インド、東部に感染拡大、わが休業のホテルが避難地に(30)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2020年7月31日】7月20日は、インド全土の1日の感染者数が4万人を超えてブラジルを抜き、この分では、アメリカを抜くのではと懸念されたが、21日は3万7000人台に戻り安堵、とはいえ、今後の推移を見ないと、増減はわからず、依然歯止めがかかったわけでない。

プリー東浜のホテル街に、初期のロックダウン(都市封鎖)が戻ってきた。メインロードのCTロードは封鎖、人影が消えた。

22日現在、インド全土の感染者数は119万人(回復者数75万3000人、死者数2万8732人)、憂慮されるのは、拡大する西インド(ワーストのマハラシュトラ州=Maharashtra=は32万7000人)をよそに、感染者が少なめだった中・東部にも広がっていることで、当オディシャ州(Odisha)も例外でない。

ここに来て、南のカルナータカ州(Karnataka)が感染者数7万1069人(死者数1464人)と急増、次いでアンドラプラデシュ州(Andhra Pradesh、感染者数5万8668人、死者数758人)、東側の西ベンガル(West Bengal、4万7030人中、死者980人)、ビハール(Bihar、2万6379人中、死者179人)、次いでオディシャ州(1万9835人中、死者108人)と増え続けている。

当地プリー(Puri)も感染者が続出、その一帯は封じ込めゾーンとして封鎖されている。私の住むチャクラティルサ・ロード(Chakratirsa Road)でも、メインロードから引っ込んだ後方で感染者が出て、その一帯はシール(封止)された(プリー地方全体での陽性者数は99人、死者数2人)。

かつて一時帰国時の機内から、幸運にも富士山が見下ろせ、その壮麗さに感激したのは何年前だったか。国際線が再開されて、日本行きの便に乗れるのはいつになるのだろうか。

このチャクラティルサ・ロードを東に1キロ近く直進すると、漁村地帯となり、ペンタコタ(Penthakata)と言われる、南のアンドラプラデシュ州からの、言語もオディシャのオディヤ語(Odia)でなく、テルグー語(Telugu)を話す移民の特殊エリアだ。最下層のカースト民が浜に掘っ立て小屋を立てて漁労で生計を立てているスラムエリアで、一般住民は避けて通る地域なのだが、ここで22日22人の集団感染が発覚、陽性率40%という恐ろしい数字には、いよいよ危機が間近に迫ったと当方もびびった。

また、わが家から4キロ程離れたグランドバザール(Grand Bazaar)のジャガンナート寺院(Jagannath Mandir)にほど近いエリアからも1人、わがホテルのマネージャーである甥の一家が身の安全のため、封鎖が解かれるまで、別棟のコッテージに寄宿して、わが家の住人が4人増えた。

といっても、2週間は距離を保ち、接触も最小限、休業要請中のホテルの部屋ががら空きなので、隔離には問題ない。

ここ数日、物々しい雰囲気で、パトカーがサイレンを鳴らしながら日に何度も警告アナウンス、住民の不安を煽り立てている。

今月末に、当州の感染者数が2万5000人から3万人に達することは間違いなく、回復率70%といっても、陽性者は1万人近くに膨れ上がり、由々しき状態だ(一夜明けて、わが居住エリア周辺は、24日の21時から8月3日の5時までの9日間、完全封鎖されることを知った。詳細は次号でお届けする)

●身辺こぼれ話/波の花を初観察

朝のベンガル湾散策が日課になって1週間たった。当地も感染者が急増しているので、一日中止して体調を見たが、どうにもよくないので、また復活、昨日21日は大変珍しい現象を目撃した。

ベンガルの波は荒めだが、雨季の今は特に豪快に押し寄せる。大波が弾けて白く泡立ち、波打ち際に石鹸の泡に似た白く柔らかなバブルがフリルのように縁どり、強めの南風がその上を吹き抜けていった。

純白の泡レースは風の威力に砕け散ると見えて、軽やかに受け止めて、まるでぼたん雪のようなバブルの玉を模造、ころころと雪の玉のように吹き散り、砂上を滑るように転がっていった。

波の泡の粒がいくつもころころと濡れ砂の上を転がり滑り抜けていく様子は、汀に咲いためずらかな小花のようにも見えた。波の花が咲き散らす砂上の点々と穿たれた巣穴からするすると、砂色の小蟹が出没、美しい自然現象に思わず、見とれた。

素足でそっと踏みしめた泡は柔らかくくすぐるように、くるぶしにまとわりついた。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

7月27日現在、インドの感染者数は143万5616人、死亡者数が3万2771人、回復者が91万7568人、アメリカ、ブラジルに次いで3位になっています。州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。また、インドでは3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています。また、タージ・マハルも開放する方針を撤回して、引き続き閉鎖されています)

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