【ケイシーの映画冗報=2026年4月9日】今回は「俺たちのアナコンダ」(Anaconda、2025年、)です。ハリウッドで売れない役者として生活していたグリフ(演じるのはポール・ラッド=Pau Rudd)は、ある日、故郷のニューヨーク州バッファローにもどり、旧友のダグ(演じるのはジャック・ブラック=Jack Black)に、かつて自分たちが愛してやまなかった映画「アナコンダ」(Anaconda、1997年)を映像化する権利を得たので、「俺たちの夢を復活させよう」と声をかけます。
かつての映画少年も中年となり、家族を持って、生まれ育った場所で、小規模ながらも映像製作会社の次期オーナーであるダグは、「無謀な挑戦」として難色を示しますが、「かつての仲間と作ったビデオ作品」を見たことで映画監督という夢が再燃します。
意気投合したグリフとダグは、離婚して故郷に戻っていた過去作品の主演女優だったクレア(演じるのはタンディウェ・ニュートン=Thandiwe Newton)と、旧友で会社ではお荷物社員のケニー(演じるのはスティーヴ・ザーン=Steve Zahn)と、超低予算にもかかわらず、オリジナル作品の舞台であるアマゾン川に旅立ちます。
現地で撮影スタジオ兼生活の場となる船と、真の主役である撮影用の“アナコンダ”を調達したロケ隊一行は、嬉々として撮影をこなしていくのですが、アナコンダとの共演中に、グリフが誤ってヘビを喪失してしまいます。
「ジャングルにいる野生のアナコンダを使おう」という無茶な発想から、危険なアマゾンのジャングルに分け入ることになるロケ隊。さらには、一行の乗る船のリーダーであるアナ(演じるのはダニエラ・メルシオール=Daniela Melchior)にも不穏な動きが見られるように。
グリフやダグの「少年のころの夢」はかなえられるのか。本作の原典となっている映画「アナコンダ」は、「アマゾン奥地への取材に入った撮影隊が、巨大かつ獰猛な巨大ヘビ“アナコンダ”に襲われる」という動物パニック・アクション映画で、批評家たちには辛口評価となりましたが、映画はヒットし、続編や、明らかに「本作を観てから仕上げた」という映画が存在しています。
実は、この「アナコンダ」という作品の“影響”は日本のコミックにもあり、実際に「(作者が)観ましたね」という場面を複数、読んだ記憶があります。
もう30年近く前の映画ですが、個人的には気に入っている作品です。もちろん、実在する生物の“アナコンダ”からは過剰にデフォルマシオンされた「凶悪生物」として、モンスター的に描かれおり、そうした部分も含めてケレン味の効いた作風を楽しめたのです。
原題こそ1997年とおなじ「Anaconda」ですが、オリジナル版を題材に、まったく新しい切り口で取り掛かっている本作は、これまで存在した過去作品のリメイクや、古典の時代背景を現代風に整えるといったアプローチではなく、「その作品が存在したことによって、人生に影響を受けた人々」という視点でストーリーが構築されています。これは新鮮な印象を受けました。
自分も高校のころ、仲間内でビデオ映画を作っていたことがあり、あの、なんとも楽しかった時間の想い出を、登場人物たちと共有するという、いつもの映画鑑賞とは違った感触を味わったという、貴重な体験も個人的には評価できます。
いま、実際に映像制作を復活させたいという意識は希薄ですが、「絶対に手がけることはない」と断言することも難儀です。この心情は、グリフを演じたポール・ラッドの言葉が合致していると思います。
「みんな、思い描いていた人生とは違う場所にいる。だからこそ、このクレイジーな冒険に飛び込んだ。かつて大好きだったことに全力で取り組んで、自分自身を満たしたかったんだ」
俳優として、不本意な活動をしているグリフから見て、故郷で家族にめぐまれ、自分の映像作品を撮っているダグは、「成功している」ように見えますが、演じたジャック・ブラックは、ダグという人物をこう分析しますま「ウェディング・ビデオの巨匠を目指す道だってある。でも、ダグが本当にやりたかったのは、もっとパワフルで面白いストーリー映画を作ることだったんだ」
つけ加えますと、監督・共同脚本のトム・ゴーミカン(Tom Gormican)の一文が、作品の本質を捉えていると強く感じます。
「みんな『いつかやりたいこと』があるけれど、実際に行動に移せる人は少ない」(いずれもパンフレットより)
鑑賞後、自分にも、「いつかやりたいこと」があることを想いだしました。かなり突飛なので、ここに記すのはためらめてしまいますが。次回は「ダーティ・エンジェルズ」を予定しています(敬称略。【ケイシーの映画冗報】は映画通のケイシーさんが映画をテーマにして自由に書きます。時には最新作の紹介になることや、過去の作品に言及することもあります。隔週木曜日に掲載します。また、画像の説明、編集注は著者と関係ありません)。
