和光で人間国宝の井上萬二白磁展、「花」中心に80年の軌跡

【銀座新聞ニュース=2026年6月18日】国内時計業界第3位のセイコーホールディングス(中央区銀座1-26-1)グループの百貨店、和光(中央区銀座4-5-11、03-3562-2111)は6月18日から28日まで6階セイコーハウスホールで「井上萬二白磁展ー花咲くうつわたち」を開く。

和光で6月18日から28日まで開かれる「井上萬二白磁展ー花咲くうつわたち」に出品される「白磁緑彩釉桜彫文面取花瓶(はくじ・りょくさいゆう・さくらほり・ぶんめんとりかびん)」。

「白磁」の重要無形文化財保持者(人間国宝)の井上萬二(1929-2025年7月14日)による和光での50回目の個展を開く。和光では1977年から2025年までに49回の個展を開いている。

高い精神性と轆轤(ろくろ)の技術によって磨かれた井上萬二の個展で、今回のテーマは「花」。井上萬二がこよなく愛し、表現してきた百合や薔薇、牡丹、椿、桜などの四季折々の花々をとらえた作品を展示する。卓越した轆轤の技が光る、井上萬二を象徴する白磁丸形壺や白磁渦文壺(はくじうずもんつぼ)も出品する。井上萬二の80年にわたる作陶の軌跡に触れられる。

ウイキペディアなどによると、井上萬二は1929年佐賀県西松浦郡有田町生まれ、1944年8月に15歳で海軍飛行予科練習生、鹿児島海軍航空隊に入隊し、鹿屋航空隊、次いで1945年6月に串良航空隊に配属され、敗戦間際に少年戦闘予備軍で実戦には行かないで終戦を迎えた。1945年に九州の故郷に帰還、その後に父親の勧めで酒井田柿右衛門 (13代目、1906-1982)の窯元で働き、1952年頃に奥川忠右衛門(ちゅうえもん、1901-1975)の作品に衝撃を受け、門下生となり、白磁や轆轤の技法を学んだ。

1958年に酒井田柿右衛門窯を退社し、県立有田窯業試験場の技官として勤務、その傍らで独自の基礎となる意匠や釉薬の研究に励んだ。1958年に佐賀県展で入賞(その後、知事賞、美術協会賞など)、1963年に一水会陶芸部で連続入選(一水会賞、会員優賞など)、1967年に九州山口陶磁展で文部大臣奨励賞(2回受賞)、1968年に第15回日本伝統工芸展で初入選、1969年3月より5カ月間にわたり、ペンシルバニア州立大学美術学科で派遣教授として作陶指導し、1971年に「井上萬二窯」を開窯、1977年に全国伝統的工芸品展で通産大臣賞、1979年に労働大臣(当時)より現代の名工として表彰を受けた。

1983年からアメリカ・ニューメキシコ州立大学美術学部にて美術指導のため20回渡米し、美術教育学部教授を勤め(2017年まで)、1987年に第34回日本伝統工芸展で文部大臣賞、1995年5月31日に重要無形文化財「白磁」保持者(人間国宝)に認定、1997年11月に紫綬褒章、2002年11月に西日本文化賞、2003年11月に旭日中綬章を受章している。

2017年に有田町で息子の井上康徳(1958-2020)、孫の井上祐希さん(1988年生まれ)と共に井上萬二窯と平屋建てのギャラリーを構えた。華やかな絵付けが中心の有田焼の中で、なにも筆を加えない中国発祥の白磁に徹するという独特の制作を続けてきた。直接的間接的に教え子は500人、アメリカでも150人を超えている。

20日14時から井上萬二の孫にあたる井上萬二窯3代目の井上祐希(ゆうき)さんと陶芸家で、有田焼の窯元「聡窯(そうよう)」の3代目で、井上萬二に師事した辻聡彦(としひこ)さんによるギャラリートークを開く。

井上祐希さんは1988年佐賀県有田町生まれ、父親は井上萬二の息子の井上康徳(やすのり、1958-2020)、2011年に玉川大学芸術学部ビジュアルアーツ学科を卒業、2012年に井上萬二に師事し、陶芸の道に入り、2013年に陶美会展で入選、西部伝統工芸展で入選(2015年に入選、2016年に日本工芸会西部支部賞、2017年に入選、2023年、2024年、2025年に入選)、佐賀美術協会展で入賞(2014年も入賞、2015年に美術協会賞)。

2014年に佐賀県美術展覧会で入選(2018年、2020年に入選)、2015年に陶美展で入選(2016年、2017年に入選)、2017年に有田国際陶芸展で入選、日本伝統工芸展で入選(2020年に入選)、2018年に有田国際陶磁展で入選(2022年、2023年、2025年に入選)、2021年に佐賀新聞文化奨励賞を受賞、2023年に日本陶磁協会現代陶芸で奨励賞、九州・沖縄展で入選している。

辻聡彦さんは1965年佐賀県有田町生まれ、1986年に九州造形短期大学インテリアデザイン科を卒業、1987年にはアメリカ・ニュージャージー州の大学で工業デザインを学び、帰国後は、井上萬二に師事し、父親の辻毅彦(1936-2004)のもとで聡窯における作陶活動に入った。1995年に日展で初入選した。

2000年に九州山口陶磁展で第3位(2002年に第99回展で文部科学大奨励賞)、2003年に佐賀銀行文化財団新人賞、2010年には現代工芸美術九州会展で青木龍山賞、2013年に第52回日本現代工芸美術展で陶磁部門の現代工芸本会員賞、2016年に日本現代工芸美術展・佐賀巡回展で佐賀県知事賞、2024年に第116回有田国際陶磁展で陶業時報社賞を受賞した。2005年から2020年まで佐賀県立有田窯業大学校の非常勤講師を務めた。

また、井上祐希さんは18日から20日まで来場する。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)まで。入場は無料。期間中は休みなし。