中央の百貨店4月、三越2店、大丸9割減、高島屋6割減、免税も激減

【銀座新聞ニュース=2020年5月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の4月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、大丸東京店、日本橋高島屋、銀座三越の4店ともマイナスだった。松屋銀座は4月の売上高について開示を見送った。4店舗とも前年を下回ったのは、3カ月連続となる。

4月8日から休業を続ける銀座三越(右)。このため、95%減とほぼ売り上げがなくなっている。

3月は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が発出された4月8日以降、順次全館臨時休業や食品フロアのみの営業体制となったことで、各店舗とも大幅なマイナスとなった。訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税売上高)についても、入国制限の強化や臨時休業が国内百貨店全店舗に拡大したことにより、各店とも大幅に落ち込んでいる。高島屋では訪日外国人観光客売上高が前年比99.1%減となっている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比90.2%減(3月速報値40.0%減、確定値32.1%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表)と店頭ベースでは7カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同94.9%減(同速報値55.1%減、確定値55.1%減、但し空港型免税店の売り上げを除く)と3カ月続けてマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは新型コロナウイルスの感染拡大による政府の緊急事態宣言発令を受け、首都圏三越伊勢丹をはじめ、グループ百貨店全店舗において、順次全館臨時休業や食品フロアのみの営業体制となったことで、国内百貨店の売上高は7カ月連続で前年実績を下回った。

首都圏三越伊勢丹の百貨店全店舗では、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に4月4日、5日、宣言発令後の4月8日以降、全館臨時休業としている。一方で、百貨店の店頭売上には含まれないが、一部臨時休業後も稼働していたEC事業は3月に引き続き好調という。訪日外国人観光客売上高は臨時休業のほか、入国制限の強化などにより、大幅に落ち込んでいる。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同67.7%減(同速報値33.9%減、確定値33.8%減)と3カ月続けてマイナスとなった。日本橋店は2018年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小している。

店頭売り上げは、外出自粛の動きがさらに強まり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が発出された4月8日以降、食料品フロアを除いた臨時休業を段階的に実施したことなどにより、前年実績を下回った。訪日外国人観光客売上高は同99.1%減となった。17店舗ベースの商品別でも、すべての商品群が前年を下回った。

日本橋店については、4月4日と5日、8日から30日まで休業した(一部の食品売り場などを除く)。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同93.2%減(同速報値49.9%減、確定50.0%減)と7カ月続けて前年を下回った。

百貨店事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言、ならびに自治体の要請を踏まえ、感染リスク低減の観点から4月7日以降、順次各地域の店舗の臨時休業と時間短縮を実施し、4月19日以降は16店舗中15店舗が臨時休業(一部店舗の食料品売場を除く)となったことから、大丸松坂屋百貨店合計では同78.1%減、百貨店事業合計では同79.1%減となった。

訪日外国人観光客売上高(速報値)は同99.3%減(客数同99.8%減、客単価252.3%増)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、3月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同1.9%減だった。不動産事業がマイナスとなるのは、2017年4月から「不動産事業」の数値を公表するようになって初めて。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は4月8日から銀座店、浅草店とも休業しており、4月の売上速報については開示を見送るとしている。ただし、4月1日から5日間(週末は休業)の売上高は3月の売上高前年比(同速報値40.7%減、確定値未発表)とほぼ同程度としており、3カ月続けてマイナスとなった。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内74社205店舗(総従業員6万2114人)の3月売上高(店舗調整後)は前年同月比33.4%減の3403億5966万円で、6カ月続けてのマイナスとなった。

3月は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、「商圏顧客の外出自粛に加え、感染防止策として各社が実施した営業時間短縮や臨時休業、さらには物産展や文化催事など大型イベントの中止や縮小から入店客数は大幅に減少し、売上も大きく落ち込んだ」ことから、過去最大のマイナス幅となった。

また、訪日外国人観光客需要は、中国をはじめとした海外からの渡航者の入国制限により、購買客数が93.4%減と激減したことで、売上高は85.7%減となった。国内市場については、一部外商売上やネット販売などに動きが見られたものの、前月より22ポイントダウンの29.8%減となった。

商品別では、主要5品目すべてでマイナスとなる中、特に、国内外顧客の減少やタッチアップ(直接お客の肌に施すメイクやスキンケアなど)中止から前年より4割以上減少した化粧品や、卒入学式などのセレモニー中止による衣料品や身のまわり品などのセレモニー用ニーズのアイテムが苦戦した。食料品についても、人気の食品催事の中止が響いた。

一方で、巣ごもり消費からウエブ受注や、生鮮食品などを含む食料品の宅配は比較的好調だった。また、感染防止意識から婦人手袋なども動いた、としている。

全国の百貨店の3月の営業日数は前年より0.4日少ない30.5日、113店舗の回答によると、入店客は1店が増え、109店が減ったとし、82店舗の回答によると3月の歳時記(ホワイトデー、卒業・入学、新生活)の売り上げについては2店が増え、75店が減ったとしている。東京地区(12社25店)の3月の売上高(店舗調整後)は同34.6%減の929億1183万円と6カ月続けてのマイナスとなった。

国内90店舗の訪日外国人観光客需要の3月の売上高は同85.7%減の約47億5000万円と2カ月続けてマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが1.4%としている。

このうち、一般物品売上高は同88.3%減の約18億9000万円で、2カ月続けて前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同83.2%減の28億6000万円、購買客数が同93.4%減の約3万人と2カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同116.2
%増の15万9000円で、4カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2020年2月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2月まで2位)で10カ月連続で2位、3位が食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位、5月2位、6月、7月3位、8月4位、9月から2月まで3位)で、7カ月連続で3位だった。

4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2月まで4位)で7カ月連続で4位だった。5位に子ども服・雑貨が婦人服(2020年1月と2月5位)を上回って5位になった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2020年2月まで1位)、2位は2月に3位に下がった香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月から6月3位、7月2位、8月から11月まで3位、12月と1月2位、2月3位)が、再度2カ月ぶりに上がった。

3位に、6カ月連続4位だった韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位)が上昇した。4位が2月に2位だった台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と1月3位、2月2位)で、昨年8月以来の4位に下がった。

5位に2月まで5カ月連続で6位だったシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位)がランクを上げた。6位が2018年から2020年2月まで7位だったマレーシア(2018年1月から1月まで7位)が上昇した。7位が2月まで5カ月連続で5位だったタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位)が下げた。