ヴァニラ画廊で少年愛を描く稲垣征次展

【銀座新聞ニュース=2024年11月24日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は11月27日から12月9日まで稲垣征次さんによる個展「いつだって光があれば」を開く。

ヴァニラ画廊で11月27日から12月9日まで開かれる稲垣征次さんの個展「いつだって光があれば」のフライヤー。

「少年愛」をテーマにした作品を多く描く画家の稲垣征次さんが個展を開く。

稲垣征次さんは「私が絵の中に少年を描くとき、その背景が暗闇になることが多々あった。
暗闇を描く理由は、少年の姿態を強調するためであったが、そのうち、少年を表現する小道具の類は必要最小限になり、いつしか暗闇は小道具をも呑み込み、”闇”そのものでその他すべてを表現できると思うようになった」という。

「薔薇族」を定年退職(2003年)後、「フリーになってから色鉛筆を使用するようになり、ある色に出会った。その色の特性から、作品のタイトルの総称として『金色の闇(こんじきのやみ)』と名付けている。その意味は物理的な意味ではなく、人間という生物が創り出した人の世を意味している。そこは人間のあらゆる欲望が錯綜、錯乱し、渦巻く混沌としての世界・・・『光の泥海』ともいうべき、金色に濁った薄明の闇である。そして、そこで生きざるをえない私のような人間にとって、何がその道標となるのだろうか。幸いにも私はとっくの昔に見つけている。それは私の前に若い肉体と圧倒的な美しさを纏(まと)って現れる。少年美である」と少年愛を描く思いをつづっている。

さらに「その美しさは決して手に入れる事は出来ない。ゆえに私は絵に描いてみる。美しく描くことができれば、ささやかに幸福である。美しい彼らの、美しい瞬間を、角度を変えて繰り返し描く事はずっと続くだろう」と考えている。

「いつの時代も彼らは私のそばにいて、その時代の気分を纏っている。私の子供時代から、今の時代と変化を続けているが、時代が変わっても不変の美しさがある。それは肉体そのものである。私にとっての少年美は、そのすべてを描いてこそ、生き生きとしたものになると思っている。だから私は金色の闇の中で、その肉体の美しさを全力で描くのである。彼らの美の瞬間はとても短いが、常に私の前に美しさの象徴として現れ、希望の光となって私を導いてくれる」としている。

稲垣征次さんは1942年台湾生まれ、戦後、福岡に引き揚げ、1961年に上京し、大学時代より絵を描き始め、1965年に卒業後、15年間ブラジルに在住し、1970年に帰国後、独学で制作を続け、1983年にゲイ雑誌「薔薇族」に絵を採用され、少年愛のイラストやエッセイを担当し、2001年に薔薇族主催による「五人展」に出品、2002年に同じく甲秀樹さんと「二人展」を開く。

2003年に定年で「薔薇族」を退社し、2006年までに渋谷の画廊美蕾樹にて3回、個展を開き、2007年に渋谷の人形博物館「マリアの心臓」で作品を発表し、少女のヌード作品も描く。2019年に悪性リンパ種(ステージ4)で入院治療し、その後、ゆるやかに絵画活動を続けている。2024年、現在の作画の傾向としては、両性具有的なヌード作品や現代の春画にも挑戦している。

開場時間は12時から19時(土・日曜日、祝日は17時)。入場料は1000円、期間中、無休。