シャンテHMVで「天皇の料理番」工藤極トーク

【銀座新聞ニュース=2018年7月1日】国内出版業界第40位の徳間書店(品川区上大崎3-1-1、目黒セントラルスクエア、03-5403-4300)は7月7日14時から日比谷シャンテ(千代田区有楽町1-2-2)の3階「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEイベントスペース」(03-5157-1900)で工藤極さんによるトークショーとサイン会を開く。

7月7日に日比谷シャンテのHMV&ブックス・日比谷コテージ(BOOKS HIBIYA COTTAGE)でトークショーとサイン会を開く工藤極さんの書籍。

元宮内庁大膳課でいわゆる「昭和天皇の料理番」を務めた工藤極(くどう・きわむ)さんが6月21日に絵と文章を手がけた「陛下、お味はいかがでしょう。『天皇の料理番』の絵日記」(徳間書店、税別1500円)を刊行したのを記念してトークショーとサイン会を開く。

「陛下、お味はいかがでしょう。『天皇の料理番』の絵日記」は1974年から1979年まで宮内庁大膳課厨房第二係として洋食担当を務めた工藤極さんが昭和天皇(しょうわ・てんのう、1901-1989)の料理番として過ごした日々を描いている。

主な内容は第1章「宮内庁大膳課へようこそ」では、天皇の料理番の1日、大膳課の厨房はフットサルコートの広さ、園遊会で供される伝説の「ソース秋山」など、第2章「皇室のかたがたとの日々」では、陛下からの「おいしかった」のお言葉、身も凍る大失態「タコ糸事件」、美智子(みちこ、1934年生まれ)皇后陛下と残り物ご飯の教えなど。

書籍に掲載されている大膳のカレーライスのレシピ。

第3章「僕の足跡、そしてこれから」では初代主厨長・秋山徳蔵(あきやま・とくぞう、1888-1974)への憧憬、最終面接官は中島伝次郎(なかじま・でんじろう、1897-1976)主厨長など、第4章「天皇家の食卓(レシピ集)」では大膳のコンソメ、大膳のカレーライス、大膳秘伝カレーの薬味「イカ粉」、フジヤマアイスなどで、ほかに10品以上の秘伝レシピを収録している。

ウイキペディアによると、天皇の料理番は1979年に出版された、杉森久英(すぎもり・ひさひで、1912-1997)による小説の題名で、1978年10月から1979年11月まで週刊読売に連載され、2015年までに3回テレビドラマ化されている。

工藤極さん。

宮内省大膳職司厨長(料理長)を務めた秋山徳蔵の青年期から主厨長になるまでを描いており、秋山徳蔵の実際の経歴をもとにしているが、細部はフィクションであり、実在した秋山徳蔵との混同を避け、小説では「秋沢篤蔵」、ドラマ版では「秋山篤蔵」と表記している。

秋山徳蔵は高等小学校を卒業した後、16歳で上京し、華族会館の見習いとして料理人のキャリアをスタート、そこで3年間働き、その後、駐日ブラジル公使館、築地精養軒を経て、「東洋軒」三田本店の3代目料理長に就任、1909(明治42)年に本格的な西洋料理修業のため私費でフランスに渡航した。

ドイツ・ベルリンの「ホテル・アドロン」の調理場を経て、パリの日本大使館の紹介により、「オテル・マジェスティック」で2年間修業、その後「キャフェ・ド・パリ」に半年、「オテル・リッツ・パリ」でオーギュスト・エスコフィエ(Georges Auguste Escoffier、1846-1935)の下で半年働いた。

1914(大正3)年に大正天皇(たいしょう・てんのう、1879-1926)即位の礼を控え(実際は同年4月に昭憲皇太后が崩御したため、1915年に延期された)、外国からの賓客に本格的なフランス料理を提供できる料理長として、1913(大正2)年にパリの日本大使館の推薦により宮内省に招かれて帰国し、東京倶楽部料理部長を経て、新設された宮内省大膳寮の初代厨司長に任じられ、以降、天皇の料理番となった。

1915(大正4)年に行なわれた大正天皇の御大典で18カ国の賓客を本格的なフランス料理でもてなした。1920年に宮内省の命により再び渡仏して研究を続け、1921年の皇太子裕仁親王の欧州訪問の際に一行に随行して各国主催の晩さん会の現場を見学し、その後、アメリカ・ニューヨークの有名レストランを視察して1922年に帰国した。
1972年に84歳で現役を引退、1973年に勲三等瑞宝章、1974年に没した。

工藤極さんは1951年東京都生まれ、学習院高等科を卒業後、フランス料理店「代官山 小川軒」で修業、天皇の料理番・秋山徳蔵の言葉に影響を受けて、1974年から5年間、宮内庁大膳課厨房第二係に奉職し、洋食担当として昭和天皇皇后両陛下の日常の食事をはじめ、園遊会、宮中晩さん会の調理を手がけた。

退官後はフランスにわたり、地中海料理「メディティラーネ」で修業、帰国後にフランス料理店「麻布きゃら亭」(港区西麻布)を開店した。その後、多くのレストランの総支配人、シェフなどを経て、2007年に「ビストロ サンジャック」(練馬区栄町39-19、ハイム054-101、03-6794-2100)を開店し、現在もオーナー・シェフを務めている。

14時からのトークショーとサイン会に参加するには、HMV&ブックス・日比谷コテーージ(BOOKS HIBIYA COTTAGE)レジカウンターで「陛下、お味はいかがでしょう。『天皇の料理番』の絵日記」を購入する必要があり(予約も可)、トークショーの終了後にサイン会を開く。