ギャルリー志門で今堀邦子展、多視点・多集点の抽象画

【銀座新聞ニュース=2024年5月6日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル、03-3541-2511)は5月6日から11日まで今堀邦子さんによる個展を開いている。

ギャルリー志門で5月6日から11日まで開かれている今堀邦子さんの個展のフライヤー。多視点・多集点なので、時には作品が動いているかのように見える。

40代から50代にかけて、イタリアを中心に長くヨーロッパに滞在し、そこで「多視点・多集点絵画」に出会い、この技法で油画の大作やドローイングの作品を描き続けている今堀(いまほり)邦子さんが、頭の中で構成した抽象画を展示する。

今堀邦子さんが「多視点絵画」ということに興味を持った最初は、ルネサンス期のイタリアの彫刻家、画家、建築家、詩人のミケランジェロ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni、1475-1564)の壁画だった。ジガンテ(巨大法)と言われる彫刻家のミケランジェロならではの多視点の絵画が心を揺さぶったという。

ミケランジェロ、スペイン出身で、フランスで制作活動をした画家、素描家、彫刻家のパブロ・ピカソ(Pablo Picasso、1881-1973)、アメリカの画家、ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock、1912-1956)、アメリカの画家、マーク・ロスコ(Mark Rothko、1903-1970)らには何かの共通点があるような気がしていたが、今では、今堀邦子さんは彼らに「多視点」という共通項を見ている。

今堀邦子さんは「イメージを平面に表すことの弱さを、『重層にすること』や『3D化すること』で解消することが出来るかもしれないと考えたのは、どうも私だけではなかったのだろうと思う。もともと、原始的な絵画から、ずっと続く『多視点絵画』だから、目新しいことでもないのだろうが、表現されたものは、それぞれ全く違っている」としている。

さらに「『遠近法』だけでも『抽象化(平面化)すること』だけでも表現できないものがあることは、沢山の人が感じていることなのだろうと思う。テイト・ギャラリーのマーク・ロスコの部屋での『彼の頭の中に引き込まれるような感覚』も視点の多層化によってできているのだろうと考えている」と受け止めている。

今堀邦子さんは1949年静岡県浜松市生まれ、1972年に東京藝術大学油画科を卒業(小磯良平=1903-1988=教室)、1974年に同大学大学院油画専攻を修了(田口安男=1930年生まれ=教室)、2003年に「さかいでArt」でグランプリと佳作賞、40代から50代にかけてイタリアを中心にヨーロッパに滞在し、そこで「多視点・多集点」絵画に出会い、この技法で油画の大作やドローイングの作品を描き続けている。無所属。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、入場は無料。