【銀座新聞ニュース=2012年1月10日】中央区は1月24日14時から中央区役所(中央区築地1-1-1、03-3543-0211)8階大会議室で、吉崎達彦さんによる「新春経済講演会」を開催する。
総合商社系の双日総合研究所(港区赤坂6-1-20、国際新赤坂ビル西館)の取締役副所長で主任エコノミストの吉崎達彦(よしざき・たつひこ)さんが「2012年日本経済展望」と題して、2012年の日本経済に見通しについて語る。
吉崎達彦さんは1月5日付け産経新聞の「正論」欄にコラムを掲載し、その中で、日本貿易会が年末に公表した「貿易動向見通し」を取り上げている。この見通しは吉崎達彦さんが座長としてまとめたものだ。
「正論」によると、2011年度の貿易収支は震災の打撃、円高、輸出の落ち込み、原発の代わりに火力発電用の燃料の輸入などが増えて3年ぶりに赤字となるが、2012年度は復興による供給力回復、輸出増、資源価格が下がり、輸入が減少し、貿易収支が3兆円程度の黒字を見通している。
2012年度の輸出は69兆円程度で、ピークだった2007年度の85兆円には及ばないものの、2005年度の68兆円に近く、当時の1ドル=110円、原油価格1バレルが50ドル程度に対し、現在は1ドル=70円台後半、1バレルが100ドル前後、リーマンショックと東日本大震災というダブルパンチを受け、「悪条件の下で、以前と変わらない数字をはじき出している。驚嘆すべき環境適応能力ではあるまいか」としている。
また、2012年度の経常黒字も2011年度の12兆円台に対し、16兆円強と2010年度実績とほぼ同水準に戻り、GDP(国内総生産)比3パーセント程度の黒字が維持されるのであれば、「国債を国内で消化できなくなる」という「恐怖のシナリオはある程度先のことと考えていいだろう。財政再建にはまだ時間が残されていると受け止めていいだろう」と書いている。
さらに、原発事故の風評被害により、日本の食料品輸出の落ち込みは1割程度で、食料品輸出のうち、4割程度は魚介類が占め、「被災地のフカヒレなど高級食材が打撃を受けたことを勘案すれば、放射線問題による影響は意外と軽微」と分析している。
食料輸出の2010年度実績は4070億円、輸入は5兆3070億円なので、輸出が10分の1にとどまっている。しかし、輸入には畜産用の飼料やたばこ、酒類やコーヒーなどのし好品や魚介類が含まれており、これらをすべて除外して、肉類、穀物、果実、野菜、酪農品などの純粋な農産物のみに限定すると輸入額は3兆円以下になる。
年間の国内農業生産額が8.5兆円なので、農水省が公表している「カロリーベースで日本の食料自給率は4割」も、金額ベースにすると、国産品と輸入品の比率は3対1程度と指摘し、最後に「楽観は意志、悲観は気分」という言葉を紹介し、「数字は嘘をつかないが、嘘には数字が付き物」で締めくくっている。
ウイキペディアなどによると、吉崎達彦さんは1960年富山県富山市生まれ、1984年に一橋大学社会学部を卒業、日商岩井(現双日)に入社、調査・環境部、ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役、日商岩井総合研究所調査グループ主任エコノミストなどを経て2002年から双日総合研究所のエコノミストを務めている。
参加は自由で、定員は100人。当日、直接会場に来ると入場できる。料金は無料。問い合わせは中央区商工観光団体合同事務局(03-3546-5640)まで。