中央の百貨店1月、大丸29カ月ぶり減で全5店が減、防寒衣料苦戦

【銀座新聞ニュース=2019年2月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の1月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋店、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店すべてがマイナスだった。全5店がマイナスになるのは、2015年3月以来のことで、3年9カ月ぶりになる。

2019年1月の売上高で29カ月ぶりに前年を下回った大丸東京店。

1月は「不安定な株式市場の心理的影響に加え、訪日外国人観光客売上高が客数、単価とも前年を下回った」(高島屋)や「中国の経済減速に加え、円高元安や電子商務法の施行なども重なり」(三越伊勢丹ホールディングス)、マイナスになったとしている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比4.9%減(12月速報値4.7%減、確定値8.3%減の172億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは3カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同2.0%減(同速報値0.2%減、確定値0.2%減の96億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と2カ月続けてマイナスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、関心の高いラグジュアリーブランドのハンドバッグなどは堅調に推移するものの、防寒衣料を中心とした冬物アイテムがセールでも伸び悩んだ、としている。基幹3店では婦人、紳士ともにジャケットやパンツ、ブラウスなど春物アイテムに一部動きが見られた、という。訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)は地域店では概ね堅調だったが、中国の経済減速、円高元安、電子商務法の施行なども重なり、首都圏三越伊勢丹の既存店は低調だったとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同4.8%減(同速報値2.2%減、確定値2.4%減)と3カ月続けて前年を下回った。高額品の売り上げは堅調に推移したものの、不安定な株式市場の心理的影響、訪日外国人観光客売上高が客数、単価とも前年を下回ったことなどにより、高島屋全体で前年比マイナスとなった。訪日外国人観光客売上高は前年比15.1%減だった。

日本橋店は昨年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管したため、百貨店としての売場面積が縮小している。17店舗ベースの商品別では、特選衣料雑貨、宝飾品、食品などが前年比プラスとなった一方で、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、子供ホビー、リビングなどはマイナスとしている。

また、高島屋は登記上の本社(大阪府大阪市中央区難波5-1-5)がそのままだが、本社部門の事務所と一部のグループ会社の本社などを高島屋グループ本社ビル(中央区日本橋2-12-10、03-3211-4111)に移転する。

業務開始日は2月11日が高島屋の本社部門(秘書室除く)、12日が高島屋スペースクリエイツ株式会社営業本部、総務本部、株式会社グッドリブ、18日が高島屋の法人事業部、クロスメディア事業部、高島屋スペースクリエイツ株式会社デザイン本部、株式会社タップ東京事業所、株式会社高島屋ファシリティーズ。

19日が高島屋友の会、25日が高島屋本社部門秘書室、高島屋クレジット株式会社、株式会社センチュリーアンドカンパニー、株式会社エー・ティ・エー、高島屋保険株式会社、株式会社アール・ティー・コーポレーションとなっている。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同1.3%減(同速報値3.6%増、確定3.5%増)と29カ月ぶりに前年を下回った。

百貨店事業は、美術、宝石などの高額品や化粧品が堅調に動く中、中旬以降はほぼ前年ペースで推移し、下旬には訪日外国人観光客売上高が対前年プラス基調を回復したものの、クリアランスセールの苦戦や月半ばまでの訪日外国人観光客売上高の減少などが影響し、大丸松坂屋百貨店合計では同2.1%減だった。大丸松坂屋百貨店の訪日外国人観光客売上高は同1%減(客数7%増、客単価7%減)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、12月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同12.5%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同1.2%減(同速報値2.4%増、確定値2.4%増)と6カ月ぶりに前年を下回った。

銀座店は国内外のお客の旺盛な購買により、化粧品が引き続き堅調に推移するも、コートなど防寒衣料品の中でもとくに婦人衣料品が苦戦した。クリアランスセールは前年の9割程度、春物商材を軸とした商品は前年並で推移したものの、ミセスからシニア層を対象とした婦人服フロアのリニューアル工事の影響もあり、衣料品全体の売上高は前年を下回った。

訪日外国人観光客売上高については、化粧品を軸とした消耗品は好調(同10%増)を維持するも、ラグジュアリーブランドを中心とした一般品の売上高が前年を下回ったことにより、全体の売上高は前年に届かなかった。このため、店全体の売上高もわずかに前年を下回ったとしている。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内79社219店舗(総従業員6万301人)の12月売上高(店舗調整後)は前年同月比0.7%減の6805億1266万円で、2カ月続けてのマイナスとなった。

これにより、2018年は年間で前年比0.8%減の5兆8870億0259万円と2年ぶりにマイナスだった。ただ、訪日外国人観光客需要は売上高が同25.8%増の3396億6000万円、購買客数も同28.6%増の524万人といずれも過去最高を記録した。2018年の東京地区の百貨店は同0.6%増の1兆6191億3514万円で、2年連続のプラスだった。

12月は暖かい空気に覆われる日が多く、東・西日本は気温が高かったが、気圧の谷の影響を受けやすく、北日本日本海側と東日本太平洋側、西日本は日照時間がかなり少なかったとしている。土・日曜日と祝日は前年12月よりも土曜日が1日多かった。

顧客別では、国内市場(シェア95.6%、同0.7%減)はマイナスだったが、訪日外国人観光客需要は302億円(シェア4.4%、同8.4%増)と25カ月連続でプラスで、過去2番目の売上高を記録した。

商品別では、雑貨が同2.1%増と25カ月連続プラス、国内外ともに人気の化粧品や高級腕時計を含む高額商材(美術、宝飾、貴金属)、ラグジュアリーブランドが牽引した。身のまわり品(同2.2%増)と3カ月連続のプラスとなった。衣料品(同1.6%減)は、天候が大きく響き、マイナスだった。

食料品は同1.3%減と2カ月連続でマイナスだったが、菓子類は同0.2%増と3カ月連続でプラスとなった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月と同じ31.0日、124店舗の回答によると、入店客は35店が増え、50店が減ったとし、うち88店舗の回答によると12月の歳時記の売り上げについては11店が増え、31店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の12月の売上高は同1.1%減の1813億9296万円と5カ月ぶりにマイナスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の12月の免税売上高は同8.4%増の約302億2000万円で、25カ月連続のプラス、国内の百貨店に占めるシェアが4.4%としている。

このうち、一般物品売上高は同0.9%増の約168億7000万円で、2カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同19.6%増の131億5000万円、購買客数が同10.9%増の約44.6万人と2013年2月から71カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同2.3%減の6万8000円で、6カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から11月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から11月2位)、3位に食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から11月3位)と前月と同じだった。

4位に婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から11月4位)、5位に婦人服・用品(2018年1月と2月が5位、3月4位、4月4位、5月5位、6月6位、7月から11月5位)と前月と同じだった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から11月まで1位)、2位が香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月2位)、3位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月と10月2位、11月3位)と前月と同じだった。

4位に台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から11月4位)、5位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月5位)、6位にタイ(2018年1月から10月5位、11月6位)、7位がマレーシア(2018年1月から11月まで7位)だった。