【銀座新聞ニュース=2026年1月7日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は1月7日から20日まで3階スパインスペースで小森谷徹さんによる「天然木絵画展Ⅴ」を開く。
新潟県糸魚川市に「小森谷(こもりや)工房」(新潟県糸魚川市柵口1237-1、025-568-2838)を構え、木を精巧に組み合わせ、着色しないで模様や絵画を作り出す木象嵌(もくぞうがん)の技法で、心象風景をテーマに描いている小森谷(こもりや)徹さんが、絵画とともに、ペン立て、しおり、ストラップなどの小物も展示販売する。
ウイキペディアによると、「木象嵌」はさまざまな色調の木材をはめあわせて絵の板を作り、それをカンナで薄く削り、和紙に貼り付けたものをいう。
「デザイン・スタジオ・シマダ」によると、木象嵌は古代オリエント文明が発祥と伝えられ、3000年から4000年の歴史のある世界的な技術で、現存する最古の木象嵌作品は、紀元前(BC)13世紀に遡り、ツタンカーメン王(Tutankhamun、King Tut、BC1341頃-BC1323頃)の副葬品であるスツールであり、エジプトの博物館で今もみることができる。
日本では飛鳥時代(592年から694年)にシルクロードを経由して伝えられたものが中国より渡り、正倉院の宝物の中に、この時代に制作されたものが今も残っており、「木画」と呼ばれている。
しかし、この後、木象嵌の技法は衰退し、歴史上にほとんど出てこなくなるが、原因はわかっていない。嵌め込む素材が「木」であれば木象嵌となり、「貝」であれば螺鈿(らでん)と呼ばれる程度の違いしかない。
ただ、琴の龍舌(先端部分)や刀の柄(つか)などに細々と使われ続け、江戸末期にヨーロッパで万国博覧会が行われており、明治新政府も1873(明治6)年のウィーン万国博覧会から参加し、西村荘一郎(1846-1914)という木象嵌師がこの万博に、自身の木象嵌作品を出品した。彫込象嵌技術を使ったと思われる作品は、高度で精緻な技術を確立しており、この時代にも木象嵌の技術は伝えられていたことがわかる。
明治時代には正倉院に残っていた他の木象嵌作品を研究した成果として、多くの優れた作品が世に送り出されたが、高価な美術工芸品としてのみ存在し、結果として世間に広く知られるということはなかった。
この流れとは違う形で根付いたのが、箱根の木象嵌で、それまでの木象嵌技法の主流である、「彫込み象嵌」の技法とは異なり、明治時代に入ってから発展した機械を用いた新しい技術という。
機械化の文明は縫製ミシン、糸鋸(いとのこ)というマシンを日本にも登場させ、白川洗石(せんせき、1871-1923)という木象嵌師によって、より早くより大量に木象嵌の制作が行えるようこの2つのマシンを合体させた機械「糸鋸ミシン」が箱根の地で作り出された。
「箱根木象嵌」は、明治中期以降、輸出品の大きな柱として広まり、極めて高い職人の技術によって支えられた。しかし、土産物や輸出雑貨としてもてはやされることはあっても、美術的な価値を本当に理解されていたとはいえなかったとしている。
箱根の木象嵌は、その精緻な技術よりもむしろ、機械を用いた量産化に重きを置いたため、結果として価値が下がったとみられている。
箱根寄木細工専門店「いづみや」によると、象嵌は、英語で「Damascening(ダマセニング)」と呼ばれ、シリアのダマスカス市(Damascus)が語源といわれている。日本語の「象嵌」は、象(かたどる)・嵌(はめこむ)の意味が語源とされている。
象嵌は5世紀から6世紀頃に誕生し、起源とされた場所は、はっきりとしておらず、語源にもなっているシリアのダマスカス市が発祥の地といわれている。日本にはシルクロードを通って飛鳥時代に伝わってきた。明治の中頃、箱根に地上産業として発展したことから現在の木象嵌がある。
木象嵌には3つの制作方法があり、1)重ね式象嵌は木象嵌の中でも基本的な技法で、使用する材料を約1センチの厚さに揃え、台板になる木材が上になるように模様となる木材を重ねる。2枚重ねたらずれないように仮止めを行い、模様を描く。そのままミシン鋸で切り、模様を描いた木材を台板にはめ込むと完成する。
2)彫刻象嵌は国宝指定文化財の正倉院で保管されていた美術工芸品の中でも多く見られる方法で、小刀を使用して彫り、同じように異種材を加工して掘り込んだものに埋め込んで完成させる。
3)挽き抜き象嵌ははめ込み材に必要な模様を描いた後、ミシン鋸で切り、その後、台板の木材に模様を描いた木材の形を描き写し、写し終わったらミシン鋸で挽き抜き、模様材をはめ込んで完成させる。
小森谷徹さんは1958年埼玉県幸手市生まれ、2000年に新潟県糸魚川市に家族で移住、2002年に独学で木象嵌をはじめ、2011年から個展を開き、2022年から丸善で個展を開いている。
開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)まで。
