フィルメックスと松竹連動で木下恵介生誕100年、東劇で24本(3)

(「東京フィルメックス」について3では木下恵介生誕100年祭について書き、全文を出した後に、写真をクリックすると、説明が出ます)
【銀座新聞ニュース=2012年11月21日】NPO(特定非営利活動)法人の東京フィルメックス実行委員会(事務局・港区赤坂5-4-14、トレード赤坂ビル3階、03-3560-6393)は11月23日から12月2日の10日間、有楽町朝日ホール(千代田区有楽町2-5-1、有楽町マリオン11階、03-3284-0131)など3カ所で、国内外の映画を上映する「第13回東京フィルメックス」を開催する。

映画 木下恵介 楢山節考

「第13回東京フィルメックス」と連動して東劇で12月7日まで開催される「木下恵介生誕100年祭」で上映される「楢山節考」。

「東京フィルメックス」は2000年から毎年、東京で行われている国際映画祭で、アジアの新進監督による作品を対象とする「東京フィルメックス・コンペティション」(10作品)では最優秀作品に賞金70万円を授与している。

また、世界の最新映画を紹介する「特別招待部門」(14作)、日本とイスラエルの外交樹立60周年を記念した特集上映「イスラエル映画傑作選」(4作)と特集上映「木下恵介生誕100年祭」(フィルメックスで19作、松竹が24作)などがあり、このほか映画監督、プロデューサー、出演者などによるイベントが予定されている。

木下恵介(きのした・けいすけ、1912-1998)は2012年12月5日に生誕100年を迎えることから、これを記念して、松竹が11月23日から12月7日まで東劇を会場に特集上映する。木下恵介監督作品49本のうち、24本を上映し、そのうち第13回東京フィルメックスで11月23日から12月2日まで上映する19本については英語字幕付きで上映する。

東京フィルメックスでは、「国際的に再評価が高まる機運を踏まえ、日本においてさえまだ余り知られていないながらも、多様性に富んだ傑作5本を選んで英語字幕付きのニュープリントを作成」し、広く世界に向けて紹介する。

ウイキペディアなどによると、木下恵介は1912年12月5日静岡県浜松市生まれ、浜松工業学校(現浜松工業高校)紡績科を卒業、1933年に松竹蒲田撮影所に撮影助手として入所、1936年に松竹大船撮影所へ異動、1940年に徴兵され、1941年に戦傷のため帰国し、1943年に「花咲く港」で監督デビュー、「山中貞雄(やまなか・さだお、1909-1938)賞」を受賞した。戦後第1作となる「大曽根家の朝」(1946年)でキネマ旬報ベスト1に選ばれ、1951年に「カルメン故郷に帰る」で日本初の総天然色(カラー)映画を手がけた。

1954年に「二十四の瞳」でアメリカ・ゴールデングローブ賞外国語映画賞などを受賞し、同年のキネマ旬報ベストテンで1位、1954年の「女の園」が2位に選ばれ、1964年に松竹を退社し、「木下恵介プロダクション」(現ドリマックス・テレビジョン)を設立し、テレビ界に進出してテレビドラマも制作した。1969年に黒沢明(くろさわ・あきら、1910-1998)、市川昆(いちかわ・こん、1915-2008)、小林正樹(こばやし・まさき、1916-1996)と「四騎の会」を設立したが、4人の共同監督は実現しなかった。

1976年に「スリランカの愛と別れ」で再び映画監督に、1979年に松竹に復帰、映画、テレビドラマの監督のほか、脚本も手がけている。1977年に紫綬褒章、1984年にに勲四等旭日小綬章、1991年に文化功労者に選ばれている。1988年の「父」が遺作となり、1998年12月30日に脳梗塞のため東京都港区の自宅で死去、86歳だった。死後、その功績に対しエランドール特別賞が贈られた。5月のカンヌ国際映画祭クラシック部門では「楢山節考」、8月末のベネチア国際映画祭クラシック部門では「カルメン故郷に帰る」のデジタルリマスター版が上映された。

