力は高い。ただ、長期化する物価高の中で消費者の購買余力も限られ、店頭価格の一段の上昇が購入点数の減少を招きかねないとの危機感も背景に、近時は大規模な値上げを見送るほか、価格を据え置いたまま容量を減らす「実質値上げ」で対応するケースが多くみられ、年内の値上げペースは緩やかなものにとどまるとみている。
こうしたなか、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃で急激に高まった中東地域の地政学的リスク、ホルムズ海峡の混乱が国内産業にも波及し、石油由来の樹脂素材の供給力低下やコスト上昇圧力が顕著となっている。食品分野でもインクや食品フィルム、トレー類などで大幅な値上げや品薄状態が続き、解消の見込みも立っていないことから、商品パッケージの変更や一部商品の製造休止、商品点数の集約など、商品の安定供給に向けた体制を確保する動きが進んでいる。
また、包装資材やエネルギー、物流費の上昇分を製品価格へ転嫁する動きも次第に表面化してきた。実際に、中東情勢の悪化によるコスト高などを理由とした値上げは、年内約9000品目のうち5月末時点で2割を超えており、今後はさらに高まる可能性が高いとみられる。
こうした情勢を背景に、飲食料品では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる。年間の値上げ品目数累計は5年連続で1万品目を突破するとみられ、2022年以降で最少だった2024年(1万2520品目)を上回る可能性もあるとしている。
