大丸松坂屋画廊がWEB上で市川光鶴、平野実穂ら6人の美人画展

【銀座新聞ニュース=2021年5月19日】国内百貨店業界2位の流通グループ、J.フロントリテイリング(中央区八重洲2-1-1)傘下の大丸松坂屋百貨店(江東区木場2-18-11)が運営するアートギャラリー「Artglorieux GALLERY OF TOKYO」(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3572-8886)は5月20日から6月2日まで市川光鶴さんら6人の若手画家による「銀座・小町通り-百美人画展 Galaxy of Beauties」をWEB上で開く。

大丸松坂屋百貨店のギャラリー「アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー(Artglorieux GALLERY OF TOKYO)」のWEB上で5月20日から6月2日まで開かれる6人の若手画家による「銀座・小町通り-百美人画展 ギャラクシー・オブ・ビューティー(Galaxy of Beauties)」に出品される市川光鶴さんの「君とのかけ橋」(油彩画、26万4000円)。

今回は東京都による緊急事態宣言により「Artglorieux GALLERY OF TOKYO(アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー)」が臨時休業しているため、WEB(ウエブ)上で市川光鶴(みつる)さん、粉川(こかわ)江里子さん、児玉慶多さん、志賀絵梨子さん、平野実穂さん、吉田然奈(さな)さんの6人の若手画家の作品を展示販売する。

また、美岳画廊(中央区八丁堀4-13-5、幸ビル、03-3551-2262)で5月20日から23日の3日間、6人の作品を展示する。

江戸時代の浮世絵からの流れを汲む美人画の世界では、ここ数年は女性像を描く作家が増えて、ファン層も広がりを見せているという。今展では日本画、油彩画など異なる技法、モチーフで描かれ、それぞれの美意識をもとに表現した現代の美人画の世界を表現している。

ウイキペディアによると、「美人画」は単に美しい女性をモチーフにした絵画という概念に囚われがちだが、「広辞苑」では「女性の美しさを強調し」という抽象的表現で規定されており、「新潮世界美術辞典」(1985年版)では「女性の容姿の美しさ」とあり、「現代日本美人画全集 名作選I」(関千代さん、1979年)では「女性の中にある美」を探究しモチーフとしたものと定めてあり、必ずしも美人を描いたものという定義だけでその本質を表現できるものではない。実際、浮世絵の美人画は様式化されたもので、美しい女性をリアルに描いたものではない。

「美人画」という用語は、1940年代から1950年代の頃に文部省美術展覧会で醸成され形作られた言葉で、それ以前は、女性をモチーフとした、例えば浮世絵に見られる諸作品は「美人絵(びじんえ)」や「女絵(おんなえ)」として分類されていた。特に後者の呼称では源氏物語絵巻にあるような引目鉤鼻の記号的な女性図をも含んでいた。

明治末期には、新しい女性像を提案する画家(上村松園、1875-1949=ら)の台頭や、過去の封建的な女性に対する社会的認知が変化を見せ始めたことが美人画という新しい分類が生まれた一要因とみなされる。

「百美人(東京百美人)」というのは、1891(明治24)年に浅草の凌雲閣(りょううんかく、1890年完成、同年11月11日に開業、高さ52メートル、12階建て、1階が入り口、2階から7階が外国の物品販売店計46店、8階が休憩室、10階から12階が眺望室で望遠鏡設置、1923年に解体)で、日本初のエレベーターが故障が頻発し、5月に運転停止命令が出され、経営者の江崎礼二(1845-1910)が入場料が大人8銭、子ども4銭(当時、かけそば1杯が1銭の時代)でも客が来てくれるアイデアとして、考案した。

エントリーしたのは102人の芸者で、写真家の小川一真(おがわ・いっしん、1860-1929)が撮影した写真を階段の壁面に展示し、12階の最上階で投票できるようにした。このアイデアが成功して、5日間の会期で延べ5万人が投票した。ただし、「東京百美人」が日本初のミス(美人)コンテストとされているが、1890(明治23)年4月19日付の読売新聞に「応募者の写真を審査して賞金を与える」美婦人品評会合イベントが報道されている。

また、ギャラリーによると、「ギャラクシー(Galaxy)」は銀河、天の川 (広大・多種類) という意味で、「ビューティー(Beauties)」は美しいもの、美しいことの総称で、人物画中心であり、技法やモチーフの異なる6人の展覧会ということから、今回はこのタイトルにしたという。さらに、「ギャラクシー・オブ・ビューティー(Galaxy of Beauties)」には「扇影衣香(せんえいいこう)」 という訳もあるという。

市川光鶴さんは1983年愛知県生まれ、1995年に第21回現創展に出品 (その後、2007年まで出品し、1999年に新人賞、2002年、2004年に努力賞 2003年に奨励賞、2005年に大賞、2006年に協会賞、2007年に会長賞)、2004年に第72回独立展に出品し(その後、2012年まで出品し、2007年に新人賞、2011年と2017年に佳作賞、2015年に芝田米三賞、2018年に奨励賞、2019年に損保ジャパン日本興亜美術財団賞)。

2007年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業、卒業時に卒業制作研究室賞、2009年に武蔵野美術大学大学院造形研究科油絵コースを修了、独立春季新人選抜展に出品し(2012年に新人選抜賞)、現在、独立美術協会準会員。

粉川江里子さんは武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業、2010年に「画廊生誕 100周年記念大賞展」で優秀賞、2011年に「ACTアート大賞展」で佳作(2012年と2014年に優秀賞)、2013年に「第9回ベラドンナ・アート展」で春蔵絵具賞。視覚障害を抱えながら、制作している。

児玉慶多さんは1995年東京都生まれ、2017年に東京芸術大学油画科を卒業、同年に東京都美術館の東京芸術大学修了作品展に出品、2020年にArtglorieux GALLERY OF TOKYOの「若手人気作家によるーGINZA入札販売会」にも出品している。

志賀絵梨子さんは2008年に東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業、2018年に同大学大学院美術研究科芸術学専攻を修了、現在、美術解剖学会正会員。2009年に第19回富嶽ビエンナーレ展で佳作賞(2011年に優秀賞)、2015年に第83回独立展で新人賞、2019年に2019独立春季新人選抜展で奨励賞などを受賞している。

平野実穂さんは1984年埼玉県生まれ、2007年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業、卒業時に卒業制作研究室賞、2008年から2014年まで銀座フォレストで個展、2017年にアメリカ・ロサンゼルスで個展、2018年に百美人画展、香港で「アフォーダブル・アート・フェア(Affordable Art Fair)」、2019年にギンザシックスで「ミューズ(Muse)たちの競演」に出品している。

吉田然奈さんは1986年東京都生まれ、2012年にヤングアーティストジャパンvol.5、2016年にフィールドオブナウ展などに出品している。

WEBでの抽選販売は20日10時30分から6月2日23時59分まで。

美岳画廊の開場時間は12時から19時まで。