今回、上映されるのは「歓呼の町」(ニュープリント、1944年、上原謙=うえはら・けん、1909-1991=、水戸光子=みと・みつこ、1919-1981=、73分)、「陸軍」(1944年、田中絹代=たなか・きぬよ、1909-1977=、笠智衆=りゅう・ちしゅう、1904-1993=、87分)、「女」(ニュープリント、1948年、水戸光子、小沢栄太郎=おざわ・えいたろう、1909-1988=、67分)、「肖像」(1948年、井川邦子=いがわ・くにこ、1923ー2011?=、三宅邦子=みやけ・くにこ、1916-1992=、73分)、「お嬢さん乾杯」(1949年、佐野周二=さの・しゅうじ、1912-1978=、原節子=はら・せつこ=さん、89分)。

「婚約指環(エンゲージリング)」(ニュープリント、1950年、田中絹代、三船敏郎=みふね・としろう、1920-1997=、96分)、「カルメン故郷に帰る」(1951年、高峰秀子=たかみね・ひでこ、1924-2010=、小林トシ子=こばやし・としこ=さん、86分)、「カルメン純情す」(1952年、高峰秀子、若原雅夫=わかはら・まさお=さん、103分)、「日本の悲劇」(1953年、望月優子=もちづき・ゆうこ、1917-1977=、桂木洋子=かつらぎ・ようこ、1930-2007=、116分)、「二十四の瞳」(1954年、高峰秀子、月丘夢路=つきおか・ゆめじ=さん、156分)。

「野菊の如き君なりき」(1955年、田中晋二=たなか・しんじ=さん、有田紀子=ありた・のりこ=さん、92分)、「夕やけ雲」(ニュープリント、1956年、田中晋二、望月優子、78分)、「楢山節考」(デジタルリマスター、1958年、田中絹代、高橋貞二=たかはし・ていじ、1926-1959=、98分)、「風花」(1959年、岸恵子=きし・けいこ=さん、久我美子=くが・よしこ=さん、78分)、「今日もまたかくてありなん」(1959年、高橋貞二、久我美子さん、74分)。

「笛吹川」(1960年、高峰秀子、田村高広=たむら・たかひろ、1928-2006=、117分)、「永遠の人」(1961年、高峰秀子、佐田啓二=さだ・けいじ、1926-1964=、107分)、「死闘の伝説」(ニュープリント、1963年、岩下志麻=いわした・しま=さん、加賀まり子=かが・まりこ=さん、83分)、「香華 前編/後編」(1964年、岡田茉莉子=おかだ・まりこ=さん、加藤剛=かとう・ごう=さん、204分)。

「破れ太鼓」(1949年、阪東妻三郎=ばんどう・つまさぶろう、1901-1953=、森雅之=もり・まさゆき、1911-1973=、109分)、「女の園」(1954年、高峰秀子、岸恵子さん、141分)、「遠い雲」(1955年、高峰秀子、佐田啓二、99分)、「太陽とバラ」(1956年、中村嘉津雄=なかむら・かつお=さん、石浜朗=いしはま・あきら=さん、85分)、「喜びも悲しみも幾歳月」(1957年、高峰秀子、佐田啓二、160分)。

上映日程とイベントは以下の通り。
11月23日11時から「楢山節考」で、上映終了後に映画監督の吉田喜重(よしだ・よししげ)さん、松竹会長の大谷信義(おおたに・のぶよし)さんが、映画監督の阿部勉(あべ・つとむ)さんの司会でトークショーを開く。14時から「笛吹川」、16時30分から「夕やけ雲」を上映する。

11月24日11時から「永遠の人」で、上映終了後に俳優の仲代達矢(なかだい・たつや)さんと映画監督の本木克英(もとき・かつひで)さんがトークショーを開く。14時から「日本の悲劇」、16時30分から「歓呼の町」、18時30分から「婚約指環」を上映する。

