中央の百貨店3月、全5店3割以上の減、銀座三越と大丸半減、免税も激減

【銀座新聞ニュース=2020年4月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の3月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、大丸東京店、日本橋高島屋、銀座三越、松屋銀座の5店ともマイナスだった。5店舗とも前年を下回ったのは、2カ月連続となる。

3月の売上高で6カ月連続マイナスと苦戦する日本橋三越。2021年2月末には、売上高に計上している恵比寿三越が閉店するため、さらに苦戦が強いられるそうだ。

3月は全国的に新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点と、行政からの外出自粛要請もあり、「入店客数の減少や消費マインドへのマイナス影響を受け」(三越伊勢丹ホールディングス)たとしている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比40.0%減(2月速報値15.9%減、確定値14.0%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表)と店頭ベースでは6カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同55.1%減(同速報値36.2%減、確定値36.2%減、但し空港型免税店の売り上げを除く)と2カ月続けてマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、首都圏三越伊勢丹(6店舗)では3月2日より営業時間短縮を実施し、行政からの外出自粛要請もあり、入店客数の減少や消費マインドへのマイナス影響を受け、首都圏三越伊勢丹(既存店)と国内百貨店(既存店)ともに、売上は6カ月連続で前年実績を下回った。

訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税売上高)については、入国規制の影響もあり2月に比べてさらに大きく減少した。一方で、自宅で購入する食品宅配サービスやECによる売り上げは好調で、定期宅配サービス(ISETAN DOOR)や化粧品オンラインストア(meeco)などは前年比2倍で推移している(ただし、百貨店事業売り上げには含めていない)。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同33.9%減(同速報値0.8%減、確定値1.6%減)と2カ月続けてマイナスとなった。日本橋店は2018年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小している。

店頭売り上げは、新型コロナウイルスの感染拡大により、不要不急の外出を控える動きが全国的に広がったことに加え、3月28日、29日は行政からの外出自粛要請などを受け、日本橋店などを臨時休業したことなどにより、前年実績を下回った。訪日外国人観光客売上高は前年比92.5%減だった。17店舗ベースの商品別では、サービス営業を除く商品群が前年を下回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同49.9%減(同速報値16.1%減、確定16.1%減)と6カ月続けて前年を下回った。

百貨店事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、訪日外国人観光客売上高の大幅減だけでなく、国内消費も外出の自粛などにより入店客数のマイナス影響を受けたこと、さらにお客と従業員の安全・安心、感染リスク低減などの観点から、全店で4日間の臨時休業日を設けた(東京店、上野店はさらに1日追加休業)ことなどから百貨店事業合計では前年比44.1%減となった。訪日外国人観光客売上高(速報値)は前年97%減(客数97%減、客単価16%増)となった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、2月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同6.6%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同40.7%減(同速報値32.4%減、確定値32.4%減)と2カ月続けてマイナスとなった。

銀座店は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月2日から月を通した営業時間の短縮(その影響度合いは約7%弱)と臨時休業(2日間、その影響度合いは約9%程度)が、売り上げ全体に大きなインパクトを与えた。

また、訪日外国人観光客売上高については、化粧品を軸に大幅に減少、加えて、外出自粛要請を受け、国内のお客の消費減退も不安材料となり、先行きの不透明感が払拭できない状況が月間を通し続き、店全体の売上は大幅に前年を下回った。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内75社206店舗(総従業員6万2745人)の2月売上高(店舗調整後)は前年同月比12.2%減の3661億2747万円で、5カ月続けてのマイナスとなった。

2月は「新型コロナウイルスの影響拡大から、国内外顧客の集客・売り上げともに厳しい状況が続き、入店客数も約1割減少した」としている。また「国内においては外出自粛による消費マインドの低下が見られ」ている。訪日外国人観光客売上高では「1月27日以降の中国政府による団体海外旅行禁止、春節の月ズレ(前年2月5日、今年1月25日)も大きく響いた」という。その上、暖冬により冬物商材も動きが鈍かったとしている。

顧客別では、国内市場は1月より3.3ポイントダウンの7.8%減(5カ月連続、シェア97.0%)であったが、訪日外国人観光客売上高は、訪日客減により購買客数(13.4万人、68.3%減、2カ月ぶり減)が大幅に減少した結果、総売上高は約110億円(65.4%減、2カ月ぶり、シェア3.0%)となり、極めて厳しい結果としている。

商品別では、主要5品目すべてで対前年減となる中、食料品(3.5%減)はバレンタイン商戦などの催事企画が好評で減少幅を抑えることができた。一方、衣料品(15.9%減)や身のまわり品(16.7%減)などのファッション商材は、「天候与件もあって冬物重衣料を中心に苦戦し」た。

時計や宝飾など一部高額品(美術、宝飾、貴金属は6.6%減)が比較的堅調だった雑貨(18.9%減)も、化粧品(26.4%減)が大きくマイナスしたことから、全体では2割近く減少した。

全国の百貨店の2月の営業日数は前年より1日多い28.7日、115店舗の回答によると、入店客は16店が増え、78店が減ったとし、84店舗の回答によると2月の歳時記(バレンタインデー、節分)の売り上げについては11店が増え、47店が減ったとしている。東京地区(12社25店)の2月の売上高(店舗調整後)は同12.8%減の1015億5114万円と5カ月続けてのマイナスとなった。

国内91店舗の訪日外国人観光客需要の2月の売上高は同65.4%減の約110億2000万円と2カ月ぶりにマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが3.0%としている。

このうち、一般物品売上高は同64.2%減の約55億円で、4カ月ぶりに前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同66.5%減の55億2000万円、購買客数が同68.3%減の約13万4000人と2カ月ぶりにマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同9.0%増の8万2000円で、3カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2020年1月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から1月まで2位)で9カ月連続で2位、3位が食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位、5月2位、6月、7月3位、8月4位、9月から1月まで3位)で、6カ月連続で3位だった。

4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から1月まで4位)で6カ月連続で4位だった。5位に婦人服(2020年1月5位)で、2カ月連続5位だった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2020年1月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と1月3位)で3カ月ぶりに2位を回復した。

3位が香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月から6月3位、7月2位、8月から11月まで3位、12月と1月2位)で、3カ月ぶりに下がった。4位に韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から1月まで4位)で6カ月連続だった。

5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から1月まで5位)で5カ月連続、6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から1月まで6位)で5カ月連続、7位がマレーシア(2018年1月から1月まで7位)と変わらなかった。