帰郷後に接種勧告を受けるも陰性証明書で妥協、母の遺産協議へ(100)

(著者がインドから帰国したので、タイトルを「インドからの帰国記」としています。連載の回数はそのまま継続しています)
【モハンティ三智江のインドからの帰国記=2022年6月28日】石川県金沢市に帰着した翌日(3月15日)、事後報告をして驚かせた長弟とは、3月23日の午後、私が彼の勤務する病院を訪ねることになっていた。彼はこの2年以上、金沢市内の総合病院の院長として、コロナ患者対応の指揮をとってきた。

金沢在住の長弟に、西洋厨房「あおやま」(金沢市古府1丁目)に連れていってもらった。貸切の店でコース料理、メインは能登産黒毛和牛、ステーキのほかに魚(スズキ)も美味で、シャンパンが進んだ。が、コロナ禍で親族との会食の機会はめっきり減った。

メールで、ワクチン接種を勧められ、既に今は保留との返事を送っていたが、実際に対面したとき、どう対応すべきか頭を悩ませていた。インドでは、非接種の私とて、まったく肩身が狭い思いをすることがなかったが、日本ではそういうわけには行かないだろう。

ただ、接種は任意なので、今は保留の意思は通すつもりでいた。ワクチンを打つ、打たないで、親族間で軋轢を生じるのはなるだけ避けたい。打つ人には打つ人の理由が、打たない人には打たない人の理由があるのだから、互いに尊重し合っていければいい。

私はアンチ強硬派でなく、とりあえず今はいいかなの保留の立場を取るということだ。それというのも、オミクロンが重症化しないことと、終息に繋がる希望を見ているからだ。現ワクチンは、変異株に効かない。3度、さらに4度のブースター、一体、どこまで打ち続けれは、気が済むのだろう。4度目接種に走っているイスラエルでは、ワクチンの有効期限には限界があると言っているではないか。

当日は、バスで弟の病院に早めに向かい、2つ前の停留所で降りて、馴染みの美容院で髪を切ってもらった。実に2年3カ月ぶり、コロナ前は年2度帰国、そのたびに日本でカットしていたのに、それができなくなってしまって、1度は指南動画を見ながら、自分で切る羽目を余儀なくされた。

インドの田舎町で洒落たカットを施してくれる技能は望めない。インド女性は、髪を切らないこともある。都会の若い女性の中には、カットもポピュラーになってきたが、保守的な田舎では、ビューティパーラーと言ったら、主にブライダル専門だ。

というわけで、伸びに伸び切った髪を持て余していたわけだが、たっぷり1時間かけてショートボブにしてもらい、ただでさえ髪が多い私は、そげ落としてもらって、軽くなってさっぱりした。

そこから病院までは徒歩10分、感染対策が強化されており、外来受付を通すよう事前に指示されていた。前は、病院に隣接する建物に直接入り、2階の院長室に直行したものだが、コロナ禍来閉め切って入れなくなるようにしたらしい。

職員さんが、案内してくれ、エレベーターで本館の3階に上がり、また別機に乗り、2階へ、ぐるりと迂回して、馴染みの院長室に到着、2年3カ月ぶりの再会を果たした。現実に対面して接種云々で揉めるのが嫌さに、メールで簡略に済まそうとした私の思惑はあてが外れた。

来月中に母の死後の相続問題について話し合うことになっていたが、福井在住の次弟が未接種の私に会うことを渋っていると言うのだ。

同調圧力で勧められることは覚悟していたが、これは予想外の顛末だった。というのも、次弟が社長として務める同族会社で、最近クラスター(感染者集団)が発生、8人の陽性者が出て大変な目にあったせいらしい。

職場クラスターは珍しくないが、評判という点では、顧客の信用を落とすことにもなり、ダメージだ。かく言う長弟の病院でも、昨年5月職員1人が感染し、クラスターを出しており(当時はやっと接種が始まり出した頃で、デルタという毒性の強いウイルスが跋扈、インドは大爆発して火葬場が満杯、公園で焼却を余儀なくされるという地獄のただ中にあった)、院長である弟は責任問題という点からも、かなり参っていたが、3週間足らずで復旧、以後はコロナ患者を受け入れながらも(3月23日現在、7階の病棟には4人の患者が入院中だった)、感染もなく、一般外来患者で賑わう昨今だ。

病院クラスターはある意味、不可抗力、市内の国立大手も3回出しているし、私自身ネットで調べて石川県内のいくつもの病院でクラスターを出していることは承知済みだった。

この未曾有の危機に対して、医療関係者ほど心身のプレッシャーを極限まで強いられている人達はいなかった。超重労働である。弟は本当によくやった、今もやっていると思う。ワクチン接種も請負い、最近は近隣の大学の一斉接種も行ったという。

接種問題に関しては、身内だけに感情が生に出て無遠慮になってしまうところもあり、意固地な私に業を煮やしてちょっと口論のようになったが、とりあえず帰国報告がてら次弟と話してみたらと、電話を渡された。

あまり気が進まなかったが、受け取って会話、「人にうつさないために打って」という次弟にカチンと来て、ワクチンに予防効果はなく、他人にうつさないためでなく(ブレイクスルーでうつしているではないか)、自分の重症予防効果のため打つのだと言ってやりたかったが、突如私の口から、わかった、事前に陰性証明を取れば問題ないでしょうの言葉が飛び出した。次弟もやっと納得、長弟も強制でないのだから仕方ない、検査はうちでと妥協、一件落着、話し合いは来月中旬から下旬ということになった。

寺島隆吉著「コロナ騒ぎ謎解き物語」でわかるコロナ騒動の全貌

〇書評 コロナ騒動の不思議を推理小説のように紐解く「コロナ騒ぎ謎解き物語(全3冊)」(寺島隆吉=たかよし=著、あすなろ社、2021年から2022年)

寺島隆吉著「コロナ騒ぎ謎解き物語(全3冊)」(1は税込1430円、2、3はいずれも1100円)は、隠れたベストセラー、必読書だ。巻ごとに色違いのカバー、タイトルの白抜き大文字も、シンプルだが気がきいている。

5月、岐阜大学の元名誉教授(専門は英語教育・国際理解)で今尚、旺盛な執筆活動を続けておられる寺島隆吉先生から、ご高著を贈呈された。その名も「コロナ騒ぎ謎解き物語」は、全3巻から成る力作シリーズで読み応えがあった。

いわゆる「陰謀論」で片付けられているネット諸説を緻密に検証、何が陰謀論で何がそうでないかを分けて信ぴょう性のある統計資料をふんだんに引用して、事実と信じるに足る自論へと昇華している。

時系列で事象を並べ、その隙間から覗いてくる謎を徹底解明、まるで謎が紐解けるような推理仕立てで面白く、ページが進む。振り返るに、コロナ騒動は、ウイルス存在いかんから始まって、人工か自然か、発生の不思議、いったい誰がどうやって、どこでなんのために、の不思議がついて回り、私など、ある時点から茶番劇とわかっていてあえて乗るスタンスをとっていたが、同著で謎の大元は解けたとの思いだ。

第1巻「コロナウイルスよりもコロナ政策で殺される」にあるように、人々の恐怖を煽り立てる恐怖作戦なるものに、私自身も含め、洗脳されていたと、今になればわかるが、やはり発生当時は、何が何だかわからず、未知の疫病に対する恐怖心だけが先行し、自己防衛、生存本能から扇動させられていたように思う。

治験未了のワクチンに、みなで渡れば怖くないといっせいに走ったのも、無理からぬところがあったと思うが、背後で秘密裏に仕組まれていたドラマを知ると、震撼する。疑い深い私は未だに半信半疑なのだが、同著は、反論の余地がないほど、科学的立地に立っての検証、ふんだんな海外文献を駆使して裏付けと、説得力を持つ。研究者ならではの徹底究明せんとする真摯な熱情は賞賛に値する。

第2巻「私たちはガリレオの時代に戻ってしまうのだろうか」はメディア批判(赤旗から朝日新聞まで)、第3巻「ワクチンで死ぬかイベルメクチンで生きるか」はイベルメクチン(北里大学栄誉教授大村智博士発明のノーベル賞受賞の抗寄生虫薬でコロナに効くとされる)擁護・推奨論だが、インドやアフリカの実態を統計資料を用いて緻密に分析、同薬が顕著な効果をあげた事実を科学的に立証、緊急使用が承認されていたら、これほどの大騒ぎにならずに重症・死者数を食い止められたのではないかと結論付ける。なぜそうならなかったのか、巨大利権のからくりが紐解かれる。

