中央の百貨店5月、日本橋三越が減、大丸、高島屋や銀座2店増

【銀座新聞ニュース=2019年6月4日】中央区とその周辺の主要百貨店の5月売上高(速報値、店頭ベース)は、大丸東京店、日本橋高島屋、銀座三越、松屋銀座店の4店がプラスだったが、いずれも1%台の伸びにとどまり、日本橋三越が前年を下回った。

5月の売上高で2カ月ぶりに前年を上回った日本橋高島屋。

5月は「前年に対して祝日・振替休日の2日増という条件の中、月後半の真夏日を記録する気温の上昇」(松屋)などにより、「ワンピースなど夏ものファッションに動きが見られ、化粧品、ラグジュアリーブランドが国内、訪日外国人需要ともに好調に推移」(J.フロントリテーリング)した。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比5.4%減(4月速報値4.3%減、確定値4.5%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は5月から未公表)と店頭ベースでは2カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同1.6%増(同速報値0.7%増、確定値0.7%増、但し空港型免税店の売り上げを除く)と3カ月続けてプラスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、「ラグジュアリーブランドや宝飾・時計は引き続き好調」で、GWでは新客も来店したことから堅調に推移したが、全体としては前年実績を下回った。

新宿伊勢丹、日本橋三越、銀座三越の基幹店ではラグジュアリーブランドの衣料品やハンドバック、宝飾・時計をはじめ、GW後の気温上昇に伴い、夏物アイテムの帽子やサングラスなども伸長した」。日本橋店はリモデル工事に伴う催事場閉鎖などのマイナス与件もあったとしている。

訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)は基幹店計及び国内百貨店共に前年を上回ったという。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同1.8%増(同速報値1.3%減、確定値1.2%減)と2カ月ぶりに前年を上回った。ラグジュアリーブランドを中心とした高額品売り上げは引き続き伸長したが、関東地方における大雨の影響などもあり、ほぼ前年並みだった。訪日外国人観光客売上高は0.4%増だった。

17店舗ベースの商品別では、特選衣料雑貨、宝飾品、食料品などが前年比プラスとなった。一方で、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、子供ホビー・リビングなどは前年に届かなかった。

日本橋店は、2018年9月からレストラン街の運営を「東神開発」に移管したため、百貨店としての売場面積が縮小している(調整後は4.5%増)。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同1.4%増(同速報値0.5%増、確定0.6%増)と4カ月続けて前年を上回った。

百貨店事業は、気温の上昇に伴い、ワンピースなど夏ものファッションに動きが見られ、化粧品、ラグジュアリーブランドが国内、訪日外国人需要ともに好調に推移し、宝飾品も売り上げを伸ばした。訪日外国人観光客売上高(速報値)は同約23%増(来店客数14%増、客単価8%増)となった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、4月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同6.8%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同1.6%増(同速報値2.1%増、確定値2.1%増)と3カ月続けて前年を上回った。

銀座店は婦人部門でサングラス、帽子などの婦人雑貨が好調に推移し、一部の国産アパレルに鈍さが見られるも、国内外のデザイナーによる高価格帯の婦人服は引き続き、前年を上回った。

訪日外国人観光客売上高については化粧品などの消耗品の売り上げが前年に対して二桁に迫る伸びを示したが、ラグジュアリーブランドを軸とした一般品がやや鈍く、全体の売上高は前年を下回った。一方、訪日外国人観光客売上高を除く国内客の消費動向は、堅調に推移(前年比3.3%増)し、加えて大型催事や各種来店促進策が奏功し、入店客数も前年を大幅に上回った(前年に対して二桁増)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内78社215店舗(総従業員6万6814人)の4月売上高(店舗調整後)は前年同月比1.1%減の4488億1216万円で、3カ月ぶりにマイナスとなった。

4月は「気温が低く不安定な天候の影響で、この時期主力の春物・初夏物の衣料品が低調だった」という。他方で、「ラグジュアリーブランドを中心とした高額品や訪日外国人観光客需要(インバウンド)は引き続き好調を維持した他、各種催事や花見需要、さらに改元祝賀の関連商品などは堅調だった」としている。

顧客別では、国内市場(シェア92.3%、同1.9%減)がマイナスで、訪日外国人観光客需要(シェア7.7%、同9.3%増)が344億円と、3カ月連続で過去最高額を更新した。

商品別では、国内外顧客共に好調な化粧品(同5.3%増)と高級時計などの高額品(美術、宝飾、貴金属で8.8%増)が牽引し、雑貨(3.6%増)全体で3カ月連続のプラスだった。食料品(1.6%増)も2カ月連続増で、地方物産展など食品催事が好評で、惣菜(2.7%増)などの花見商材や、改元関連、GW手土産で菓子(4.9%増)の需要が高まった。

一方で、天候から衣料品(4.7%減)はコート、ワンピースが好調だったものの、春夏物のジャケット、スーツなどが苦戦し、身のまわり品(2.2%減)も3カ月ぶりにマイナスだった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月と同じ29.9日、121店舗の回答によると、入店客は40店が増え、38店が減ったとし、うち84店舗の回答によると4月の歳時記(春物商戦、GW)の売り上げについては12店が増え、27店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の4月の売上高は同0.8%減の1261億7188万円と2カ月ぶりにマイナスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の4月の免税売上高は同9.3%増の約344億7000万円と過去最高で、3カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが7.7%としている。

このうち、一般物品売上高は同4.9%増の約188億6000万円で、3カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同15.2%増の156億1000万円、購買客数が同0.1%増の約46万5000人と2013年2月から75カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同9.2%増の7万4000円で、3カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年3月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年3月まで2位)、3位に食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019目3月まで3位)と前月と同じだった。

4位に婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から3月まで4位)、5位に子ども・玩具が登場した。2019年1月は5位が婦人服・用品、2月と3月が美術・宝飾品だったが、いずれも6位以下に下がった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年3月まで1位)、2位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月と10月2位、11月と1月まで3位、2月と3月2位)、3位に香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月3位)だった。

4位に台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月4位)が3位から下がり、5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、1月から3月5位)、6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、1月から3月6位)、7位がマレーシア(2018年1月から3月まで7位)と変わらなかった。