銀座ニコンで小林紀晴「諏訪の祭と人」展

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【銀座新聞ニュース=2013年2月15日】ニコン(千代田区丸の内3-2-3、富士ビル、03-3214-5311)が運営する銀座ニコンサロン(中央区銀座7-10-1、03-5537-1434)は2月13日から26日まで小林紀晴さんによる個展「ケモノミチ(kemonomichi)」を開いている。

銀座ニコンサロンで2月26日まで開催中の小林紀晴さんの個展「ケモノミチ(kemonomichi)」に展示される作品。

写真家の小林紀晴(こばやし・きせい)さんが故郷の長野県諏訪地方にある諏訪大社で平安時代(794年から1192年)前から続いている「御柱祭(おんばしらさい)」や春の神事「御頭祭(おんとうさい)」などの風景や祭りに参加する人々を撮影した作品、カラー約30点とモノクロ約20点を展示する。

「御柱祭」は7年(数えで7年、満で6年)に1度行われる諏訪大社の最大の行事で、「山出し」と「里曳き」に分かれ、それぞれ4月と5月に、下社(岡谷市、上諏訪地区、諏訪郡下諏訪町)は上社(茅野市、諏訪市、諏訪郡富士見町、原村)の1週後に行われる。氏子を御柱に乗せたまま、傾斜約30度、距離80メートルの木落し坂から落とすのがもっとも危険な行事だ。

小林紀晴さんは「父も祖父も乗った。幼い頃から、その姿を7年ごとに目にした。柱に乗った誰もが、何かが憑(つ)いたような、形相(ぎょうそう)をしていた。心底、恐ろしかった」という体験をした。

「巨大な獣と化した柱が一旦滑り出したら、もう誰にも止められない。男たちの身体を見つめることしかできない。ときに柱は荒ぶれ、人をふり落とし、血が流れることもある。生けにえのごとく、神が望むことなのだろうか。あとには御柱の軌跡がくっきりと残る。それは猪だけがゆく道、ウジによく似ていた」という。

一方、諏訪大社の上社の神事、「御頭祭」(別名「ミシャグチ祭」)では古くから、75頭の鹿の首が生けにえとして捧げられる(現在は鹿の首のはく製)。小林紀晴さんが初めて目にしたとき、御柱祭のことを思い出さずにはいられなかったとしている。

小林紀晴さんによると、出雲から諏訪に神がやって来る以前、「ミシャグチ」という土着の神が存在していた。「出雲からの神、ミチャグチ、縄文。この3つが諏訪湖と、屏風のように立ちはだかる八ヶ岳のあいだで、いまもうごめいている」と感じている。「何かをきっかけに、日常を乗り越え、忽然と姿を現し、ひとつになる。その瞬間を待つ。やがて、目の前に、容易には見えなかった一筋の道があらわれる」。小林紀晴さんはその奥へ、深く分け入ってみるという。そうして撮影された作品が今回、展示される。

小林紀晴さんは1968年長野県生まれ、東京工芸大学短期大学部写真技術科を卒業、日刊工業新聞社にカメラマンとして勤務し、1991年にフリーになり、23歳でアジアを旅し、1995年に日本人の人間模様を作品と写真で記録し、海外に定住する日本人を描いた「アジアン・ジャパニーズ」でデビューし、1997年に日本写真協会新人賞を受賞し、2000年12月から2002年1月までニューヨークに滞在し、現在、雑誌、広告などで活動している。

開場時間は10時30分から18時30分(最終日は15時)。入場は無料。