第3巻には、2021年7月6日銀座新聞ニュースに掲載された拙記事(インド発コロナ観戦記)も引用頂き、インド在住者の声も汲み取って頂いている。昨年5月デルタ大爆発に見舞われたインドがひと月とたたぬうちに収束したのは、イベルメクチンの卓効(短期における驚異的な回復率)とする内容だ。以下、再度掲げておく。

インド、第2波新規8万人台、イベルメクチンが効果も使用中止に(74)

インド、第2波新規8万人台、イベルメクチンが効果も使用中止に(74)


副作用のほとんどないミラクル既存薬、第2のペニシリンと著者が激賞するイベルメクチンについては、観戦記本文で私自身もこれまで述べた通りだ。

たくさんの人にこの著を読んでいただきたい(Amazon限定)。そして、コロナ騒ぎとはいったい、なんだったのか、巷に氾濫する情報に惑わされずに、改めてまっさらな目で考察頂きたい。

「コロナ騒ぎ謎解き物語」は、そのための指南役、大手メディアの情報のみを真に受けている人には、目からウロコの本である。また、功成り名遂げた著者が、今の日本の大勢から見ると、多分に誤解、下手すると、誹謗中傷を受けかねない自論を臆せず、能う限りの科学的裏付けのもとに展開、ひじょうに勇気ある、良心の書でもある。

YouTube動画ですら、ワクチン、イベルメクチン関連用語は隠語でしか使用できず、検閲が厳しくなっている昨今、ガリレオ(Galileo Galilei、1564-1642)の時代に戻ってしまうのかと嘆き、著者は告発を怖(お)じない。

最後は、ホロコースト(Holocaust、第2次世界大戦中の国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)率いるドイツ国(ナチス・ドイツ)がユダヤ人などに対して組織的に行った絶滅政策・大量虐殺のこと)の生き残り3人が国際刑事裁判所に新型コロナウイルスが意図的に作られた生物兵器であったことの有力な証拠を得たとして、提訴に踏み切る情報が取りあげられているが、圧巻だった。武漢研究所漏洩説がほぼ定説となった今、故意か過失か知る由もないが、世界中に大混乱を招いたコロナ起源が、人工的に撒き散らされたとしたなら、人類への冒涜(ぼうとく)以外の何ものでもないだろう。

黒幕はいったい、誰なのか、同著はその答の手がかりとなるだろう。コロナ騒ぎを演出し、資本主義の再編・リセットを目論む黒幕的存在を知りたい方は、同書を一読すべきである。疫病や局地戦争で不透明な現代、暗い世相の一筋の光、闇夜を照らす灯火、道標(みちしるべ)となる導きの書である。

寺島隆吉の略歴
1944年石川県生まれ、思想家。1969年に東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学を卒業、石川県立高校教諭、1984年に金沢大学大学院教育学研究科英語教育修士課程を修了、1986年に岐阜大学教養部専任講師、1988年に同大学助教授、カリフォルニア大学バークレー校、南カリフォルニア大学客員研究員を経て、1993年に岐阜大学教養部教授、1996年に同大学教育学部教授、現在、国際教育総合文化研究所所長。著書に「英語教育原論」(明石書店)、「英語教育が亡びるとき」(明石書店)ほか多数(訳書もチョムスキー関連書など多数)。ブログ「百々(どどが)峰だより」(http://tacktaka.blog.fc2.com/)。
※7月29日に、「ウクライナ問題の正体1・2」(仮題、寺島隆吉著)、長引くウクライナ紛争、喫緊のテーマを扱った近刊が出る予定。

(「インド発コロナ観戦記」は、92回から「インドからの帰国記」にしています。インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いてきましたが、92回からインドからの「脱出記」で随時、掲載します。

モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。

2022年6月27日現在、世界の感染者数は5億4360万3557人、死者は632万9064人(回復者は未公表)です。インドは感染者数が4340万7046人、死亡者数が52万5020人(回復者は未公表)、アメリカに次いで2位になっています。編集注は筆者と関係ありません)。