丸善丸の内で井上直久「イバラード画集」刊行版画展、40点

【銀座新聞ニュース=2023年3月3日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は3月4日から10日まで4階ギャラリーで「画集発刊記念 井上直久版画展」を開く。

丸善・丸の内本店で3月4日から10日まで開かれる井上直久さんの「ベストセレクション画集」刊行記念展に出品される作品「多層海麗日2018」。

画家、イラストレーター、マンガ家の井上直久さんが描き続けている緑多き水豊かな架空都市「イバラード」の世界について、その世界を舞台とした画集や絵本を刊行しており、2025年7月7日に喜寿(77歳)を迎え、同年12月22日に「ベストセレクション画集」(玄光社、税込3520円)を刊行したのを記念して、版画作品を中心に約40点を展示販売する。

イバラードは架空の国、地名で、魔法の存在する世界であり、名前の由来は作者の居住地である大阪府茨木市が由来で、西はスイテリアという国(モデルは吹田市)と、東はタカツングという国(モデルは高槻市)に接する。命名は宮沢賢治(1896-1933)の岩手県・イーハトーブにちなんでいる。

人々は「シンセスタ」という思念に反応する鉱物などを用い、ソルマ(虚像)という技法によって自分の思い浮かべたものを表現する。空にはラピュタと呼ばれる浮島や小惑星が無数に浮かび、街の建造物は植物に覆われている。

この世界の公共交通機関は車輪のない宙に浮く高速鉄道「ジーマ」や市電である。空間や重力、ものの見え方や感じ方なども一定ではなく、可変的なものとして描写される。住民は人間をはじめ、外見はモグラやカエルやトカゲにしか見えない者や、培養人間、龍、森の人(J・R・R・トールキン=(John Ronald Reuel Tolkien、CBE、FRSL、1892-1973)=の作品に登場するエントにちなむ)など多種多様であり、コウイカや恐竜、爬虫類、小惑星などとも意思の疎通がなされる。「めげゾウ」のような特徴的な存在もいる。

土地としてのイバラードは野原の国で、住民は多かれ少なかれ魔法使い(他者と思念を共鳴させてソルマを出現させられる者)である。スイテリアはエルフめいた人々の住むバイオとハイテクの国、タカツングはラピュタとレアメタルの国という。

井上直久さんが背景画を提供したスタジオジブリ制作のアニメ映画「耳をすませば」の挿話「バロンのくれた物語」、三鷹の森ジブリ美術館の短編作品「星をかった日」(井上直久さんの同名の絵本が原案)の舞台にもなっている。東京都三鷹市にある三鷹の森ジブリ美術館の館内には「上昇気流2」が壁画として描かれており、「耳をすませば」の場面の元になった「上昇気流」は宮崎駿(はやお)さん(1941年生まれ)が所有している。

「井上直久 ベストセレクション画集」は代表的な作品を約200点収録しており、貴重なクロッキー、ラフ画、スケッチ画なども多数掲載している。壮大な世界観創出のためにどれだけ多くの絵を描き続けてきたかの一片が「本書をめくる度に見えてくる」としている。

井上直久さんは1948年7月7日大阪府東大阪市生まれ、金沢美術工芸大学産業美術科を卒業、広告代理店に2年勤め、大阪府立春日丘高校で美術教諭として19年間勤務し、学校勤務と並行して1983年から異郷「イバラード」をテーマにした作品を描き、個展や画集を発表し、1983年に絵本「イバラードの旅」で講談社絵本新人賞、1992年に学校を退職した。

1995年にアニメ映画「耳をすませば」の中の挿話「バロンのくれた物語」の背景画を制作し、2001年に三鷹の森ジブリ美術館メインホールの壁画を制作、2002年から2007年まで成安造形大学教授を務め、2007年にスタジオジブリが制作した映像作品「イバラード時間」を監督した。

2014年にフランス・パリのエスパスジャポンで個展、スウェーデン(ウプサラ)でスケッチし、第2大判画集「旅誘う光の粒」(架空社)を刊行、2015年から2016年にかけて、中国・上海と北京で個展、2018年にパリ・ギャラリーメタノイアで個展を開いている。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。入場は無料。