11月25日11時から「死闘の伝説」で、上映終了後に映画監督の崔洋一(さい・よういち)さんと東京フィルメックスプログラムディレクターの市山尚三(いちやま・しょうぞう)さんがトークショーを開く。13時30分から「陸軍」、15時30分から「女」、17時10分から「香華 前編/後編」を上映する。

11月26日11時から「お嬢さん乾杯」、13時30分から「楢山節考」、15時30分から「肖像」、17時10分から「夕やけ雲」、19時から「笛吹川」を上映する。

11月27日11時から「笛吹川」、13時30分から「死闘の伝説」、15時30分から「風花」、17時から「女」、19時から「永遠の人」を上映する。

11月28日11時から「日本の悲劇」、13時30分から「お嬢さん乾杯」、15時30分から「今日もまたかくてありなん」、17時10分から「歓呼の町」、19時から「死闘の伝説」を上映する。

11月29日11時から「婚約指環」、13時から「今日もまたかくてありなん」、14時50分から「野菊の如き君なりき」、17時から「陸軍」、19時から「楢山節考」を上映する。

11月30日11時から「香華 前編/後編」、15時から「風花」、16時40分から「肖像」、18時20分から「夕やけ雲」、20時から「女」を上映する。

12月1日11時から「木下恵介生誕100年祭シンポジウム第1部」と14時から「木下恵介生誕100年祭シンポジウム第2部」を開く。第1部では「今、甦る木下恵介-日本から見たキノシタ、世界から見たキノシタ」と題し、「カルメン故郷に帰る」を上映後、シンポジウムを開く。17時から「永遠の人」、19時10分から「日本の悲劇」を上映する。

シンポジウムには脚本家の山田太一(やまだ・たいち)さん、映画監督の橋口亮輔(はしぐち・りょうすけ)さん、ベルリン国際映画祭フォーラム部門創設者のウルリッヒ・グレゴール(Ulrich Grego)さんが出席し、司会は小説家の長部日出雄(はせべ・ひでお)さんが務める。

第2部では「しなやかな挑戦者-時代とともに映像の可能性に挑戦し続けた信念の人」と題してシンポジウムを開き、その後、「楢山節考」を上映する。シンポジウムには山田太一さん、映像ディレクターの大根仁(おおね・ひとし)さん、早稲田大学文学学術院教授の長谷正人(はせ・まさと)さんが出席し、長部日出雄さんが司会を務める。

12月2日11時から「二十四の瞳」を上映し、「二十四の瞳」作文コンクール授賞式を開く。山田太一さん、小豆島町長の塩田幸雄(しおた・ゆきお)さん、原作者の壺井栄(つぼい・さかえ、1899-1967)の孫、加藤公市(かとう・こういち)さんが出席する。14時30分から「カルメン故郷に帰る」、16時30分から「カルメン純情す」、18時30分から「野菊の如き君なりき」を上映する。

12月3日11時から「喜びも悲しみも幾歳月」、14時から「遠い雲」、16時から「野菊の如き君なりき」、18時から「女の園」を上映する。

12月4日11時から「女の園」、14時から「喜びも悲しみも幾歳月」、17時から「カルメン故郷に帰る」、19時から「カルメン純情す」を上映する。

12月5日11時から「陸軍」、14時から「楢山節考」、16時から「お嬢さん乾杯」、18時から「破れ太鼓」を上映する。

12月6日11時から「太陽とバラ」、13時30分から「破れ太鼓」、16時から「遠い雲」、18時から「永遠の人」を上映する。

12月7日11時から「二十四の瞳」、14時から「夕やけ雲」、16時から「太陽とバラ」、18時から「カルメン故郷に帰る」を上映する。

料金は基本が前売り1300円、当日が一般1700円、学生、サポーター会員が1300円。東劇が前売り1200円、当日一般1300円、学生などが1000円。東劇東劇のシンポジウムが前売り、当日とも1800円。有楽町朝日ホールが平日昼間3回券を3300円で販売している。