中央の百貨店4月、5店共2桁増、訪日外国人過去最高も国内客低調

(終わりの方に参考として3月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年5月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の4月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは29カ月連続となっている。

4月の売上高が31.6%増と3月に続いて銀座地区の首位を維持した松屋銀座店。

4月は休日が前年4月に比べて1日減というマイナス影響があったものの、訪日外国人観光客売上高(免税売上、インバウンド)が「前年の3倍」(J.フロントリテーリング)になるなど、三越伊勢丹ホールディングス、高島屋、J.フロントリテーリングが「単月としては過去最高を更新」したこともあり、5店舗とも10%以上の伸びを示した。一方で、大丸松坂屋百貨店合計で訪日外国人観光客売上高を除く国内顧客の売上高はマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比10.8%増(3月速報値16.8%増、確定値9.0%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、3月の商品別では、子ども服・洋品、家庭用品計、その他がマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは32カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同29.1%増(同速報値25.8%増、確定値25.8%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、3月の商品別ではその他雑貨、サービス、その他がマイナス、ほかはプラス)と31カ月続けてプラスとなった。

4月は伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引し、前年比は三越伊勢丹計で15.2%増、国内百貨店計で11.3%増であった。また、伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越の3店舗共に10カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している。

商品別では、3月までと同様に、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの衣料品、ハンドバッグ、宝飾、化粧品などが引き続き好調だった。また、後半の気温上昇に伴い、例年と比較して夏物アイテムへの関心が高く見られ、各店で実施したイベントも集客につながった。

訪日外国人観光客売上高は、国内百貨店計(既存店)で単月最高売上高だった2023年12月を大きく更新した。全体購買傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、宝飾・時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同15.2%増(同速報値23.5%増、確定値23.6%増)と31カ月続けてプラスとなった(3月の高島屋の商品別売り上げは家電、その他家庭用品、食堂・喫茶、美術・宝飾品、貴金属のその他、サービス、その他がマイナス)。

4月の店頭売上高は、国内顧客では、気温の上昇に伴いブラウス、カットソーや日傘、帽子などが堅調に推移した。また、GWに向け、スーツケースなどの旅行用品にも動きが見られた。一方で、訪日外国人観光客売上高は、ラグジュアリーブランドを中心とする高額品が押し上げ、単月としては2カ月連続で過去最高を更新した。

4月の店頭売上高は国内百貨店計で同16.3%増(3月速報値20.2%増、確定値20.0%増)、2019年4月比17.6%増、2018年4月比16.5%増、訪日外国人観光客売上高は同209.0%増、2019年4月比107.1%増、2018年4月比112.8%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同2.5%増、2019年4月比7.5%増、2019年4月比6.1%増だった。

商品別売上高(14店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、スポ-ツ、リビング、美術、食料品、サービスが前年実績を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同12.5%増(同速報値8.7%増、確定値8.9%増)と31カ月続けてプラスとなった(3月の全店の商品別売り上げは紳士服・洋品、子ども服・洋品、その他衣料品、その他雑貨、家具、家電、家庭用品計、その他食料品、その他がマイナス)。

4月は、休日が前年4月に比べて1日減であったことによるマイナス影響があったものの、訪日外国人観光客売上高が前年の3倍になるなど好調に推移し、ラグジュアリーブランド、化粧品もきく売り上げを伸ばしたことなどから、大丸松坂屋百貨店合計では対前年比13.5%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計では同13.1%増となった。店舗別では、15店舗中11店舗が前年実績を上回った

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は、対前年比212.6%増(客数同138.5%増、客単価同31.1%増)となり、月度での最高売り上げ記録を更新した。2019年4月比は57.9%増、2018年4月比では91.8%増だった。

また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店、法人・本社などを除く)の売上高は12.7%増、うち訪日外国人観光客売上高を除く既存店は同1.0%減だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同31.6%増(同速報値28.6%増、確定値28.6%増、3月の商品別では呉服寝具他、食料品がマイナス)と31カ月続けてプラスとなった。

4月の銀座店は、化粧品が前年比約49%増、ラグジュアリーブランドが同約59%増、時計が同38%、宝飾が同112%増になるなど、銀座店の強みとなるカテゴリーを軸に大幅に伸ばした。訪日外国人観光客売上高は円安などの要因もあり、前年比約140%増となるなど力強く牽引した(訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占める割合は、5割を超えた)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内71社177店舗(総従業員5万270人、2月対比0店、従業員は昨年3月比4.6%減)の3月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比9.9%増の5109億3360万円と、25カ月続けてプラスとなり、回復基調は継続している。

3月は訪日外国人観光客売上高(インバウンド)と高付加価値商材が引き続き活況だった他、各社が企画した外商催事や会員向施策、物産展なども集客と売り上げに寄与した。月前半、気温が低く推移したことなどから春物商材の動きは鈍かったものの、卒入学などのオケージョン関連は堅調だった。コロナ前の2019年3月比でも2.4%増と、プラス基調は継続している。入店客数も5.0%増と25カ月連続プラスだった。

顧客別では、円安基調の中で訪日旅行の最需要期である花見シーズンを迎えたことから、訪日外国人観光客売上高が148.4%増(24カ月連続、シェア9.7%)の495億円と、2014年10月の調査開始以来、最高額(2023年12月の477億円)を更新した。2019年3月比でも49.3%増と9カ月連続でコロナ前の実績を上回っている。購買客数も、3月として過去最高(2019年3月45.2万人)の45.4万人となった。一方、国内市場は前年比3.7%増(25カ月連続、シェア90.3%)であったが、2019年3月比では1.0%減となった。

地区別では、訪日外国人観光客需要と増勢が続く高額消費などから、都市(10都市、30カ月連続、12.9%増)が9地区で前年実績をクリアし、この内、大阪(21.8%増)、福岡(20.3%増)をはじめ、5地区ではふた桁増となった。徐々に訪日外国人観光客需要が浸透している地方(10都市以外の7地区、0.8%増)も6地区で前年をクリアし、3カ月連続のプラスとなった。

商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のすべてで前年をクリアし、特に国内外共に好調だった身のまわり品と雑貨は前年比2割を超える伸びを示した。ラグジュアリーブランドのバッグや時計、宝飾品、化粧品の動きが良く、一部商品では価格改定前の駆け込み需要も見られた。主力の衣料品は天候与件から春物衣料が苦戦したが、セレモニー関連には動きが見られた。食料品は、ホワイトデーなどから引き続き菓子が好調で、物産展など催事も盛況だった。

全国の百貨店の3月の営業日数は前年と同じ31.0日、101店舗の回答によると、入店客は63店が増え、13店が減ったとし、68店舗の回答によると3月の歳時記(ホワイトデー、卒入学、新生活)の売り上げについては14店が増え、2店が減ったとしている。

東京地区(12社22店)の3月の売上高は前年同月比10.9%増の1530億9876万円と、31カ月続けてプラスとなった。

国内87店舗の訪日外国人観光客による3月の売上高は同148.4%増の約495億4000万円と24カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが9.7%としている。

このうち、一般物品売上高は同144.0%増の約427億3000万円と36カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が179.4%増の約68億1000万円と20カ月続けてプラス、購買客数が同132.7%増の約45万4000人と23カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同6.7%増の約10万8000円で、2カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服が上位に入った。

免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシアとなっている。