中央の百貨店12月、5店が3カ月連続増、国内客が牽引

(終わりの方に参考として11月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてあります)
【銀座新聞ニュース=2022年1月5日】中央区とその周辺の主要百貨店の2021年12月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは3カ月連続となる。とくに、日本橋三越、日本橋高島屋以外の3店舗は20%以上の伸びを示した。

11月に次いで、12月の売上高(店頭ベース)でも前年比23.1%増ともっとも高い伸びを示した大丸東京店。

12月は全国的な新型コロナウイルス感染者数の減少傾向継続で、「国内百貨店計の前年比は11月と同水準(10.5%)の伸び率」(三越伊勢丹ホールディングス)と回復傾向が目立った。また、日本人客の店頭売り上げは、国内百貨店計で2018年実績に近づいており、首都圏三越伊勢丹計では同年実績を超えている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比9.0%増(11月速報値14.5%増、確定値9.3%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、11月の商品別では家電、食料品、その他がマイナス)と店頭ベースでは4カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同21.3%増(同速報値15.4%増、確定値15.4%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、11月の商品別では紳士服・洋品、子ども服・洋品、家具インテリア、サービスがマイナス)と3カ月続けてプラスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、全国的な新型コロナウイルス感染者数の減少傾向継続で、国内百貨店計が11月と同水準の伸び率となり、また、日本人顧客の店頭売上は、引き続き国内百貨店計で2018年実績に近づいており、首都圏三越伊勢丹計では同年実績を超えた。

伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店では、ホリデーシーズンを迎えた消費意欲の向上から、時計や宝飾、ハンドバッグ、ラグジュアリーブランドといった高付加価値な商品が底固く推移した。

訪日外国人観光客売上高(免税売り上げ、インバウンド)は、首都圏三越伊勢丹計、国内百貨店計ともに前年実績を上回ったとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同0.7%増(同速報値3.0%増、確定値2.9%増)と3カ月続けてプラスとなった。

全店の店頭売上高は、外出機会の増加に加え、前年の年末にかけてコロナウイルスの感染が急拡大したことの反動から前年実績を上回った。全店の店頭売上高は同9.9%増、2019年比4.5%減、訪日外国人観光客売上高は前年比55.2%増、2019年比80.7%減、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は9.5%増、2019年比0.2%減だった。

商品別売り上げ(15店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾、子ども情報ホビー、スポーツ、リビング、食料品・食堂が前年実績を上回った。一方で、呉服、美術などが前年実績を下回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同23.1%増(同速報値23.7%増、確定値24.1%増、全店の11月は子ども服・洋品、その他衣料品、家電、生鮮食品がマイナス)と3カ月続けてプラスとなった。

12月の売上高は、外出機会の増加や前年の新型コロナウイルス感染症第3波影響の反動などにより、売上高・入店客数ともに前年実績を上回り、大丸松坂屋百貨店合計では同13.6%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計では同13.7%増となった。

商品別では、ラグジュアリーブランドや宝飾品が引き続き好調なほか、コート、スーツといった重衣料や食料品も健闘し、すべてのカテゴリーにおいて前年実績を上回った。

また、大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高は同12.0%減(客数同12.0%減、客単価同0.1%減)だった。さらに、12月の大丸松坂屋百貨店の店計売り上げ(法人・本社等の本年、過去実績を除く既存店)は前年比13.2%増、2019年比7.4%減、うち国内売上高(訪日外国人観光客売上高の本年・過去実績を除く)は前年比13.3%増、2019年比0.2%増としている。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同20.5%増(同速報値13.4%増、確定値13.4%増、11月は子ども服・洋品、呉服寝具他、家具、家庭用品がマイナス)と4カ月続けてプラスとなった。

