(終わりの方に参考として7月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年9月3日】中央区とその周辺の主要百貨店の8月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは30カ月連続となっている。
8月は台風10号による一部店舗の臨時休業がみられたが、訪日外国人観光客売上高(免税、インバウンド)が「高付加価値商品への関心が引き続き高い」(三越伊勢丹ホールディングス)、高島屋が前年比47%増、J.フロントリテーリングが同40%増、松屋銀座店が同60%増と依然として需要が強い。
しかし、訪日外国人観光客売上高を除いた国内売上高は高島屋が1.5%増、J.フロントリテーリングが2.1%増と低迷している。
三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比3.7%増(7月速報値6.5%増、確定値5.5%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、7月の商品別では、紳士服・洋品、子ども服・洋品、呉服寝具ほか、食料品、その他がマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは30カ月続けて前年を上回った。
一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同12.8%増(同速報値26.0%増、確定値26.0%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、7月の商品別では呉服寝具ほか、サービス、その他がマイナス、ほかはプラス)と36カ月続けてプラスとなった。
8月は台風10号の影響により、岩田屋本店、福岡三越、岩田屋久留米店が2日間、静岡伊勢丹、広島三越が1日、臨時休業したが、伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引し、前年比は三越伊勢丹計で同16.7%増、国内百貨店計で11.0%増だった。また、伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越の3店舗共に14カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している。
商品別では、7月までと同様に、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの衣料品、ハンドバッグ、宝飾・時計、化粧品などが好調だった。
訪日外国人観光客売上高(免税、インバウンド)は、国内百貨店計(既存店)の全体購買傾向と同様に、ラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、宝飾・時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いとしている。
日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同9.3%増(同速報値6.2%増、確定値6.4%増、7月の高島屋=国内14店舗ベース=の商品別売り上げは紳士服・洋品、子ども服・洋品、その他衣料品、家電、生鮮食品、菓子、惣菜、その他、食堂・喫茶がマイナス、ほかはプラス)と35カ月続けてプラスとなった。
8月の店頭売上高は、国内百貨店計(12店舗+EC)で同6.2%増、2019年8月比12.2%増、2018年8月比16.4%増だった。訪日外国人観光客売上高は47.1%増、2019年8月比105.6%増、2018年8月比86.7%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同1.5%増、2019年8月比4.2%増、2018年8月比9.5%増。
商品別売上高(13店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、スポーツ、食料品、サービスが前年実績を上回った。
J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同6.3%増(同速報値7.6%増、確定値7.4%増)と35カ月続けてプラスとなった(7月の全店の商品別売り上げは紳士服・洋品、子ども服・洋品、その他衣料品、その他雑貨、家具、生鮮食品、惣菜、その他食料品がマイナス、他はプラス、7月の訪日外国人観光客売上高は前年同月比109.9%増、訪日外国人売上高を除いた国内売上高は同0.7%増)。
8月は、下旬の台風により下関店、博多大丸が2日間、高知大丸が1日臨時休業したことなどによるマイナスの影響があったものの、宝飾品、ラグジュアリーブランド、化粧品が引き続き好調に推移し、大丸松坂屋百貨店合計(13店舗、法人、本社等含む)では同6.8%増、関係百貨店(2店舗)を含めた百貨店事業合計でも同6.8%増となった。店舗別では、15店舗中12店舗が前年実績を上回った。
訪日外国人観光客売上高(速報値)は、同39.6%増(客数同47.6%増、客単価同5.5%減)となった。2019年8月比80.1%増、2018年8月比75.8%増だった。
また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店、法人・本社などを除く13店舗)の国内売上高は同6.5%増、うち訪日外国人観光客売上高を除く国内売上高は同2.1%増だった。
松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同16.0%増(同速報値38.5%増、確定値38.5%増、7月の商品別では紳士服・洋品、家具、家庭用品、食料品がマイナス、ほかはプラス)と36カ月続けてプラスとなった。
8月の銀座店は化粧品が前年比約30%増、ラグジュアリーブランドが同約32%増、時計が同約25%増になるなど、売り上げを大幅に伸ばした。訪日外国人観光客売上高については、前年比約60%増と引き続き、全館を力強く牽引した。為替が前月に比べ円高傾向に推移するも、訪日外国人観光客売上高は依然と強い基調を維持し、加えて、中国からの客の増大で、化粧品などを皮切りに百貨店の強みを生かした商品の買い回りが進んでいるとしている。
日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内71社177店舗(6月対比増減なし)の7月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比5.5%増の5011億7694万円と、29カ月続けてプラスとなり、好調を維持している(2019年7月比4.0%増)。
土曜・日曜各1日減やクリアランスの前倒し、猛暑や荒天による主要顧客層の外出自粛などマイナス要因も一部に見られたが、増勢が続く訪日外国人観光客売上高と高付加価値商品が牽引した他、夏物衣料や服飾雑貨を中心に盛夏商材が好調だった。クリアランスでは実需品へのニーズが高く、プロパー品が健闘した。各社が企画した夏休みのファミリーイベントやアニメ展、物産展など食品催事や外国展などの各種施策も売り上げと集客に寄与した。中元商戦は自家需要なども好評で、堅調に推移している。
顧客別では、訪日外国人観光客売上高が円安の影響などから633億円(102.3%増、28カ月連続増、シェア12.6%)と調査開始以来3番目の高い数値で、2019年7月比でも125.5%増と高い伸びだった。1月から7月の累計では前年比150.4%増の3978億円と過去最高だった2023年の年間売上高3484億円をすでに超えている。購買客数は、過去最多の6月(57.9万人)に次ぐ57.1万人(前年比77.1%増)となっている。
一方、国内市場は高額商材は好調だったが、食料品が苦戦し、1.3%減(シェア87.4%)と3カ月ぶりにマイナスに転じた。2019年7月比では3.6%減だった。
地区別では、増勢が続く訪日外国人観光客需要と高額品が好調な8地区(仙台と広島がマイナスで、これら含めた10都市ベースで、34カ月連続、8.2%増)で前年実績を超えた。一方、7地区では(10都市以外の7地区、3.1%減)は、2カ月ぶりにマイナスだった。
商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のうち、4品目で前年実績をクリアした。ラグジュアリーブランドを中心としたバッグや財布など革小物、時計、美術・宝飾、化粧品などが国内外共に好調だった。また、天候要因からUV対策アイテムをはじめ季節商材も活況だったが、食料品は価格高騰や一部青果の不作などもあり、2カ月ぶりに前年割れだった。
全国の百貨店の7月の営業日数は前年と同じ31.0日、102店舗の回答によると、入店客は36店が増え、43店が減ったとしている。
東京地区(12社22店)の7月の売上高は前年同月比8.3%増の1517億3890万円と35カ月続けてプラスとなった。
国内87店舗の訪日外国人観光客による7月の売上高は同102.3%増の約633億2000万円と28カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが12.6%としている。
このうち、一般物品売上高は同102.4%増の約551億7000万円と40カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が101.3%増の約81億5000万円と24カ月続けてプラス、購買客数が同77.1%増の約57万1000人と27カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同14.2%増の約11万円で、6カ月続けて前年を上回った。
人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・洋品が上位に入った。
免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、マレーシアとなっている。