蔦屋書店でYohta Matsuoka展、静物画で知覚の本質に迫る

【銀座新聞ニュース=2025年3月22日】書店やレンタル店、フランチャイズ事業などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(渋谷区南平台町16-17、渋谷ガーデンタワー)グループの銀座蔦屋書店(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3575-7755)は3月22日から4月11日まで店内アートウォールでYohta Matsuokaさんによる個展「Perception in Flux」を開く。

銀座蔦屋書店で3月22日から4月11日まで開かれているYohta Matsuokaさんの個展「Perception in Flux(パーセプション・イン・フラックス、変容する知覚)」に出品される「Silent Distruction(サイレント・ディストラクション)」(acrylic on canvas、2025年)。

アーティストのYohta Matsuokaさん(松岡洋太さん)は、大学を卒業後、世界中を放浪しながらストリート、カウンターカルチャーに触れ、2004年から「JONJON GREEN(ジョンジョングリーン)」名義で壁画やライブペイントを主に活動を始めた。その後、キャンバス作品も手掛け、2021年から続く静物画シリーズ「Before Dawn(ビフォアー・ドーン)」では、シミュラクラ現象(3つの点が集まった図形など、本来は顔ではないものが顔に見えてしまう現象)を利用した独自のスタイルを確立した。

今回は、蔦屋書店によると、「普段当たり前のように見えている景色や日常は、他人にとっても同じように見えているのだろうか」という疑問をきっかけに、静物画という古典的な表現を通して、現代社会における人々の知覚の本質に迫る試みを行っている。

蔦屋書店では、ひとつのトピックに対してさまざまな考察が交差し、真実がぼやけてしまいがちなインターネット上で発生する曖昧な知覚や情報による認知のずれを、作品を通して表現しているという。浮遊した物体は、人の手によるのか、上から落ちてきたのか、横から飛んできたのか、鑑賞者に思考する余白を持たせている。また、リアルとアンリアルな描写を共存させることで、固定概念への混乱を生じさせる、としている。

Yohta Matsuokaさんは「“Perception in Flux” では、静物画という伝統的な形式を通じて、流動する知覚の本質に迫ります。静物のなかに”動き”や”意図”または”違和感”を組むことで、視覚の確かさに揺らぎを生じさせる。それらは想像の余白となって、新たな認識の断片が立ち上がり、鑑賞者それぞれの方法によって再解釈されることを促す」と見ている。「作品を通じて変容する知覚の揺らぎが、見ることの本質を再考するきっかけになれば」としている。

Yohta Matsuokaさんは1978年群馬県高崎市生まれ、多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科を卒業、2004年よりストリートカルチャーシーンの中で「JONJON GREEN」名義でライブペイントを主とした制作活動を始め、1980年代のイタリアを中心に生まれた色鮮やかで刺激的なデザイン集団「メンフィス」に大きな影響を受けたことから、パターンで構成するダイナミックかつ自由度の高い抽象表現を壁画に応用し、国内外に数々の大型作品を残した。2010年から個展も開いている。

2021年より、原初的な感覚でモノクロの画面に球体や棒などのシンプルなオブジェクトを配置する静物画の作品を制作、リアルとアンリアルを交錯させた独自の表現を確立、とくに、花瓶を中心に構成された画面には、顔のような形が浮かび上がり、ポートレートの要素も内包する。さらに、現代的なモチーフを取り入れ、背景に人の気配を感じさせる構成や、時間や重力、観る者の視点による解釈の揺らぎを生み出している。

壁画、キャンバス作品ともに、空間と対話しながら生まれる独自のリズムを持ち、観る者に自由な解釈を促す表現を追求。近年では、伝統的な絵画の枠を超え、異なる文化や時代の要素を交錯させることで、新たな視覚体験を提示している。

開場時間は10時30分から21時(最終日は17時)。入場は無料。