【銀座新聞ニュース=2024年11月14日】一般社団法人「八重洲二丁目北地区エリアマネジメント」は東京ミッドタウン八重洲(中央区八重洲2-2-1)で11月14日から12月25日まで「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2024」を開く。
「ジャパンクラフト」をコンセプトに、金継ぎの作品展示や伝統を体験できるワークショップを実施する。金箔の日本一の生産地で、輪島塗など漆芸が伝わる石川県で盛んな「金継(きんつ)ぎ」の文化に焦点を当てて、「ヒカルキンツギ」を空間のテーマにしながら、「金継ぎ」をモチーフに作られた5メートルのインタラクティブツリー「キンツギツギキ」をメインツリーとして1階ガレリア(屋外広場)に展示する。
また、隣接する1階アトリウムでは金継ぎ作家で、美術家のナカムラクニオ(中村邦夫)さんの金継ぎの作品を展示し、その伝統の技を体験できるワークショップを実施し、ワークショップ参加費などの収益金は石川県の復興支援として寄付する。
1階ガレリアの天井にはイルミネーション装飾「GALLERIA Winter Lights(ガレリア・ウィンター・ライツ)」を展開する。また、5階のYAESU TERRACE(ヤエス・テラス)では、シャンパンゴールドに木々を彩った「Illumination TERRACE(イルミネーション・テラス)」が展示する。
ツリー「キンツギツギキ」は石川・能登の木材と東京の木材を金継ぎさながらに繋ぎ合わせて制作された。また「キンツギツギキ」は訪れる人のアクションによって通常演出とは異なる特別なライトアップも実施する。
「金継ぎ」とは、割れたり、欠けたり、ヒビが入ったりした陶磁器を漆で接着し、継ぎ目を金、銀、朱色などで飾る日本の伝統的な修理技法で、欠けた部分を自身の想像力で補い、ヒビや欠けに新しい美を見出す。傷を隠すのではなく、金粉で際立たせるように修理する金継ぎは、傷を認め、受け入れ、傷ごと愛しつづける精神的な側面も含まれているとしている。
また、東京外国語大学によると、教授の投野由紀夫(とうの・ゆきお)さんとオックスフォード大学の準教授、アリアン・ボルロンガン(Ariane Macalinga Borlongan)さんが、英国オックスフォード大学出版局との共同で「オックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary)」に掲載する日本語由来の語を選定し、新たに23の日本語由来の語が追加され、その中に「金継ぎ(kintsugi)」が含まれている。
ナカムラクニオさんによる金継ぎワークショップは1階アトリウムで、11月30日、12月7日、14日の11時、15時、18時から1日3回開く。参加人数は各回10人で、小学校高学年以上が対象。参加費用は税込1万円。金継ぎするうつわは、主催者側で用意する(江戸から大正、昭和初期の欠けた小皿など)。輪島産の漆、金沢産の金粉で仕上げて、当日持ち帰れる。
参加する場合は、汚れてもいい服装にする。また、直したいうつわを持参する場合は、1点まで。バラバラに砕けたものやガラス製品、大きな花器、土鍋など直火の当たるものなどはできない。表面は漆を使用し、内部には樹脂を使って修復する。参加希望者はネット(https://hikarukintsugi-ws.peatix.com/)から予約する。
ウイキペディアによると、ナカムラクニオさんは1971年東京都目黒区生まれ、東京都立日比谷高校を卒業、在学中より美術の活動を始め、作品を横尾忠則さん(1936年生まれ)に絶賛され、17歳で初個展を開き、西麻布にあった現代美術館「PICA(ペンローズ・インスティテュート)」のスタッフをしながら世界を巡った。
日本大学を卒業後、フジテレビ系の制作会社ニユーテレスに入社、ネクサスで「開運!なんでも鑑定団」や「地球街道」などを担当し、その後、NHKワールドで紀行番組を担当した。2008年、荻窪にギャラリー「6次元」を設立、近現代美術史に造詣が深く、ブリヂストン美術館(現アーティゾン美術館)、山種美術館、Bunkamura(ブンカムラ)ザ・ミュージアム、京都文化博物館、あべのハルカス美術館などでギャラリートークを開いている。2022年に東京都美術館で開催されたボストン美術館展ではアートナビゲーターを担当した。
陶磁器修復技術「金継ぎ」の普及活動をはじめ、東北、熊本などの被災地やアメリカなどでワークショップを開催し、映像作品「金継ぎ PIECES IN HARMONY(ピーシーズ・イン・ハーモニー)」は、「ADFEST 2018(第21回アジア太平洋広告祭)」デザイン部門でシルバーを受賞、資生堂のCM「The redefiniton of Japanese Beauty by Shiseido(リデフィニション・オブ・ジャパニーズ・ビューティ・ザイ・シセイドウ)」に金継ぎの器を提供し、小学校高学年向け環境問題の教科書「エシカル消費」(金の星社)にも「金継ぎ」の項目が掲載されるようになった。2019年には、アメリカの画家、マコトフジムラさんと共同で金継ぎの学校「キンツギアカデミー」をロサンゼルスに設立、ニューヨークで展示やワークショップなどを企画した。
東京ミッドタウン八重洲は2018年12月に着工し、2022年8月末に竣工、2022年9月に一部がプレオープンし、2023年3月に全面開業した。敷地面積が1万2390平方メートル、高さは240メートルで、地上45階、地下4階で、延べ床面積が28万3900平方メートル。設計はPickard Chilton(ピカード・チルトン)、構造エンジニアは日本設計と竹中工務店、施工は竹中工務店が手がけた。
オフィス(7階から38階)や高級ホテル(40階から45階がブルガリホテル東京)、店舗、中央区立城東小学校、バスターミナルなどからなる「八重洲セントラルタワー」と、事務所、店舗、子育て支援施設(認定こども園)などからなる「八重洲セントラルスクエア」(地上7階地下2階)で構成されている。
ツリーの点灯時間は16時から23時。1階ガレリアのWinter Lightsと5階のイルミネーションは2025年2月16日まで点灯する。また、三井不動産グループでは都内4施設(東京ミッドタウン、東京ミッドタウン日比谷、東京ミッドタウン八重洲、日本橋エリア)でイルミネーションシーズンの街歩きによるデジタルスタンプラリーを実施する。