【銀座新聞ニュース=2025年4月6日】Art Gallery M84(中央区銀座4-11-3、ウインド銀座ビル、03-3248-8454)は4月7日から5月3日まで「はっとり・よしをコレクション『Venus 2025』」を開く。

Art Gallery M84(アートギャラリーエムハッシー)で4月7日から5月3日まで開かれる「はっとり・よしをコレクション『Venus 2025』」に出品される「La Perla Donna.1989」((C)Yuriko Takagi)。
共進工業社長でアートコレクターの服部良夫さんの「はっとり・よしをコレクション」の中から選んだ、女性写真家がとらえた女性の美しさと男性写真家の女性ヌード作品を一緒に展示し、海外の女性写真家が撮影した作品も含め約30点を紹介する。
Art Gallery M84(アートギャラリーエムハッシー)のオーナー、橋本正則さんは、日本では「NUDE写真」の作品は、もう見ることが出来なくなるのだろうか、「芸術的なNUDE写真を見たいと思っている方々がいるのに、日本でNUDE写真の作品展示は激減している」と疑問を投げかける。
ヨーロッパで裸体像は、美術館などの屋内や庭園など私的空間に設置されているが、日本では、平和の象徴として、街や公共空間に裸婦像の彫刻作品が多い。ところが、写真の世界では、屋内展示でありながらも裸婦をテーマの芸術写真が激減しているという。
英語で「NUDE」は、「裸像」という意味で、芸術の絵画や写真に対する言葉として使っている。これに対して、日本語の「裸」は、単純に「裸」であって、英語では「裸」を表す言葉としてNAKEDとかBARE、UNDRESS、STRIPなどいろいろな表現があり、英語で言う「NUDE」は、他の単語と区別できるが、カタカナで「ヌード」と書くと、すべて「裸」の意味になるような気がしてしまうと嘆く。
ともかく日本では「裸」に対してタブーのイメージが強いようで、「芸術的な作品」も、ただの「エロ写真」も区別されてなく、そのせいで「芸術」まで「猥褻(わいせつ)」にされる風潮が激減につながっているのではとみている。
今回は女性写真家として、あべ美玲さん、伊藤美露(みろ)さん、大山千賀子(ちかこ)さん、久留幸子(くる・さちこ、1943-2021)、髙木由里子さん、田中裕子さん、アンジェリカ・フォーゲル(Angelika Vogel)さん、カリン・シェケシー(Karin Szekessy)さん、フランソワーズ・ウギエ(Francoise Huguier)さん、ロスヴィータ・ヘッケ(Roswitha Hecke)さんらが出品する。
一方、男性写真家としては大江徹さん、稲村隆正さん、杉山宜嗣(のぶつぐ)さん、菅原一剛(いちごう)さん、長尾猛さん、ハナブサ・リュウさん、松尾忠男さん、松原一皓(いっこう)さん、森政俊さんらが出品する。
ウイキペディアによると、「ヌード(Nude)」は人間の裸を意味する英単語で、ヌード(芸術)は、裸体を題材として「ヌード写真」や「ヌードシーン」などのように、絵画、彫刻、写真、映画といった創作物で使用される。ヌード写真は、医学のテキストや科学的記事など、真面目な媒体で使用されることもある。
分類は複数あり、芸術分野では、ヌード(観賞用の裸体)、ネイキッド(むき出しの裸体)、フレッシュ(肉の塊としての裸体)などの分類がある。芸術で扱われるヌードには性器の描写も体の一部として行われるが、女性の場合、陰裂や小陰唇を省略した股間、男性の場合、陰茎が描かれても、亀頭が露出した露茎の描写は避けられることが多い。
古代から裸婦は豊かさと芳醇の象徴と見られる傾向にあり、中世から19世紀のある時期まで、絵画におけるヌードは、神話に題材を取った女神の裸体などの宗教的な絵画表現の場合に限定して認められていた。その後、ヌードはモダニズムの考えによって変化していった。
古代ギリシアの実在の女性とされる「フリュネ(Phryne、BC371頃-没年不詳)」は後の画家や彫刻家の創造力を刺激し、多くの作品をもたらした。理想化された裸体は、オーストリアの画家、エゴン・シーレ(Egon Schiele、1890-1918)の作品のように、個人的な観点で描かれた女性に置き換えられた。
パブロ・ピカソ(Pablo Ruiz Picasso、1881-1973)、ムンク(Edvard Munch、1863-1944)、マティス(Henri Matisse、1869-1954)、モディリアニ(Amedeo Clemente Modigliani、1884-1920)、ルソー(Henri Julien Felix Rousseau、1844-1910)らの画家、ガストン・ラシェーズ(Gaston Lachaise、1882-1935)、アリスティド・マイヨール(Aristide Bonaventure Jean Maillol、1861-1944)らの彫刻家は新しい裸婦像を創造した。
日本では、明治時代から昭和の戦前までは、日本で公共の場に設置されるヌード彫刻や銅像はタブーとされてきたが、戦後の1951年、東京の三宅坂に初めて女性の裸婦像(「平和の群像」、1951年、日本電報通信社=現電通=が創立50周年記念事業碑として、彫刻家の菊池一雄=1908-1985=が制作)が設置された。以降、第2次世界大戦以前に金属供出で減少した銅像を埋める存在として、女性の裸体像が増加していった。このため、男性の裸体像よりも女性の裸体像が多い状況が生み出されたが、21世紀の日本では、裸婦像を公共の場から撤去する動きも見られている。
開場時間は10時30分から18時30分(最終日は17時)。入場は800円。日曜日は休み。成人限定。