加島美術、美術品入札会、民藝、琳派や向井潤吉ら550点

【銀座新聞ニュース=2021年2月5日】加島美術(中央区京橋3-3-2、03-3276-0700)とBSフジ(港区台場2-4-8、フジテレビ本社ビルメディアタワー)は2月6日から14日まで第6回美術品入札会「廻-MEGURU-」の下見会を開く。

加島美術で2月6日から14日まで開かれる第6回美術品入札会「廻-MEGURU-」の下見会のフライヤー。

「廻」は誰でも参加できる日本美術に特化した入札型オークションで、今回は約550点を出品する。最低の入札価格は3万円からで、「民藝」特集、郷愁の洋画家「向井潤吉(1901-1995)」特集、「琳派」特集を展開する。また、円山應挙(1733-1795)、伊藤若冲(1716-1800)、長沢蘆雪(1754-1799)ら、江戸絵師たちの作品も出品される。

「廻」は美術品を売却したい人から作品を集約し、国内外約2万人の美術品愛好家をはじめ、購入を希望される人に作品を紹介し、出品者が自ら入札価格を設定できる。下見会の期間中は、ギャラリーにて出品作品を展示するので、作品を実際に見ることができる。

「民藝」は1926(大正15)年に思想家・柳宗悦(1889-1961)によって提唱された芸術運動によって確立された比較的新しい美の概念で、それまでの概念を覆す新たな美の世界が生み出され、棟方志功(1903-1975)、河井寛次郎(1890-1966)、濱田庄司(1894-1978)、バーナード・リーチ(Bernard H.Leach、1887-1979)の作品などが出品される。

ウイキペディアなどによると、「琳派」は安土桃山時代(1573年から1603年)に興り、近代まで活躍した、同傾向の表現手法を用いる造形芸術上の流派、または美術家・工芸家らやその作品を指す名称である。本阿弥光悦(1558-1637)と俵屋宗達(生年不詳-1640頃)が創始し、尾形光琳(1658-1716)・尾形乾山(1663-1743)兄弟によって発展、酒井抱一(1761-1829)や鈴木其一(1795-1858)が江戸に定着させた。

大和絵の伝統を基盤として、豊かな装飾性・デザイン性をもち、絵画を中心として書や工芸を統括する総合性、家系ではなく私淑による断続的な継承などが特質として挙げられるとしている。

今回は江戸琳派を代表する酒井抱一や、近年展覧会で注目され、その可愛らしい絵柄で人気を集めた中村芳中(生年不詳-1819)、神坂雪佳(1866-1942)や市川其融(1808-1874)ら琳派の流れを汲む絵師たちの作品を出品する。

向井潤吉は日本中を自ら行脚し、民家の姿を残し続けた洋画家で、今回は「民家の向井」とも呼ばれた画家の油彩作品と、文藝春秋の挿絵にも使用されたペン画複数点が出品される。「若かりし頃にはフランスのルーブル美術館を日参し、自らの制作の糧とした向井潤吉。フランス絵画にある風景を捉える表現が活かされた民家の姿の数々は、私たちに心のふるさとを感じさせ」るとしている。

今回のハイライト作品は円山應挙(1733-1795)画・芝山持豊(1742-1815)賛「竹雀画賛」(紙本、着色、円山應震=1790-1838=鑑定書、最低入札価格は150万円)、伊藤若冲「鶏図」(紙本、水墨、同120万円)、横山大観(1868-1958)「芦に魚」(紙本、水墨、共箱、横山大観記念館登録い第17号、同100万円)、下村観山(1873-1930)「枯木鳥」(絹本、着色、共箱、下村観山遺族会鑑定証、同80万円)。

田中一村(1908-1977)「花中富貴」(紙本、着色、同70万円)、藤田嗣治(1886-1968)「若い女性の肖像」(紙本、鉛筆、水彩額装、東美鑑定証書、同180万円)、児島善三郎(1893-1962)「アネモネ」(キャンバス10号、油彩、額装、児島俊郎鑑定書、同180万円)。渋沢栄一(1840-1931)の筆跡「危楼…」(絹本、同38万円)、河井寛次郎「櫛目碗」(共箱、同24万円)、棟方志功「鯉の図」(8号色紙、紙本、着色、額装、棟方志功鑑定委員会鑑定登録証、同250万円)。

14日18時が入札締切。加島美術にて入札結果を取りまとめ、16日の開札日に落札金額をウエブサイトで公開する。下見会は入場無料。