蔦屋書店でくらはしれい新作展、タロットから着想した12点

【銀座新聞ニュース=2025年2月15日】書店やレンタル店、フランチャイズ事業などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(渋谷区南平台町16-17、渋谷ガーデンタワー)グループの銀座蔦屋書店(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3575-7755)は2月17日から3月30日まで店内トラベル売り場でくらはしれいさんによる作品展「MESSAGE」を開く。

銀座蔦屋書店で2月17日から3月30日まで開かれるくらはしれいさんの個展「MESSAGE(メッセージ)」のフライヤー。

イラストレーター、絵本作家のくらはしれいさんがタロットカードから着想を得た12種の新作複製原画を展示販売する。ハート、星、虹などさまざまなモチーフと子どもたちを描いた新作で、タロットカードから着想を得て、観る人によって、その日の気分によって、多様なメッセージを受け取ってほしいという思いで描いている。ほかに、マグカップ、キーホルダー、ステーショナリーグッズなども展示する。

ウイキペディアによると、タロットカード(tarots)は、78枚1組が一般的で、寓意画が描かれた22枚の大アルカナ(絵札、トランプのカード)と、ワンド(棍棒)、カップ(杯)、ソード(剣)、ペンタクル(五芒星)のスート(マーク)の4組に分割される56枚の小アルカナ(数札)で構成される。

タロットは中世末期にイタリアで生まれた貴族の遊び道具、賭博用品で、印刷技術の発展に伴い、南フランスやドイツにも広まったとされる。

近世のカード占いは、18世紀に始まり、寓意札と数札の組み合わせにさまざまな神秘性を見出す人々が登場し、ひらめきによってタロットのエジプト起源説を唱えたパリの百科全書派の学者のアントワーヌ・クール・ド・ジェブラン(Antoine Court de Gebelin、1728-1784)や、同じくエジプト起源説を唱えてタロット全体をヒエログリフ(Hieroglyph、聖刻文字、神聖文字)で書かれた古代エジプトの「トートの書」(Book of Thoth、エジプト神話で書と知識を司る神、トートによって書かれた)と捉えたド・メレ伯爵(de Mairet)等、フランス人のタロット論がタロットの神秘化に決定的な影響を及ぼし、タロットはゲームの道具からオカルト的なものに変容していった。

彼らのエジプト起源説は根拠はなかったが、神秘的解釈の要素の多くが含まれており、この後に続く者達は、2人の説明の空白部分を埋めるように、自由にタロットの象徴の発想(妄想)を膨らませ、かなり強引にタロットに神秘的解釈を重ね合わせていった。彼らが想像したタロット観は、エッティラ(エテイヤ、ジャン=バティスト・アリエット、Jean-Baptiste Alliette le jeune、dit Etteilla=1738-1791)に引き継がれた。彼らは、タロットは太古に起源を持ち、特別な理解力と洞察力を持つ人々だけが到達できる秘密の智恵を含むものだと主張し、こうして単なるゲームの道具だったタロットは、18世紀後半以降「ありとあらゆる神秘的教義の秘匿と開示を担うシンボル集成、さらには人間の運命を見通すことを可能にする魔術の道具」となっていった。

このような神秘的な意味付けの行為には、フランス革命後のフランスで、政治的・経済的な立場を失った貴族・知識階級が、霊的な秘密に通じるエリートであることを誇示し、特権的な立場を保とうという目的があった。

エッティラの系統の「エジプト・タロット」とそのバリエーションは生産され続け、19世紀末西洋のオカルティズムの盛り上がりの中で存在感を獲得していった。19世紀のオカルティストのエリファス・レヴィ((Eliphas Levi、1810-1875)は、タロットは占いの道具というより「古代の書物」で「神秘を解き明かす鍵」であると主張して、強引に22枚の寓意札と22のヘブライ文字の照応を論じ、動物磁気説に影響を受けたアストラル光(星気光)の理論と関連付ける形で、タロットを魔術と結びつけた。タロットはカバラと関連付けられることで、心身変容法のツールとして使われるようになり、オカルトの文脈の中に位置付けられた。

フリーメイソン的薔薇十字思想家のイギリス人、ケネス・マッケンジー(Kenneth Robert Henderson Mackenzie、1833-1886)が残した暗号で書かれたタロット原稿と儀式群は、フリーメイソン系の薔薇十字団体のメンバーの友人ウィリアム・ウィン・ウェストコット(William Wynn Westcott、1848-1925)の手に渡り、「暗号文書」として西洋魔術結社「黄金の夜明け団(Hermetic Order of the Golden Dawn)」の創立の土台になり、ここに書かれたタロットとヘブライ文字の照応関係は結社の秘伝となった。

タロットは現代では、占いやオカルト的な目的に幅広く使われるようになり、一部のオカルト探究者だけでなく、新時代のスピリチュアリティの表現として広い層に受け入れられ、高い人気を誇る。

くらはしれいさんは岐阜県生まれ、雑誌、一般書籍の装丁画や挿絵、オリジナル雑貨のイラストなどを手掛けている。これまでに2020年に絵を手がけた「レミーさんのひきだし」(文は斉藤倫さんとうきまるさん、小学館)、2021年に絵を手がけた「王さまのお菓子」(文は石井睦美さん、世界文化社)、2023年4月に絵を手がけた「しまさんとこねこねハンバーグ」(文はタサン志麻さんとくさばよしみさん、河出書房新社)、2023年10月に自作絵本「こねこのトト」(白泉社)がある。また、その続編となる「こねこのトトはおるすばん」(白泉社)が2025年2月19日に刊行される。

開場時間は10時30分から21時(最終日は17時)。2月25日は休み。17日10時30分から店頭とオンラインで販売する。