三笠会館「秦淮春」で10月から上海カニコース、単品の姿蒸しも

【銀座新聞ニュース=2022年9月28日】和食店、フランス料理店、イタリア料理店、中国料理店などを運営する三笠会館(中央区銀座5-5-17、03-3571-8181)は10月1日から12月下旬まで4階揚州料理店「秦淮春」(050-3134-5665)で上海カニコース「芳醇」を提供する。

三笠会館の揚州料理店「秦淮春」で10月1日から12月下旬まで提供される上海カニの姿蒸し。

「秦淮春(しんわいしゅん)」がこの時期に毎年開いている本場の上海カニを使ったコースで、料理長の外崎(とのざき)登志雄さんがメニューを考えている。例年、秦淮春で上海カニのコース料理を提供するのは11月から12月下旬までだが、今年は10月1日から入荷がはじまるため、それに合わせて、10月からコース料理「芳醇」を提供する。

コースは淮揚前菜4種(太刀魚山椒風味揚げ、くらげの柚子甘酢和え、精進田鰻の黒酢炒め、百合根のカニ油和え)、フカヒレ姿の上海カニ肉煮込み手毬団子添え、岩手牛和牛の黒胡椒炒めきのこの香り、揚州名物上海カニミソ入り小籠包、揚州名菜上海カニミソ入り大きな肉団子のスープ蒸し、上海カニの姿蒸し、上海カニ油の餡掛け揚げ麺、いろいろ豆とタロイモの汁粉。

また、単品でも注文でき、上海カニの姿蒸しはオスが5500円、メスが6600円。

ウイキペディアによると、「上海カニ」は中国の長江流域を中心に、遼寧省から広東省まで、広い地域の川に分布し、海のカニと比べると小さい。栄養価としては、タンパク質、ビタミンB12を豊富に含んでいる。産卵は海水中で行われ、産卵時期の秋になると海辺に移動する。交尾の後に、メスは海水中で産卵し、0.4ミリ足らずの小さな卵を腹脚にたくさん抱え、ふ化するまで保護し、ふ化した幼生を海に放出すると、メスは1冬に2、3回交尾と産卵を繰り返し、疲弊して亡くなるため、2度と川に戻ることはないという。

陽澄湖産の上海カニが海外で知られ、高値で取り引きされている。このため、別の産地で育てたものを、陽澄湖の養殖池の水に浸けただけという偽物も出回っている。本当の陽澄湖産は、はさみにタグを付けたり、甲羅にレーザー光線でマークを焼いたりして、区別し、本物の陽澄湖産は、香港や台湾などの業者が予約しており、主に輸出に回され、上海などに出回る比率はかなり低いとされている。

日本では生態系への影響が懸念されており、2005年12月に外来生物法に基づく特定外来生物に指定され(2006年2月1日施行)、生きた上海カニの国内への持ち込みは厳しく規制されている(調理済みなどすでに死んでいる個体については適用外)。

上海カニの旬は10月がメス、11月がオスとされており、甲羅の中のオレンジ色の内子がうまい。ただ、上海カニは肺気腫や気胸を引き起こす肺臓ジストマの一種、ベルツ肺吸虫の中間宿主で、加熱すれば死ぬが、生で甲羅を割ると、ミソや体液などと共に飛び散り、皮膚や食器などに付着することがある。また、胃やエラ、腸、心臓などは食べてはいけないとされている。泥や腐肉が入っており、えらの上にもよく汚れや寄生虫が付着している。

2022年の陽澄湖産の上海カニは9月25日に漁が解禁されている。上海カニには「偽物防止用タグ」がつけられており、タグには地理的表示の公式専用マークとチェック用の番号が表示されている。

外崎登志雄さんは1964年東京都生まれ、16歳で中国江蘇省へ料理留学し、南京で2年間の実習を経て卒業、揚州市の「西園飯店」で18歳から3年間、特1級厨師の居長龍(きょ・ちゃんろん)さんの下で修業を積み、その後、北京で点心の基礎を学び、1987年に22歳で帰国した。

箱根ホテル小涌園「桜梅」、フォーシーズンホテル「養源斎」を経て、2005年に三笠会館に入社し、「秦淮春」副料理長に就き、料理長の居長龍さんを支え、2012年4月に「秦淮春」料理長に就任した。

営業時間は11時から21時。料金は1人税込1万6500円(2人より、サービス料は10%)、3日前までに予約する。