【銀座新聞ニュース=2016年8月19日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は8月29日から9月10日まで中田柾志さんによる写真展「Campus star-タイの大学制服事情とセクシャル・アイデンティティ」を開く。
2012年の第1回ヴァニラ画廊大賞で奨励賞を受賞し、2013年、2014年とヴァニラ画廊で個展を開いている写真家の中田柾志(なかた・まさし)さんが今回はタイで出会った制服姿の女子大生たちをキャンパスで撮り下ろしていく中で、女子でも男子でもない「?子」に遭遇し、異性装ともLGBTとも分類できない「?子大生」のカメラの前での爛漫(らんまん)な姿、「限定された制服という括(くく)りの中で、自分が自分であろうとする、その真っ直ぐな性と、生を謳歌(おうか)する姿」を撮り下ろした最新作を展示する。
中田柾志さんはタイに何度も訪れているが、初めての時から気になっていたのが、街中で見かける白のシャツに黒のスカートの制服の女性達という。「なかにはボディラインくっきりの服に超ミニスカートの女性もいる。エロすぎる。それが女子大生と知り、より興味をもった。世界でも稀な大学生が制服を着る国。あるサイトで、世界中の制服の中で一番かわいい制服に日本の女子高生が選ばれ、一番セクシーな制服にタイの女子大生が選ばれていた。同感だ」としている。
さらに、「知的で清楚なイメージの白と黒のシンプルな配色の服、さらにミニスカートの下の露な生脚は、男の妄想をかきたてるのに十分なアイテムだ。今回の作品は上下制服に限定せず、上が学校指定の運動着、下が制服のスカートの学生も含まれている」という。
また、「女子大生を撮影するうちに、さまざまな性を生きる学生を撮影している」ことになった。タイには男性、女性以外にレディボーイ、トムボーイなど分類すると18種類の性別があるといわれている。「女装好きでスカートを履いているがスネ毛はボウボウで未処理の学生。化粧はしているがヒゲをはやしている男子学生など。トムボーイにいたっては、髪型や振る舞いは男に成りきろうとしているが、スカートを履いている」
「これは校則が原因で、性別上、女子はズボンは駄目でスカート着用を義務付けいている学校がほとんどらしい。男子のスカート着用は許されているみたいだが。男子でも女子でもない別の性別を模索している学生は、被写体として魅力的である」としている。
ネットによると、タイには18種類の性があり、女性と付き合う男性、男性と付き合う女性という通常の男女(ストレート)のほかに、男性を好きな男性(ゲイで、ネコとタチがいる)、女性も男性も可能な男性(ボート)、女性が好きな女性(レズビアン)、男装をした女性(トムボーイ)、トムボーイを好きな女性(ディー)、トムボーイもディーも好きな女性(トムゲイ)、トムボーイを好きな男性(アダム)、ゲイ、オカマが好きな女性(チェリー)、女性になりたい男性(レディボーイ、ニューハーフ)などがある。
タイでは大学で男女の制服を指定しているところがほとんどで、女子大生は上が白、下が黒でスカート着用と決められている。しかし、スカートの長さなどまでは厳しくしていない大学も多く、多くの女子大生が体を締め付けるブラウス、かなり膝上のミニスカートを着ており(ネット上では「パッツンパッツン制服」と呼ばれている)、ネットでは「世界でもっともセクシーな制服」といわれている。
ただ、2007年には、改修中の仏教寺院を視察した女性文化相が長いスカートを着用していたが、その前をミニスカートの女子大生が入ってきて、文化相がたしなめても、無視し、これを同行していた記者団が報道すると、一転して大学の教員とともに、文化相を訪問して謝罪するという事件が起こっている。また、私立のバンコク大学では、2015年6月から芸術学部で男女とレディボーイ、トムボーイなどの制服の長さを決めるなど、規制する動きも出ている。
タイの大学には国立系では同国で最も古いマヒドン大学(Mahidol)、もっとも難関のチュラロンコン大学(Chulalongkorn)、もっとも古い農業のカセサート大学(Kasetsart)、北部では唯一の国立のチェンマイ大学(Chiang Mai)、法律・政治分野で著名なタンマサート大学(Thammasat)などがあり、「チュラロンコン、タマサート、カセサート」がタイの大学御三家と呼ばれている。
一方、私立では、タイ屈指の富裕層が多いアサンプション大学(Assumption)、タイで最初の私立大学で学費が高いといわれるバンコク(Bangkok)大学、バンコクにある有名な私立大学で日本語学科があるタイ商工会議所大学(University of the Thai Chamber of Commerce)などがあり、「バンコク大学、アサンプション大学、タイ商工会議所大学」がタイの私立大学御三家といわれている。
中田柾志さんは1969年青森県弘前市生まれ、2001年に公募展「写真新世紀」にて「無名の彫刻たち」シリーズで佳作賞、2002年に個展を開き、2005年に「写真新世紀」で「ブローニュの森」が佳作賞(2007年にも「素人モデル」シリーズで佳作賞)、2012年に「ヴァニラ画廊大賞」で奨励賞、2013年から毎年、ヴァニラ画廊で個展を開いている。
2日19時から中田柾志さんと写真家で編集者の都築響一(つづき・きょういち)さんによるギャラリートークを開く。入場料は1500円(ワンドリンク付き)。
都築響一さんは1956年東京都生まれ、上智大学を卒業、在学中から現代美術・デザイン分野でライターとして活動、卒業後はフリーランスの編集者として「ポパイ」や「ブルータス」(マガジンハウス)などを手がけた。
その後、「東京スタイル(TOKYO STYLE)」(京都書院、後に筑摩書房)を刊行して写真家として活動、1996年に写真ルポルタージュ「珍日本紀行」を雑誌「スパ(SPA!)」に連載、写真集「ロードサイドジャパン(ROADSIDE JAPAN)珍日本紀行」(筑摩書房)が第23回木村伊兵衛(きむら・いへえ)写真賞を受賞した。
開場時間は12時から19時(金曜日20時、土・日曜日・祝日17時)まで、入場料は500円。期間中、無休。
