JPタワーに3世紀にまたがるミュージアム、西野館長「レトロで最新」

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【銀座新聞ニュース=2013年3月18日】日本郵政グループの日本郵便(千代田区霞ヶ関1-3-2、03-3504-4411)は3月21日にJPタワー(千代田区丸の内2-7-2)を全面開業するのに伴い、18日に「学術総合ミュージアム インターメディアテク」の内覧会と会見を開いた。

JPタワーに3月21日に開館する「学術総合ミュージアム インターメディアテク」の館内。

JPタワーの最大の目玉が東京大学総合研究博物館の協力による「学術総合ミュージアム インターメディアテク」で、東大の総合博物館に収蔵されている650万点のうち、一部を常設展示する無料博物館だ。今回は1000種類、7000点が展示されている。

館長の西野嘉章(にしの・よしあき)さんによると、2008年に郵便局(現日本郵便)から相談があり、日本郵便からの予算では足りない分、国内外で小さなイベントとしてモバイル展示を繰り返しながら、展示物の説明文などを整備し、今回、第1弾として幻の絶滅巨鳥「エピオルニス」の骨格や巨大な地球儀、金星の地表画像まで19世紀から21世紀の3世紀にまたがるさまざまな作品を展示している。

JPタワーの「学術総合ミュージアム インターメディアテク」に展示されている幻の絶滅巨鳥「エピオルニス」の骨格。

また、博物館というと有料が一般だが、西野嘉章さんは無料にすることで、ほかの「陳腐な博物館」と一線を画すことを目指している。展示物は一定の期間後、変えていく方針だが、「現在は開館するまでにエネルギーを使ったので、いつ更新するとはいえないが、常に進化するミュージアムにしたい」としている。

西野嘉章さんは「一見するとレトロなミュージアムだが、金星の地表の画像があるなど、常に最新のミュージアムにしたい」と意気込む。

館長の西野嘉章さんは「クジラの骨のあるところで待ち合わせようというぐらいにしたい」と東京駅周辺の「ランドマーク」にするべく、さまざまな案を練っている。

館内には小さなセミナールームもあり、東大の古い横長の机などを移設し、「クジラの骨のあるところで、ファッションショーなどを開催してもいいのではないか」と西野嘉章さんは考えている。また、このミュージアムは東大本郷の分校という位置づけで、「ゼミを開くこともある」という。

さらに、フランスの国立ケ・ブランリ美術館の協力で、同美術館が所蔵している作品を借りて展示している。こんごはイギリスのケンブリッジやオックスフォード大学などの協力が得られれば、両大学にある所蔵品を展示する可能性もあるとしている。ほかに、展示に使う什器は台湾の国立台湾芸術大学デザイン科を対象に制作コンペを行い、第1席と第2席の学生の作品を採用している。

西野嘉章さんは「什器というと、安直にその辺にあるものを購入してしまうが、ここではそういうものもコンペなどで発注していき、博物館のあり方を示したい」としている。

これに伴い、本郷の総合研究博物館は研究を主目的にし、小石川の別館は建築物の博物館に衣替えする方針だ。

ミュージアムは11時から18時(木・金曜日20時)、原則として月曜日が休館。