銀座店は、入店客数も2割増になるなど、11月をさらに上回る伸びを示した。クリスマスなどのオケージョン需要が大きな要因となり、ラグジュアリーブランド(約23%増)、時計(約60%増)、宝飾(約2倍増)、化粧品(約11%増)に代表される主力のアイテムの大幅な売上増が牽引した。また、厳しい寒さも加勢し、婦人衣料品全体の売上高も3割増加するなど、月を通して各カテゴリーにおいて好調に推移した。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内73社189店舗(総従業員5万7735人)の11月の売上高(店舗調整後)は前年同月比8.1%増の4497億2371万円で、2カ月続けてプラスとなった(2019年比14.3%減)。

新型コロナ感染者数の減少傾向が続いたことで、主要顧客層の外出機会と購買意欲が高まり、各社の催事企画や外商顧客・カード会員向施策などの効果とも相まって、売り上げと集客に寄与した。高い伸びが続く高額品と気温低下で重衣料が好調な衣料品が牽引したという。2019年比では売上高7.4%減、入店客数21.9%減と、いまだコロナ前の水準には及ばないが、訪日外国人観光客需要を除外すれば着実に回復傾向を示している。

顧客別では、国内市場(2カ月続けてプラス、シェア99.2%、2019年比2.8%減)は8.0%増、訪日外国人観光客売上高(インバウンド)は24.7%増(3カ月連続、シェア0.8%)だが、2019年比では86.7%減と厳しい状況が続いている。

地区別では、大都市が10.2%増(10都市、2カ月連続、2019年比2.8%減)、地方が2.7%増(10都市以外の地区、6カ月ぶり増、2019年比7.6%減)となった。

商品別では、主要5品目すべてが前年実績を上回った。衣料品は気温低下などの天候与件から、コート、ジャケット、セーターの他、マフラーやストールなどの防寒アイテムも動き、ふた桁増となった。高級時計や宝飾品、ラグジュアリーブランドなど付加価値の高い高額品は増勢が続いている。食料品では、自家・進物需要ともに和洋菓子が伸長し、おせちやクリスマスケーキの予約は、ECを中心に昨年を上回る勢いで推移している。

全国の百貨店の11月の営業日数は前年と同じく29.9日、111店舗の回答によると、入店客は67店が増え、23店が減ったとし、83舗の回答によると11月の歳時記(歳暮、七五三)の売り上げについては14店が増え、14店が減ったとしている。

東京地区(12社24店)の11月の売上高(店舗調整後)は前年同月比10.0%増の1285億4088円と3カ月続けてプラスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の11月の売上高は24.7%増の約34億8000万円と3カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが0.8%としている。

このうち、一般物品売上高は同88.5%増の約30億円と9カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同59.9%減の約4億8000万円と6カ月続けてマイナス、購買客数が同1.8%減の約7000人と3カ月ぶりにマイナス、1人あたりの購買単価が同27.0%増の48万3000円で、24カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2021年8月まで1位、9月2位、10月1位)で、2カ月連続、2位がハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2021年8月まで2位、9月1位、10月2位)で、2カ月続けて2位だった。

3位が食料品(2020年3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月から2021年4月まで4位、5月3位、6月5位、7月3位、8月4位、9月、10月3位)で3カ月続けて3位だった。同じく3位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から2021年9月まで3位、10月4位)で、2カ月ぶりに3位に上がった。5位が紳士服・雑貨(2021年9月5位、10月6位以下)で、2カ月ぶりに5位に上がった

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2021年10月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から2021年10月まで2位)で、19カ月連続だった。

3位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月から2021年4月まで4位、5月から10月3位)で、6カ月連続だった。

4位は香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月から2021年4月まで3位、5月4位、6月、7月6位、8月5位、9月3位、10月4位)で、2カ月連続だった。

5位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位、12月6位、2021年1月から9月まで7位、10月5位)で、2カ月連続だった。

6位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月、12月5位、2021年1月6位、2月から4月5位、5月6位、6月、7月5位、8月6位、9月5位、10月6位)で、2カ月連続だった。

同じく6位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位、12月7位、2021年1月から4月5位、5月から8月4位、9月5位、10月6位)で、2カ月連続だった。