インドで義妹がわが息子と再会、金沢大交流ツアーを満喫(123)

【モハンティ三智江のインドからの帰国記=2023年4月3日】3月も半ばに入って、早咲きの桜の開花がちらほら見られる昨今、石川県金沢市も日中は暖かくなって、20度近くに上がることもあり、ジャケットを脱ぎたくなるような陽気となった。

わが息子が義妹の叔母を案内した南のバンガロールにある、インド初のクラフトビール専門店(Arbor Brewing Company)。小醸造所では、職人技のユニークな手作りビールが楽しめ、雰囲気・料理とも満点。

さて、3月2日に、義妹(長弟の妻、プロフィールは末尾)が、渡印先(南インドのカルナータカ州=Karnataka)から戻ってきた(2月18日の関西空港発のシンガポール航空便=チャンギー空港=Changi Airport=でストップオーバーで翌19日インド着、3月1日発翌2日日本着の13日間)。

先月28日に無事、同州都バンガロール(現ベンガルール=Bengaluru)在住の我が息子(インドで人気のラッパー、Rapper Big Deal)と5年半ぶりの再会を果たし、現地で楽しいひとときを分かちあったようだった。

義妹は、金沢大学の大学院に在籍中で、このたびの渡印は、金沢大学主催の文化交流プログラム、ユネスコ登録地域を題材として将来のSDGs(持続可能な開発目標)を達成するための問題解決を担う人材として、グローバル社会を先導するための基礎を学ぶのが目的だった。

現地の大学生(University of Trans-Disciplinary Health Science and Technology、TDUと、バンガロール大学)との交歓会や、インド古来の自然療法アユール・ヴェーダ(Ayur Veda)の講義を受けたり、マイソール(Mysore)王宮や動物園、インドのスコットランドとの異名をとるクールグ(Coorg、別名コダグ)のブラフマギリ(Brahmagiri)野生動物保護区(インド象で有名)訪問等々、およそ10日に及ぶプログラム(参加費は航空運賃含め35万円ほど)だった。

義妹の交流ツアーメンバー(金沢大学)と、バナナの葉っぱのお皿でミール(カリー定食)を楽しむわが息子。

現地大学生との交歓にあたっては、着物アンバサダーとしても活躍する義妹は日本から、浴衣を7枚持参しており、現地の伝統民族衣装サリーとの交換試着会もあり、初めて日本のキモノを着る学生たちには大はしゃぎの楽しい時間だったらしい。交流ツアーメンバーの日本学生も、母譲りというサリーを着せてもらう貴重な体験となったようだ。

ちなみに、義妹には渡印歴があり、2012年12月に我が居住地プリー(Puri、インド東部オディシャ州=Odisha=のベンガル湾=Bay of Bengal=沿いのヒンドゥー教聖地)で長弟と、ヒンドゥー式の現地結婚式を挙げたのである(日本からも14人の親族友人が参列)。というわけで、奇しくも10年後の再訪印だったのだが、満喫したようで何よりだった。

息子はディナーに、遥か日本から訪れた母方の叔母を歓迎する意味で、洒落たクラフトビアバーへといざなったようだ(インドでは、生ビールはポピュラーでないのだが、バンガロールだけは昔からドラフトビールが飲めるパブが軒を連ねており、ハッピーアワーの時間帯は安くなる)。

金沢大学の文化使節団は、現地の大学生たちと、日印それぞれの伝統衣装を交換試着して、記念写真に収まった(前列右から5人目が義妹)。

息子が案内したバー(Arbor Brewing Company、Ashok Nagar、Bangalore)はインド初のアメリカンクラフトビール専門店で、小さな醸造所で作られる職人技の凝った手作りビールで(モルトとホップをすり潰して茹でたものをイーストで発酵させることによって麦芽酒を生産)、ラベンダー味はじめ、さまざまなテイストの地ビールが楽しめるスタイルだ(1杯400ルピー=約640円)。

料理もおいしく、シンガポリアンチキン(500ルピー)やポークリブ(600ルピー)などに舌鼓を打ったようだ。

義妹は、スパイシーな現地カリーが苦手な私と違って辛いものを含めなんでもいける健啖家、日本人はインドへ行くと下痢をして痩せて帰ってくるのが常だが、1日5食でかえって太って帰ってきたつわものぶりだった。

カルナータカ州都バンガロールベースの現地語(カンナダ)新聞に、写真入りで紹介された金沢大学の文化交流プログラムの活動。現地で大歓迎された様子が伝わる。

なお、インド政府は2月13日から、72時間前陰性証明書の提出を廃止しており(訪問者の2%ランダム検査は継続)、入国もスムーズにいったばかりか、現地はマスクフリーでパンデミック(世界的大流行)は過去のこと、研修を兼ねたツアーに制限によるトラブルはなく、首尾よく運んだようだった。

〇義妹・荒木由希のプロフィール
石川県生まれ(現金沢市在住)、金沢大学大学院人間社会環境研究所経済学専攻博士後期課程・文化資源マネージャー養成プログラムに在籍中で、修了後の来年からは石川県白山市・金城大学の助教として勤務予定。着物をはじめ、日本文化を世界に広めるアンバサダーとしても活躍する大の着物愛好家。今年1月にベンチャービジネス、「Alley(アレイ)株式会社」を起業、レンタル着物や、九谷焼の販売も手がけ、浅ノ川総合病院(金沢市小坂中、院長は夫の荒木一郎)でホスピタルアートとして患者の癒しのための加賀友禅や九谷焼の展示にも携わる。インスタグラム/https://instagram.com/alley_student

(「インド発コロナ観戦記」は、92回から「インドからの帰国記」にしています。インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いてきましたが、92回からはインドからの「帰国記」として随時、掲載します。

モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。また、息子の「Rapper Big Deal」はラッパーとしては、インドを代表するスターです。

2023年4月2日現在(CoronaBoardによる)、世界の感染者数は6億7919万8937人、死亡者数が682万3658人、回復者数は6億1389万0688人。インドは感染者数が4470万9676人、死亡者数が53万0848人、回復者数が4416万6925人、アメリカに次いで2位になっています。

ちなみにアメリカの感染者数は1億0612万2305人、死亡者数が115万3986人、回復者数は1億0384万1824人、4月2日現在の日本は感染者数が3346万9149人(6290人増)、死亡者数が7万3953人(14人増)、回復者数が2172万0620人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む、774人増)。編集注は筆者と関係ありません)