丸善丸の内で絵や陶磁器等の「金魚市」、石原恵子、深堀隆介ら

【銀座新聞ニュース=2011年7月14日】丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は7月15日から7月25日まで4階洋書ミュージアムゾーンで「丸の内きんぎょ市」を開催する。

木彩作家の佐藤忠雄(さとう・ただお)さん、金魚養画場の美術作家の深堀隆介(ふかほり・りゅうすけ)さん、陶磁器の絵付け師の石原恵子(いしはら・けいこ)さん、アクアプロダクツの守亜和由紀(もりあ・かずゆき)さん、きんぎょイラストレーターの金沢一興(かなざわ・いっこう)さん、友禅染の福原勝一(ふくはら・かついち)さんらが夏の風物詩「きんぎょ」の作品を展示販売する。

ウイキペディアによると、「金魚」はフナの突然変異である「ヒブナ」を観賞用に飼育、交配を重ねていった結果、生まれた観賞魚で、100種類以上もの品種があり、通常30センチ程度まで成長し、寿命は10年から15年とされている。日本では愛知県弥富市、奈良県大和郡山市、江戸川下流域が3大養殖地として知られている。

金魚は中国の長江下流域の浙江省近辺が発祥の地とされ、南北朝時代(439年から589年)にはすでに飼育されており、宋代(960年から1279年)に入ってから養殖が盛んになり、明代(1368年から164年)には品種も増えた。

中国では、主に皇帝、皇族、貴族、士大夫らによって飼育、愛玩されてきたため、1960年代後半から1970年代前半の文化大革命において「旧文化」として非難、攻撃の対象とされ、浙江省の養魚場も破壊されるなど生産、流通、飼育とも壊滅状態に陥った。

1978年に日中平和友好条約が調印され、民間の日中交流が拡大すると、日本の金魚生産者が浙江省などに出向いて技術移転を行い、復興に協力し、中国でも大量生産されるようになり、1978年の改革開放政策後は庶民にまで流通するようになり、現在では中国伝統の特産物のひとつとされ、日本や欧米への輸出品として、生産者は政府の支援を受けている。

中国において「金魚」の発音は、「金余(きんよ)」と現地の言葉の発音がひじょうに似ているため、縁起のいいものとされている。

日本では鎌倉時代(1185年から1333年)にその存在が知られたものの、実際に金魚が伝来したのは室町時代(1336年から1573年)だった。しかし、当時はまだ飼育方法や養殖技術などが伝わらず、定着せず、江戸時代(1603年から1868年)に大々的に養殖がはじまり、江戸中期になると、メダカとともに庶民の愛玩物として広まり、金魚売りや金魚すくいなども一般的になった。

1748年に安達喜之(あだち・きし、よしゆき、生没年不詳)が金魚の飼育書「金魚養玩草(きんぎょそだてぐさ)」を刊行したのがきっかけで、飼育熱を生んだといわれている。化政文化期(1804年から1829年)には現在の3大養殖地で大量生産と流通体制が確立し、金魚の価格も下がり、金魚飼育が庶民に普及した。幕末には金魚飼育ブームが起こり、開国後日本にやってきた外国人の手記には、庶民の長屋の軒先に置かれた水槽で金魚が飼育されているといった話や金魚の絵などが多く見られる。

明治維新後は犬や猫とともに家庭において愛玩用に飼育され、学校の池などでの飼育も始まり、戦時中は「金魚を飼っている家には爆弾が落ちない」という流言が東京中に拡がり、人々は争って金魚を求めた。しかし、生きた金魚の入手は不可能で、陶器で作られた金魚のおもちゃが飛ぶように売れたという。

佐藤忠雄さんは1959年長野県生まれ、1980年からグラフィックアートの制作をはじめ、自然、動物、鳥などのモチーフを中心にした作品も制作する。1995年にアートなどの制作会社「有限会社ブラスト」を設立、2006年からフリーで活動、「アート工房ブラスト」(中央区築地6-8-10、スカール築地203、03-3546-1227)を主宰している。

深堀隆介さんは1973年愛知県生まれ、1995年に愛知県立芸術大学美術学部デザイン専攻学科を卒業、会社勤務、1999年に退職後、制作活動をはじめ、2000年に金魚に魅了され、2002年に器の中に樹脂を流し込み、その上に直接、金魚を描くという技法で作品を発表、2005年から国内外で個展を開いている。

石原恵子さんは染織を専攻していた学生時代から自然を題材にした作品を制作、1995年より「ひとつの素材から」をテーマに「描く、染める、織る」の創作活動をはじめ、上絵付けも開始、2007年より輪島塗工房でデザイン、加飾に参加している。陶磁器製造1級技能士の資格を持っている。

守亜和由紀さんは1975年北海道生まれ、群馬大学教育学部美術専攻工芸研を卒業、2000年にアクアプラントとして活動をはじめ、「私的熱帯世界」をコンセプトに造形、平面問わず制作し、現在、桐生大学短期大学部非常勤講師。

営業時間は9時から21時。入場は無料。