中央の百貨店2月、全5店が減、銀座三越と松屋は3割以上、新型肺炎で

【銀座新聞ニュース=2020年3月4日】中央区とその周辺の主要百貨店の2月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、大丸東京店、日本橋高島屋、銀座三越、松屋銀座の5店ともマイナスだった。5店舗とも前年を下回ったのは、2019年12月以来、2カ月ぶり。

2月の売上高で0.8%減の微減と健闘した日本橋高島屋。

2月は「全国的に新型コロナウイルスの感染拡大による不安が広がり、入店客数の減少や消費マインドへのマイナス影響がみられ」(三越伊勢丹ホールディングス)たことと、「国内においても不要不急の外出を控える動きが広がったこと」(高島屋)などや、訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税売上高)の「売り上げの落ち込みなどの影響により苦戦」を強いられた。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比15.9%減(1月速報値9.5%減、確定値9.1%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表)と店頭ベースでは5カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同36.2%減(同速報値0.7%増、確定値0.7%増、但し空港型免税店の売り上げを除く)と2カ月ぶりにマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは新型コロナウイルスの感染拡大により、入店客数の減少や消費マインドへのマイナス影響があり、訪日外国人観光客売上高に関しても、訪日客数減と、春節の時期ずれ(前年2月4日から10日、本年1月24日から30日)のマイナス反動が重なり、グループ百貨店の全店舗で前年割れとなった。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同0.8%減(同速報値1.2%増、確定値1.2%増)と2カ月ぶりにマイナスとなった。日本橋店は2018年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小している。

店頭売り上げは、暖冬による季節商材の苦戦や消費増税影響に加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、訪日外国人観光客売上高が大きく減少したほか、国内においても不要不急の外出を控える動きが広がったことが影響した。

また、17店舗ベースの商品別ではサービス営業を除く商品群が前年を下回った。訪日外国人観光客売上高については前年比69.9%減と大幅に減少した。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同16.1%減(同速報値2.9%減、確定2.9%減)と5カ月続けて前年を下回った。

百貨店事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、訪日外国人観光客の大幅減により訪日外国人観光客売上高が大きく前年実績を下回り、さらに国内消費も外出の自粛などによる入店客数減少の影響を受けた。訪日外国人観光客売上高(速報値)は前年比75%減と大幅に減少した。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、1月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同3.8%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同32.4%減(同速報値2.0%増、確定値2.0%増)と2カ月ぶりにマイナスとなった。

銀座店は、訪日外国人観光客売上高において、春節期間のズレにより前年に対して5%減、新型肺炎の影響により、主に中国からのお客の売り上げが大きく減少し、訪日外国人観光客売上高は前年に対して約7割減となったのが響いた。また、大型催事の開催ズレの売り上げ欠落(影響度合いは約9%減)も加わり、銀座店全体の売上高は前年を下回った。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内75社207店舗(総従業員6万3564人)の1月売上高(店舗調整後)は前年同月比3.1%減の4703億9960万円で、4カ月続けてのマイナスとなった。

1月は「記録的な暖冬で季節需要が減退し、主力の衣料品を中心に冬物商材が苦戦した」という。訪日外国人観光客売上高については、春節の月ズレでふた桁増となったが、下旬からは新型コロナウイルスの影響により、「国内外の集客・売り上げ共に厳しい商況」としている。

顧客別では、国内市場(4.5%減、4カ月連続マイナス、シェア93.3%)はマイナスだったが、訪日外国人観光客売上高については売上高約316億円(20.9%増、4カ月ぶり、シェア6.7%)、購買客数約45万人(8.7%増、8カ月ぶり)となり、共に前年実績を上回った。

商品別では、主要5品目のうち、食料品(0.2%減)はほぼ前年並み、下旬にスタートしたバレンタイン商戦が好調な滑り出しを見せ、菓子(1.7%増)がプラスに転換し、身のまわり品(1.4%減)と雑貨(1.5%減)はわずか届かなかった。

しかし、堅調な富裕層消費と訪日外国人観光客売上高効果から、化粧品(0.5%増)と高額品(美・宝・貴、2.3%増)は共に4カ月ぶりに前年を超えた。衣料品(6.8%減)は天候などから、コートを中心とした重衣料が苦戦したが、ジャケット、カットソー、ブラウスなど春物商材に動きが見られた。

全国の百貨店の1月の営業日数は前年と同じ30.1日、114店舗の回答によると、入店客は29店が増え、50店が減ったとし、85店舗の回答によると1月の歳時記(初売り、クリアランスセール)の売り上げについては8店が増え、47店が減ったとしている。東京地区(12社25店)の1月の売上高(店舗調整後)は同2.4%減の1292億4968万円と4カ月続けてのマイナスとなった。

国内91店舗の訪日外国人観光客需要の1月の売上高は同20.9%増の約316億9000万円と4カ月ぶりにプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが6.7%としている。

このうち、一般物品売上高は同31.8%増の約199億8000万円で、3カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同6.0%増の117億1000万円、購買客数が同8.7%増の約45万4000人と8カ月ぶりにプラスとなり、1人あたりの購買単価が同11.2%増の7万円で、2カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年12月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から12月まで2位)で8カ月連続で2位、3位が食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位、5月2位、6月、7月3位、8月4位、9月から12月まで3位)で、5カ月連続で3位だった。

4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から12月まで4位)で5カ月連続で4位だった。5位に婦人服が戻った。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年12月まで1位)、2位は香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月から6月3位、7月2位、8月から11月まで3位、12月2位)で2カ月連続となった。

3位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月3位)で2カ月連続だった。4位に韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から12月まで4位)で5カ月連続だった。

5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から12月まで5位)で4カ月連続、6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から12月まで6位)で4カ月連続、7位がマレーシア(2018年1月から2019年12月まで7位)と変わらなかった。